速報値:2019年収量

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連休を使って、稲刈り&籾摺りを行いました。天気予報では雨となっていたので、刈り取りができるか心配でしたが、なんとか無事に収穫できました。

雨が降りそうな天気での稲刈り

 

さて、1ヶ月前に投稿した収量予測の答え合わせです。収量予測では、前年並みの収量と予測したのですが、結果は…以下の通りになりました。

試験サイト全体の精玄米収量 :1438.2 kg(465kg / 10a)

収量予測との誤差 約64kg (4.3%)

2018年と比べると減収になりました。やはり、幼穗形成期の日照不足が大きく影響していると考えられます。ちなみに、2018年(猛暑パラメータ)で計算すると、精玄米収量:1610 ㎏と大きく外れてしまいます。今年は2016年の天候と傾向が似ていたことから、2016年パラメータを使用しましたが、さまざまな天候に対応するにはデータの蓄積が必要です。ドローンモニタリングを2014年から始めていますが、まだ5年分のデータしか蓄積ができていないので、予測モデルの精度が満足できる状態になるまではもう少し時間がかかりそうです。

ドローン運用開始からのコシヒカリ収量(10a当たりの精玄米収量)およびタンパク質含有率の結果

 

これまで増収を続けていましたが、2019年で記録はストップしてしまいました。来年は増収できるように栽培方法をちょっと見直してみたいと思います。

 


台風15号(1915)

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千葉県や横浜などで甚大な被害を与えた台風15号ですが、坂戸では幸いなことに大きな被害はありませんでした。ただ、私としてはコメの収穫直前であったので、強風による倒伏や河川の内水氾濫が心配でした。

今年は幼穗形成期の日照不足による生育不良で草丈が例年より低い状態だったので、出穂15日前の倒伏リスク診断でも倒伏のリスクは低く、倒伏なしで収穫できると期待したのですが・・・、残念ながら台風の北からの強風で一部倒れてしまいました。

 

今回の台風では鉄道の計画運休のニュースもあったので、前日から会社に出社して常にライブカメラで圃場の様子を見ていました。こういう時にライブカメラは便利ですね。また、頻繁に発生する内水氾濫ですが、今回はギリギリのところで被害を免れました。もう少し降雨があったなら、イネは冠水していました。

赤色の矢印が堤防の最頂部。水位がギリギリのところまで迫った

国土交通省が運営する河川ライブカメラ【葛川:葛川合流点(荒川水系)】

 

ちなみに、ここ数年における内水氾濫による冠水状況
台風21号(2017/10/23)
台風9号(2016/8/2)
平成27年9月関東・東北豪雨(2015/9/9)

毎年、氾濫しないか心配をしていますが、今年は心強い知らせを聞きました。坂戸市が昨年度の予算で排水車を購入しました。ありがたいことです。

氾濫に備えて葛川水門で待機している排水車

 


収量予測(2019年)

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2019年は梅雨の影響で、分げつ期〜幼穂形成期〜穂ばらみ期の日照時間が記録的に少ないのが特徴です。モニタリングを開始した2014年からの気象データを見ると、2019年の傾向は2016年に類似していることがわかります。なお、積算日照時間の数値では2017年とほぼ等しいのですが、分げつ期〜幼穂形成期〜穂ばらみ期の傾向が異なるので、今回は2016年を使いました。

(アメダス:鳩山地点を用いて作成)

移植日からの積算日照時間(2014~2019)

 

2016年の収量パラメータを使って、2019年の収量予測を行ったところ、以下のような結果となりました。

試験サイト全体の玄米収量予測 (ドローン): 1502 kg

 

10aあたりでは486kg/10aです。この結果から、2019年の収量は2018年とほぼ同じぐらいの収量が見込めそうです。

 

結果はもうすぐです。

 


出穂期(2019年)

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8月4日前後に出穂期を迎えると予想しましたが、梅雨明け後の猛暑で少し早まり、試験サイトでは8月2日に出穂期となりました。

イネの出穂(2019年8月2日撮影)

水稲モニタリングを始めてから記録を残すようにしていますが、2019年は移植してから出穂期まで76日間となりました。梅雨明けが平年より1ヶ月程度早く、猛暑が続いた2018年は70日間だったので、昨年よりは約1週間生育が遅くなっています。ただし、2014年~2018年の過去5年間のデータでみると、2019年は約3日の遅れとなります。なので、そこまで生育が遅くなったとは言えません。

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日 出穂期 日数 積算日照時間(h) 積算温度(℃)
2019 5月18日 8月2日 76
337.8
1749.6
2018 5月19日 7月27日 70 480.9 1699.0
2017 5月21日 7月30日 71 399.8 1697.6
2016  5月21日 8月4日 76 381.3 1774.5
2015  5月23日 8月3日 73 427.8 1742.1
2014 5月24日 8月3日 72 400.4 1714.0
Average 5月20日 8月1日 73.0 404.7 1729.5

 

積算日照時間のデータからでも、今年の梅雨の長雨で出穂期までの日照時間が低くなっています。また、積算日照時間・積算温度の傾向としては2016年に類似していることがわかります。2016年の生育状況を考慮して2019年の稲刈りを判断すると、順調にいけば9月14〜16日の連休になりそうです。

 


2019年:本田防除(殺菌)

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毎年、出穂前にいもち病予防の消毒を行います。今年は梅雨の長雨が続き、冷夏とも予報されていたため、消毒散布の実施を判断したのですが・・・結果的には猛暑日が続き、散布する必要がなかったかもしれません。

まだ気温が高くならない朝から散布を実施しようと準備していたところ、突如複数の車や人が試験サイトの裏にある橋に集まり始めました。普段は全く人通りのない場所なので、何事かと近所の人に聞いたら映画の撮影?とのことでした。動噴のエンジン音は大きいため、撮影に迷惑をかけてはいけないと思い、撮影が終わるのを待ちました。関係者の方からワンシーンなのですぐに終わるとのことでしたが、そのための設営準備とか見ていると・・・この業界も大変だなぁと感じました。

撮影準備の様子

撮影も終わり、散布を始めましたが、問題も発生。今年は中干しが不十分だったので、梅雨明け後も水を抜いた状態でした。そのため、ホースを水の中で引っ張ることが出来ず、100mもホースを伸ばすと自身の重みと土との摩擦が加わって、思うように散布できませんでした・・・。毎年学ぶことがあります。

 


NDVIフィールドセンサー

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2014年から行なっているモニタリングはドローンを用いて上空から行ってきました。今年はさらに圃場の中心に観測機器(NDVIフィールドセンサー)を設置して地上からの観測項目を追加しました。
上空から取得するNDVIと地上からのNDVIを比較・検討し、品質の高いNDVIを取得できる時間帯を探究する予定です。

機材一式
センサー:SRS分光反射率センサー、ロガー:Em50(販売終了)

 

田植えから2日後にフィールドセンサーを設置

 

NDVIは可視域と近赤外域の波長帯を用いて計算します。この波長帯は太陽光とセンサの位置関係の影響を受けるため、観測時間によってNDVIの数値が大きく変動することが報告されています(例えば、井上  2000、Ishihara et al. 2015 など)。特に、晴天時の正午前後はNDVIの数値が低い結果となります。※ここでは、BRDF(双方向性反射率)については取り上げません。

 

下図は今回設置した試験サイトでの結果になります。まだ、データの解析を行なっていない速報値扱いですが、分げつ期における気象条件の違いによるNDVIの時間変化になります。

1) 晴天時におけるNDVI・日射量の時間変化(2019年5月27日:分げつ期)

2) 曇天時におけるNDVI・日射量の時間変化(2019年6月2日:分げつ期)

異なる気象条件時のNDVI・日射量の時間変化 ※NDVI・日射量は10分おきに計測

 

1)は晴天時、2)は曇天時におけるNDVI・日射量の時間変化の図(折れ線がNDVI、棒グラフが日射量)になります。日射量についてはこちらの記事へ。

晴天時では太陽光が直接イネに届きます。その太陽光は天頂角によって、可視域・近赤外域の反射率が変わってきます。そのため、NDVIは観測時間によって値はバラつきます。図より天頂角が最大となる正午前後はNDVIは過小評価となってしまうので、観測する時間帯から避けた方がいいことがわかります。

一方、太陽光が直達しない曇天時は太陽からの散乱光が地上に届いている状態です。そのため、晴天時と比べると太陽の天頂角の影響はかなり小さくなります。図を見ると、曇天時では正午前後でもNDVIが一定していることから、いつ測っても評価には影響がないと考えられます。

また、両者ともに日出・日没前後のNDVIの数値は極端に上昇することから、この時間帯におけるモニタリングも避けなければいけません。

 

現在、10時にモニタリングを行っていますが、天気による観測適時が分かれば、時間に縛られることもなく、農作業の合間でモニタリングを行うこともできます。少しは柔軟にモニタリングの運用ができるようになるかもしれません。ただ、10時のモニタリングは農作業の小休憩(お菓子タイム)と重なるので、ある意味モニタリングしやすい時間でもあります。

今回の観測結果は地上に設置したフィールドセンサーの結果なので、近いうちに上空からの観測を実施して両者の解析・検証を行ってみます。

 

参考文献

井上吉雄:植生の可視・近赤外放射伝達と植物生理生態情報のリモートセンシング―方向性反射モデルの比較解析および反射データと放射量変換型生長モデルの統合化―, 日本リモートセンシング学会誌, 20(5), pp.56-72, 2000.

Mitsunori Ishihara, Yoshio Inoue, Keisuke Ono, Mariko Shimizu and Shoji Matsuura: The Impact of Sunlight Conditions on the Consistency of Vegetation Indices in Croplands—Effective Usage of Vegetation Indices from Continuous Ground-Based Spectral Measurements, remote sensing, 7(10), pp.14079-14098, 2015.

 


2019年の出穂期は?

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記録的な東日本の長雨で、農作物の生育の遅れが心配されています。試験サイトが立地している埼玉県でも低温・日照不足が続いており、地上で行っている生育調査でもその影響が現れています。週1の頻度で草丈を観測していますが、その結果をみると例年の同時期より約7cm低い値を示しています。しかし、茎数でみると例年より数は少なくなっておりません。長雨の影響で十分な中干しができなかったことから、分げつ過剰による過繁茂が要因ではないかと考えられます。

   草丈・茎数の時系列変化

 

7月21日に圃場内でNDVIが高いメッシュのイネの茎を根元から切り取り、茎の中にある幼穂の長さを計測しました。移植から64日目ですが、現時点で幼穂長は約4cmとなりました。幼穂長と出穂前日数の関係(星川 1975)から判断すると、出穂は約2週間後先となります。参考までに、2018年7月22日に撮影したイネの幼穂の長さは12.5cmでした。

イネの幼穂の長さは4cm(2019年7月21日撮影)

 

2019年の出穂期は8月4日前後(移植から78日後)で、例年より約1週間遅くなりそうです。

 


今年の梅雨は長雨

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今年の梅雨入りは6月7日で、平年より1日早く極端に早い・遅いはありませんでした。ただ、今年の梅雨は、本来の梅雨らしく、関東地方では長雨が続いています。そのため、平年と比べると日照不足や低温の傾向となっています。ちなみに、昨年は6月29日に梅雨明け(平年より22日早い)をしており、7月は晴天・高温の日々が続きました。

ぐずついた天気が続いているので、ドローンによるモニタリングも大変です。雨が降っていない時間を狙って飛行させるのですが、そのときに役に立つのは気象庁が行っている「高解像度降水ナウキャスト」です。スマフォで現在地の雨雲の動きを確認することができます。ただし、レーダの特性上、実際には降水がない場所でもレーダでは降水として観測されることもあるので、最終的には現場での判断になります。

6月22日のモニタリングは霧雨のような細かい雨が降ったりやんだりする天気で行いましたが、モニタリング終了直後には強い雨が・・・精神的に疲れる時期です。

モニタリングを始める前に撮影している画像(近赤外)をアニメーション加工

(2019年5月22日~7月6日)

 

6月25日から中干しを始めていますが、梅雨の中休みもなく、圃場内の土もなかなか乾きません。モニタリングと同時に40株の草丈・茎数をカウントしているのですが、昨年に比べると幼穂形成期の時期も遅くなっています。生育調査を行う際には、事前に対象とする株に下図のようにマーキングテープで印を付けます。いろいろ試したのですが、マーキングテープが水が濁ったときでも目立つのでおすすめです。

圃場内に設置した生育調査用のマーカー

 

雨の中の生育調査(2019年6月22日撮影)

 

毎年行っている調査で手慣れているはずですが・・・40株をカウントするとなると1.5時間程度かかっています。雨の日となると、さらに時間がかかります。

 


真っ白い水田

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近所を車で走っていると、真っ白い水田があって驚きました...。パッと見たときは白色の泡か何かと思ったのですが、近くまで行くと綿であることがわかりました。初めて見た光景だったので、興味が湧きました。

白く覆われた(綿)水田

 

さっそく自宅に帰ってから調べてみると、真っ白い水田は丸三産業が製造している「水稲布マルチシート」ではないかと思われます。白い綿には種籾が含まれていて、水田全体を布で覆うことで栽培できる農法だそうです。布は綿製品を作る過程で出るくず綿を原料としており、水田に敷き詰めた布は土壌微生物によって約50日で分解されて土壌有機物となります。まさにリサイクル農法ですね。

 

具体的には、種籾が挟まれたロール状の布を圃場全体に敷いていきます。この時の圃場は乾田でも問題ないで、泥だらけになることはありません。また、ロール状の布を上から敷き詰めるので、雑草は押さえつけられて成長できない仕組みになっています。そのため、除草剤・農薬を使用する必要もなくなります。

 

何より田植え機が不要で育苗を行うこともしないので、自宅の田植え機が故障してしまったら、この栽培方法(お布団農法)を検討してみてもいいですね。

 


リモセン学会発表(2019年)

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令和初のリモートセンシング学会は、東京電機大学(鳩山キャンパス)で行われました。自宅から約1.6kmの距離(車で5分)なので、これは発表しなければと思い、ポスター発表で参加しました。

「ドローンを用いた水稲生育管理の精度向上に関する検討」

〇田中 圭(日本地図センター)・濱 侃(横国大)・近藤昭彦(千葉大)

内容は、今までのモニタリングで得られた知見をもとに、水稲生育管理の精度向上を検討したものです。具体的には、いつモニタリングするのが最適なのか、解析単位を5mメッシュから株単位に変更、倒伏リスク診断の見直しなどです。

作り終えたばかりのポスター

 

会場では、いろいろと意見交換することができました。

その中でも、イネの生育のばらつきは地表面の凹凸以外にも作土層の厚さが関係するのでは?という質問がありました。

確かに、指摘されたように作土層の厚さは関係していると思うのですが、今まで作土層を計測したことがないので、この時はちゃんとした回答はできませんでした。ただ、毎年、何回か圃場内に入るので、自分の感覚で漠然とどこが深いか浅いかはわかっていたつもりでしたが、その情報を栽培までには活かしていませんでした。

この質問は、さらに美味しいお米作りのヒントをもらった感じでした。まずは、今年の収穫後に地道に金属棒を使って作土層の厚さを計測し、作土深マップとして可視化してみたいと思います。

また、作土で検索していたら可変施肥田植機(井関農機)がヒットしました。移植を行いながら、作土深を計測し、肥料を調整するという最新型の田植機です。さすがに個人でここまでのシステムはできないのですが、この方法は面白そうなので来年の移植の際には、田植機に計測装置を取り付けてみようかと思います。たぶん、自宅にあるドローンの部品を流用して作れそうなので、安くできそうです。進捗があれば報告します。