ゴジラ

Posted on

帰宅する途中、いつもの風景とは異なり、違和感を覚えました。暗い状況のなかで、巨大な物体が視野に入ってきて、一瞬何事かと思いましたが・・・よ~く見ると・・・自宅近くの鉄塔がメンテナンスのために覆われていただけでした。

夜に撮影した画像と昼に撮影した画像

 

この鉄塔は、埼玉県鶴ヶ島市の新所沢変電所~茨城県境町の新古河変電所を結ぶ新古河線と呼ばれる送電線の一部になります。鉄塔マニアのサイトを調べていくと、名前は「新古河線 19号」という鉄塔であることがわかりました。高さは80mです。

高さ80mの鉄塔の大きさの比較をゴジラで行ってみました。コジラもシリーズを重ねるたびに、身長が高くなっているそうです。

二代目ゴジラ(80m)と新古河線 19号がほぼ同じ大きさ

 

よ~く見ると、カバーに覆われた鉄塔もゴジラのように見えてきます。こんな巨大生物が襲ってきたら、一溜まりもないですね。ちなみに、シン・ゴジラでは身長が118.5mとさらに巨大化しています。

 


平均収量の解釈

Posted on Updated on

農林水産省は水稲の平均収量を毎年公表しています。公表される情報には、市町村別の10a当たりの収量も含まれるので、自分のところの収量と比較することができます。ただし、集計されている収量は「水稲」でまとめられているため、品種別の収量はわかりません。データはe-Stat(政府統計の総合窓口)から閲覧できます。

埼玉県の水稲栽培は「コシヒカリ」がメインですが、近年は地域ブランド米である「彩のきずな」の比率が高まっています。2017年には県東産の「彩のきずな」が特Aランクを獲得したので、今後はコシヒカリを抜いていくことが予想されます。

その「彩のきずな」は多収な品種で、一般的にコシヒカリの20%増と言われています。前述のように農林水産省の情報では様々な品種の合計となっている数値なので、品種別の収量内訳はわかりません。関係機関に問い合わせればわかるかもしれませんが、今回は公表されている情報を使って品種別の内訳を推定し、コシヒカリの平均収量を求めてみました。

地域で栽培されている品種の割合を示す情報は、JAいるま野が公表しているカントリーエレベータ(CE)直接買入れ実績を使いました。情報元:JAいるま野広報誌

 

JAいるま野は埼玉県南西部の10市3町が管轄になります。管内の農業産出額は、ほうれんそうや大根などの野菜類が56.1%とメインで、米は11.4%となっています。下図は農林水産省が公表した2017年の市町村別10a当たりの収量を可視化したものになります。この図から埼玉県の10a当たりの収量は県東部で高く、県西部で低い、東高西低の分布傾向になります。また、赤枠で示すJAいるま野の管内の西部は秩父山系に位置し、中部・南部は洪積台地となっているため、水稲栽培は東部が中心となります。試験サイトがある坂戸市は、川越市に次いで水稲収量が多い地域になります(坂戸市は埼玉県全体で見ると16位)。

埼玉県の10a当たりの収量(2017年)

 

JAいるま野が公表しているCEデータは管区全体(10市3町)となっているため、農林水産省の市町村別収量情報を再集計しました。

品種別直接買入れ実績

 

コシヒカリがCEの直接買入れの半数を占めていますが、年々減少しています。一方、彩のきずなの栽培は増加傾向です。彩のきずなは、JAいるま野の独自ブランド戦略により、生産拡大と集荷拡大となる数量目標および品質目標を策定し、生産者と一体となった産地づくりを進めていることが影響しています。来年か再来年にはシェアが逆転すると思われます。

 

次に、品種による収量の違いを求めます。コシヒカリの収量を1としたとき、他の品種(彩のきずな・彩のかがやき・彩のみのりなど)の収量の比率を文献などから求めました。

その結果、2014年の管区の水稲の平均収量が489kgとなっていますが、内訳はコシヒカリ468kg、彩のきずな548kg、彩のかがやき492kg となりました。この年の試験サイトの10a当たりの収量は388kgなので、管内のコシヒカリ収量より少ない結果となります。2015年は、管内のコシヒカリ収量が451kg、試験サイトは431kgだったので、2014年よりは平均的な収量に近づきました。2016年からは推定値を上回る結果となっています。

 

JAいるま野における10a当たりの収量と品種別推定収量

管内収量 コシヒカリ 彩のきずな 彩のかがやき 彩のみのり キヌヒカリ
2014 489 468 548 492 520 465
2015 480 451 528 474 501
2016 492 461 540 484 512
2017 488 457 535 480
単位:kg

 

試験サイトのコシヒカリ収量と管区内のコシヒカリの推定収量の比較

 

ちなみに、JAいるま野の栽培目標は以下の通りです。
10aあたりの目標収量
・ コシヒカリ  ・・・ 480kg(8俵)
・ 彩のきずな ・・・ 600kg(10俵)
・ 彩のかがやき ・・・ 540kg(9俵)

 

水稲としてまとめられた平均収量の数値も、別資料を組み合わせることで品種別の収量を推定することできました。求めた数値は、自分の栽培技術がどのあたりに位置しているのかを把握することに使えそうです。

 


クローズアップ現代+

Posted on Updated on

10月31日に、NHK のクローズアップ現代+で「AIがうまい米を作った!~“農業革命”最前線~」が放送されました。放送内容は、NHKのHPから閲覧できます。(クローズアップ現代+:2018年10月31日

全体的にスマート農業など先端技術を用いた農業に詳しくない人でもわかりやすく、今後の日本の農業の可能性を解説した番組だったと思います。

前半は人工衛星やドローンによるモニタリングでイネの生育を管理し、肥料のピンポイント散布や収穫適期の解析で美味しい米を栽培するという内容で、後半はトラクターや田植え機などの無人ロボット化の紹介が中心でした。

 

ただ、私としては収穫適期を紹介するVTRに疑問が生じました。

放送では、下図のように衛星画像の解析で圃場のタンパク質含有率のマップが紹介され、以下のような説明がありました。

・9月下旬の田んぼは全体的に赤っぽく、タンパク質が多くなっていました。この段階で刈り取ると粘りのない米になるため、時間を置いて待つことにしました。

その時の画面には「タンパク質低下待つ」の文言が表示されています。

放送された画面のキャプチャ

 

収穫間近の状態で、時間を置くことでタンパク質が低下するという部分が疑問です。出穂後、子実に蓄積された同化産物が減少していくのは考えづらいことです。

この文言がタンパク質ではなく、NDVIの低下を待つといった説明であれば納得しました。NDVIは出穂期から成熟期に進むにつれ、値は小さくなっていきます。モニタリングを実施している試験サイトでは、出穂期と登熟期のNDVIから収穫適期を求めて、収穫を実施しています。

また、籾水分が高いため、時間を置くことで水分の低下を待つという流れでも問題なかったと思います。ただし、現在の衛星画像から籾水分を求めるのは難しいと思いますが・・・現場では、収穫適期を出穂後の積算温度や籾の黄化率、籾水分で判断しているので、農家さんには理解されやすい指標ではないかと思います。

 

HPで紹介されている画面をキャプチャ

 

 


どろーん米(2018)販売開始

Posted on Updated on

10月17日から平成30年産「どろーん米」の販売を開始します。価格は昨年と同じです。味は去年より美味しくなっております。

 

食味値:84点獲得

平成30年コシヒカリ新米100% 「どろーん米」 5kg 精米

平成30年コシヒカリ新米100% 「どろーん米」 10kg(5kg×2袋) 精米

 

価格は、5kg 2,400円(税込)、10kg 4,500円(税込)となっております。※送料別

詳細は「どろーん米購入」をご覧ください。

 

どろーん米

 

【参考記事】

NIKKEI STYLE(2014年10月22日):コシヒカリはなぜおいしい 科学で味わう「うまい米」

 


平成最後の収穫

Posted on Updated on

2018年の栽培期における天候は、一言で言うと「猛暑が続いた年」でした。8月末から9月上旬になると、台風20号(Cimaron)の接近・ゲリラ豪雨によって、この地域は瞬間的に強風・大雨が襲いました。その影響で、圃場内の一部のイネが倒伏程度3(出穂期2週間前の倒伏リスク診断でリスクがあった箇所)になりましたが、この程度であればコンバインによる作業には全く問題はありません。

 

下図は、2014~2018年の移植日から収穫日までの積算日照時間になります。図からわかるように今年の天候は例年と比べて日照時間が大きく外れています。本当に暑かったです。

(アメダス:鳩山地点を用いて作成)

2014~2018年の移植日から収穫日まで積算日照時間

 

収穫時における2018年の積算日照時間は例年の約1.3倍となりました。ちなみに、2017年も出穂期までは2018年と同様な空梅雨・猛暑でしたが、8月に入ると途端に冷夏となり日照不足となっています。

 

さて、4年間の水稲モニタリングで得たNDVIによる収量予測の結果では、今年の収量予測は2017年(471kg/10a)と比べると減収になりました。収量予測は出穂期のNDVIと前年までに得た地上サンプルとの相関式で求めます。4年間分のパラメータがあるのですが、今年はどのパラメータを用いても減収予測でした。その理由は、2018年の出穂期のNDVIが前年比85%と低かったためです。

 

NDVIのみ
収量予測:462kg/10a

 

共同研究者でもある濱ほか(2018)の論文では、NDVIと日射量(コシヒカリの場合は出穂期から20日間)を用いて収量を予測するモデルを示しています。そのモデルによる収量予測は増収となります。

 

濱モデル
収量予測:488kg/10a

 

今年の収穫結果は・・・ 498kg/10a で増収となりました。農家としては嬉しい結果ですが、研究者の立場からだと外れてしまった・・・という感じです。また、今年の収量は世代交代してから初の反収あたり8俵を超えることができました。この地域のコシヒカリの目標は8俵(JAいるま野広報誌2018年3月号 pp.5)なので、満足な結果です。

ドローン導入からのコシヒカリ収量(10a当たりの精玄米重量)およびタンパク質含有率の結果

 

ドローン導入から5年目で30%の増収になりました。籾摺り → 袋詰め → 冷蔵管理までの一連の作業は終わりましたので、まもなく2018年度産「どろーん米」をネットショッピングで販売開始いたします。

 


夏の連続観測

Posted on Updated on

恒例となった夏の連続観測を8月4〜5日にかけて実施しました。2016年から実施している連続観測は今年も快晴になりました。主な観測項目は2016年から変わらず、日出から日没までの間を、ドローン(熱赤外・NDVI)と地上(気温など)で観測します。【参考】2016年の連続観測 ・ 2017年の連続観測

3年目にもなると観測の改善点がわかってきます。まず、今年の圃場内の気温を観測する装置(通風口)の改良です。昨年は塩ビのパイプにアルミ箔を巻きました。パイプの中にはファンを設置しましたが、ファンが大きいため、動かすための電力も多く必要となってしまいました。そこで、今年は細めの塩ビパイプを白く塗装し、さらに小型ファンを取り付けました。昨年よりレベルアップです。電源は小型の太陽光パネルからの給電で十分動作しました。これらは濱氏(千葉大)の自作です。さすがです!!

圃場内に設置した気温観測装置

 

ドローンによる観測は初年度から変更はありません。NDVIはYubaflex、熱赤外はF30です。

今年は、新たにイネの蒸散を調べるために、ポロメーター(Delta-T社:AP4)による観測を追加しました。吉田先生(横国大)にご協力いただきました。ありがとうございます。

ポロメーターによるイネの蒸散測定

 

ドローン、ポロメーターは2時間ごとにデータを取得しました。また、気温・CO2・日射量は観測前にセンサを設置して昼夜の連続観測になります。

今年は観測データが充実しました。その分、解析するのも時間がかかりそうです。

 


2018年:本田防除(殺虫)

Posted on Updated on

出穂期を迎えた次の農作業は、カメムシなどの病害虫防除です。カメムシは出穂したコメのデンブンを吸汁します。その結果、そのコメは斑紋のような黒い点がついた玄米となってしまいます。カメムシは緑色で体長も5~6mmなので、緑色の多い圃場内で直接見つけることは困難です。捕まえるためには網が必要です。私も圃場内で一度も見つけたことがありません。

この日も最高気温38℃を超える猛暑日になりました。このような状態が続くと・・・高温登熟障害が発生しないか心配になります。

 

【使用農薬】

・スミチオン(1成分):殺虫剤

 対策:カメムシ類、ウンカ類などの水田害虫の殺虫

 10aあたりに水100l + スミチオン100ml(1000倍希釈)

スミチオン乳剤

 


出穂期(2018年)

Posted on Updated on

今年の出穂期は昨年より3日早い7月27日(移植日から70日:例年は73日)になりました。幼穂長の測定結果から出穂期は7月31日前後になると予想していましたが、実際に圃場内の4~5割の穂が出穂したのは、この日になりました。

次々に出穂

 

昨年までの気象データでは、この地域で栽培するコシヒカリは移植してから出穂するまでに、日照時間:約400(h)・積算温度:約1700(℃・day)必要であると考えていました。2017年も出穂期までは猛暑が続きましたが、今年はそれ以上です。2014年からの記録を見てみると、今年の積算日照時間は約80(h)多くなっています。一方で、積算温度は約1700(℃・day)と過去のデータとほぼ同じ値を示しました。イネの出穂期の目安になるのは、日照時間より積算温度(ここでは、最寄りのアメダス地点の日平均気温)が有効なのかもしれません。

 

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日 出穂期 日数 積算日照時間(h) 積算温度(℃)
2018 5月19日 7月27日 70 480.9 1699.0
2017 5月21日 7月30日 71 399.8 1697.6
2016  5月21日 8月4日 76 381.3 1774.5
2015  5月23日 8月3日 73 427.8 1742.1
2014 5月24日 8月3日 72 400.4 1714.0
Average 5月21日 8月2日 72.4 396.1 1711.3

 

以前にも書きましたが、出穂期のモニタリングデータは、収量、タンパク質含有率や収穫適期の推定に利用します。これらの推定結果は次回以降に紹介します。

 

茎から穂を出し始めたイネ

 


手のひらGR

Posted on Updated on

長年、手軽に持ち運べるドローンを作ろうと仲間うちで計画していたドローンがようやく完成しました。コードネームは「手のひらGR」です。

手のひらGR

 

開発当初からの計画は、モニタリングや地図作成で使う自律飛行機能を有して、Richo GR(約250g)を搭載できることが条件でした。

手のひらGR は、調査用のメイン機ではなく、何かしらのトラブルでメイン機が動かなくなった時に使用する予備機の位置付けになります。特に海外などの遠方でメイン機による撮影ができなくなった時には重宝するはずです。そのため、予備機が大きな荷物になってはいけません。

手のひらGRは、折り畳み式クワッドコプターになります。大きさは縦横19cm(対角で26cm)ですが、折り畳むと百均で購入したCDケースに収まります。

CDケースに格納した手のひらGR

 

手のひらGRは、モータとESCが一体となったものを使うことによって軽量化しています。また、ケーブルも少なくなるので本体がすっきりします。バッテリー込みで約500gとなり、Ricoh GRを搭載しなければ、10分程度は飛行できます。搭載した場合は5分ぐらいになります。

200g未満機であれば、申請なしでDID地区でも飛行できるのですが、さすがにこの条件をクリアするのはできませんでした。しかし、申請なしでDID地区も飛行できる新型KT 200(超軽量カメラで撮影)も先日完成しました。これについては、別の機会に紹介します。

手のひらGRは単純にフライトするのも楽しい機体です。機敏な動きができるので、中型や大型ドローンにはない魅力があります。ドローンレースの人気があるのも納得です。

下の動画は上空10mのWaypointを数点設定して、自律飛行をテストしたときの様子です。

手のひらGRの自律飛行

 

 


2018年:本田防除(殺菌)

Posted on Updated on

出穂前に、いもち病対策などの殺菌の防除を行います。出穂3日前ぐらいに散布するのがいいのですが、出穂の予測や散布を行うための時間調整、当日の気象条件など考えるといろいろ大変です。

現場で普及しているイネの出穂を推定する方法として、幼穂長を測る方法があります。まず、圃場内の平均的な草丈の株を選択し、最も長い茎を根元から取ります。次に、取った茎はカッターで半分に切っていきます。そして、茎の中にある幼穂の長さを測ります。

イネの幼穂の長さは12.5cm(2018年7月22日撮影)

 

既往研究から幼穂長と出穂前日数の関係はまとめられています(星川 1975)。

穂の発達過程と日数および外部形態との関係

出穂前日数 幼穂長:cm 発達過程・外形
26 0.1 幼穂形成期
20 0.2
18 0.8~1.5 止葉抽出
12 減数分裂期
19.5 穂ばらみ始め
20.5
2~1 22
22 出穂

文献:星川清親(1975)イネの生長.農文協.

幼穂の長さと出穂前日数の関係(表の数値をグラフ化)

 

幼穂長の測定結果から出穂期は7月31日前後になると予想できます。

 

出穂が予想できれば、次は防除です。初めて操作するときは2人で行っていましたが、慣れてくると1人でもできるようになりました。ただ、ラジコン付動力噴霧器でないとかなり大変です。ラジコン付きといってもホースの送り出しと巻き取りが遠隔操作できるものです。遠隔操作ができることによって、重いホースを1人でも出したり、巻いたりすることができます。

また、防除は風が弱くて雨が降らない日に行うので熱中症対策が必須になります。身体にかからないように雨具などで防備しながら行うため、尋常ではない暑さとの戦いです。当日の最高気温は38℃まで上昇したため、いつもより重労働でした。

熱中症対策(ガンガンに冷やした水とクーラーを効かせた車内で休憩)

 

【使用農薬】

・ノンブラスフロアブル(2成分):殺菌剤

 対策:いもち病、内頴褐変病、変色米、穂枯れ

 10aあたりに水100l + ノンブラスフロアブル100ml(1000倍希釈)