トラクターナビ(均平作業編)

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先日紹介したトラクターナビを装着して、代かきを行いました。トラクターナビはRTK-GNSSを用いたナビゲーションで、背景地図をユーザ側で自由に選択できる特徴があります。今回は代かきを行うので、背景地図には圃場内の高さを示したDSM(地表面高さ)データを使用します。このDSMデータは事前にドローンを用いて計測したもので、圃場内の高低差を可視化しています。RTK-GNSSで取得できる位置情報はとても高精度(数cm程度)なので、ピンポイントで地表面の高いところの土寄せを効率的にできます。

前回のトラクターナビ(β版)では、アンテナをトラクターの屋根付近に装着しましたが、今回はトラクターの先端に位置を変更しました。アンテナは裏側に磁石が貼られているANN-MB-00(2周波対応)を使用しています。屋根付近からトラクター先端にアンテナの位置を変えても、人工衛星からの受信信号に大きな変化はありませんでした。

アンテナをボンネットの先端に位置変更

 

「善意の基準局」として自宅屋上に設置した基準局の受信データをネット配信し、スマフォのテザリング機能を用いてRTK-GNSSを行います。

均平作業に利用するトラクターナビ

画面の〇十字は現在位置をリアルタイムに表示している

 

トラクターナビの背景地図は事前にドローンで計測したDSMになります。1cmの高さごとに色が変化するように可視化してます。このナビゲーションの画面を見ながら、地表面の高いところから低い方へ土寄せを行います。

代かき直後の試験サイト

 

今までは、紙に印刷した地図を見ながら代かきを行っていましたが、トラクターナビを使った均平作業はこれからのスマート農業にも使えるのではないかと思います。

それにしても、空撮画像から判断して・・・もう少し土寄せができたのかなぁと来年に向けての反省です。

 

【備忘録】

トラクターのアタッチメント位置

ロータリー(左) / ハロー(右)

 


廃車と納車

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令和元年東日本台風(2019年台風19号)による内水氾濫で多くの農機具は水没してしまいました(関連記事)。田植機(クボタ:SPA4)、コンバイン(ヤンマー:GC215)は水没の程度も酷く、JAによる診断で廃車となりました。それから数か月が経過した本日、水没した田植機・コンバインの引き取りと同時に新しい田植機が納車されました。

トラクターを使って、車庫から動かすコンバイン

 

コンバインのエンジンはかかったのですが、すぐにエンストしてしまいました。調べてみると、燃料タンクに入っていた液体は水没時に混入した水であることがわかりました。これでは埒が明かないので、トラクターによるけん引で少しずつ動かしていきます。しかし、アスファルトでは摩擦が大きくなるため、コンバインの方向転換が容易ではありません。そんな時に役立ったのが単管パイプです。曲がりたい方向のキャタピラの下に単管パイプをセットすれば、人間の力でも方向転換ができるようになります。

トラック荷台に収まったコンバインと田植機

 

私が兼業農家になってからお世話になっていたコンバイン・田植機を手放すのは少し寂しい気持ちです。これらの機械はトラブルがよく発生したので、そのおかげで機械の仕組みを詳しく勉強することができました。

クボタ:AW5

 

台風第19号による農業被害からの復旧・営農再開に向けた支援事業の補助金を活用して、新しい田植機(クボタ:AW5)を購入しました。1994年に発売された先代のSPA4と比べると、25年の間にいろいろ機能の進化があります。まずは新機能に慣れ、新型田植機で水稲栽培に挑戦です。

 


石拾いのコツ

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試験サイトは、1990年の圃場整備によって客土をしています。そのため、石を取っても取っても、まだまだ出てきます。こちらは4年前の状況です。

現在でも耕起するたびに、地中に埋まっていた石が出てきます。しかし、耕起直後は土と同化しているように見えるため、簡単には見分けがつかない場合もあります。今回、耕起してから数日後に降雨がありました。そうすると、乾いた土は水を含むことによって沈み、石はそのまま地表面に残ります。また、石に付いていた土が洗い流されるので、遠目からでも簡単に見つけることができます。

石拾いは、耕起してから降雨があった後が最適のような気がします。ただし、雨が降りすぎると圃場がぬかるんで歩くのは大変。

降雨後の様子

 


スパイダーモア

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農作業の中で一番大変なのは「草刈り」ではないかと思います。管理している圃場の畦畔やその周辺を対象に草刈りを行うのですが、炎天下の作業はかなり大変です。
数年前にマイ刈払機として、日立工機(現在、HiKOKI)のエンジン刈払機(CG24ECP)を購入しました。しかし、使っているうちに馬力がもう少し欲しくなって新機種を探しました。ナイロンコードをメインに使用しているので、高出力のタイプをいろいろ探しているとゼノアの刈払機を見つけました。

ゼノアの刈払機は、他社の同タイプと比べると少し高いと感じるのですが、期待を込めてBCZ315Wを購入しました。もう2年以上が経過しましたが、特にトラブルもなく使い勝手がとてもいいので気に入っている刈払機です。初代刈払機はチップソーに戻して、伸びてしまった草を刈るときや飛散物を抑えるときに使用しています。

ゼノア:BCZ315W(カバーが赤)と日立工機:CG24ECP(カバーが緑)

 

ナイロンコードのBCZ315Wは、石や刈った草などを弾き飛ばすことが多いため、飛散防止カバー 「クラゲくん」で防護しています。

 

今年は更なる草刈機を購入しました。以前、鹿児島の知人にスパイダーモアの説明を聞いてからずっと気になっていました。今回、購入する機会があったため、ついに共立のスパイダーモア:AZ852AF(オーレック社によるOEM供給)を手に入れました。

スパイダーモア:AZ852AF

 

刈払機と比べると、スパイダーモアの草刈りは楽しいっ!!まだまだ操縦は慣れないのですが、大変だった草刈りがここまで変わる(作業時間や自分の精神面など)とは驚きです。

畦畔は従来通りの刈払機、周囲はスパイダーモアと用途にあった使い分けができるようになりました。

 

そんなテンションが上がっているときに、土手沿いには業務用のハンマーナイフモアが・・・乗ってみたい。

 

ハンマーナイフモア

 

 


発芽

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4月22日に種蒔きしてから6日後に発芽しました。今年はコロナ禍による影響で在宅勤務となり、毎朝水やりと見回りができるようになりました。昨年までは、平日は父、週末は私の交互で行っていたので、発芽のようすをいつも見逃していました。

 

種蒔きから6日後に発芽(2020年4月28日撮影)

 

種蒔きから7日後のようす(2020年4月29日撮影)

 

搬入した111箱の発芽にムラはなく、一斉に芽が伸びています。

 


種蒔き(2020)

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今年は種籾を浸種してからハト胸程度に催芽するまでに11日間かかりました。平年より温度が低い日が続いたのが影響したかも知れません。2016年からの記録している催芽までの日数と積算温度の関係でも、2020年は催芽まで時間がかかっています。ここで使用している積算温度は最寄りのアメダス地点(鳩山)の日平均気温を採用しており,水温ではありません。

 

表 催芽までの日数と積算温度の関係

栽培年 2016 2017 2018 2019 2020 Ave
積算温度(℃・day) 129.3 126.1 119.5 101.4 124.5 120.2
催芽までの日数 11 8.6
水の交換 毎日 毎日 中2日 中3日 中2日

 

5年間の記録から日平均気温を用いた催芽(コシヒカリ)までの目安となる積算温度は120℃・day前後ではないかと考えられます。

種籾をブルーシートの上に置いて数時間乾燥させたら、育苗箱に種を蒔いていきます。2019年は106箱まで減らしたのですが、実際に移植するとギリギリの枚数となってしまいました。そのため、今年は2018年時の111箱分を用意しました。

 

育苗箱と収量の関係

 

今年の田植えは5月16日前後になりそうです。

 


ビニールハウスでドローン

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令和元年東日本台風(台風19号)による被災で多くの農機具が使用不能になってしまいましたが、国・県・市による補助金のおかげで今年の水稲栽培もできるようになりました。感謝です。ありがとうございます。

4月に入り、この地域の多くの農家さんが動き始めました。

私のところでは、まずは育苗用のビニールハウスの準備からです。昨年の台風による洪水によって,ハウス内の地面には、いたる所で凹凸が生じてしまいました。

昨年の反省から今年は、事前にビニールハウス内の凹凸マップを作成してみました。ポールカメラとドローンの両方で凹凸マップを作成しましたが、今回はドローンの方法を紹介します。大型ドローンではハウス内の飛行は危険ですが、今回は昨年発売された200g未満機ドローン「Mavic Mini(DJI)」を使いました。東京で積雪があった日でもMavic Miniによるハウス内の撮影は問題ありません。プロペラガードも付いているので、安心して飛ばせます。

Mavic Miniでハウス内をインターバル2秒で空撮

 

撮影した画像はSfM-MVS技術を用いて3Dモデルにします。さらに、このデータからビニールハウス内の高低差をcm単位で可視化できるので、この凹凸マップをベースに均平化を行います。ハウス内に重機を入れることは難しいので、トンボ・シャベルによる手作業で整地にします。マップがあるだけで均平作業も効率的に実施できます。

ドローンによるビニールハウス内の均平化

 

凹凸マップ(DSMの色は1cmごとに設定)

 

育苗用のビニールハウスの整地後は、種籾の塩水選・消毒(24時間薬液漬)です。濃度20%(約比重1.13)の塩水を種籾を投入し、実がつまった種子だけを選別します。選別した種籾を浸種し、約1週間後に種蒔きです。さらに1カ月後には田植えになりますが、それまでにコロナ禍が収束することを祈ります。

塩水で浮いている種子(この種子は移植には使いません)

 

【塩水選】

・種籾(16kg)、バケツ(40L)、塩(5kg)、ザル

 

【使用農薬】

・テクリードCフロアブル(1成分):殺菌剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤200ml)

・スミチオン乳剤(1成分):殺虫剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤40ml)

 

 


トラクターナビ(β版)

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スマート農業の普及が進むにつれ、IT企業や農機具メーカから農業版カーナビが整備されつつあります。

以下のような農業版カーナビが登場しています。

 

AgriBus-NAVI(農業情報設計社)、ガイダンスシステム(トプコン)、

GPSガイダンスモニター(クボタ)、ロボットトラクタ(ヤンマー)、ロボットトラクタ(井関農機)

 

これらはトラクターなどの自動運転のためのアシストとしても使われています。私はトラクターの運転が好きなので、自動運転にはまだ興味が湧きませんが・・・ナビには関心があります。

しかし、これら販売されているナビに表示される地図がどれもパッとしません。(ビジネスとしていろんな地域・環境に対応するためには仕方がないかもしれませんが・・・)

 

そこで、今回もDIYで自分仕様のトラクターナビを構築してみました。今回の開発のカギはナビに表示する「地図」です。

自動車のカーナビでは表示される地図の選択肢はありません。しかし、農業ではその時々で表示したい地図は違ってきます。つまり、自分で用意した(見たい)地図を背景としてナビに表示することが重要です。具体的には、トラクターを運転する前にドローンで空撮したオルソ画像やDSMから解析した圃場の凹凸マップを背景地図にすることです。

 

【トラクターナビの構成】

表示部分は8インチのWindowsタブレットを採用しました。トラクター内の空間などを考慮すると、8インチぐらいがちょうどいい大きさになります。使用するソフトはQGISです。QGISはモニタリング解析にも使用していましたが、ナビとしても使えます。QGISはWindows以外のOSにも対応しているので、Windowsタブレットでなくても構いません。

ディスプレイ:Windowsタブレット、ナビソフト:QGIS

赤線:トラクターが移動した軌跡、〇十字:現在位置、背景にはドローンの空撮画像および地理院地図を表示

 

次に、アンテナの設置です。GNSSの単独測位では水平方向に数mの誤差が含まれるため、目印の少ない圃場内では使い勝手がよくありません。そのため、誤差数cmのRTK-GNSSで運用できるようにします。RTK-GNSS機器については、こちらを参照してください。

屋上に設置した基準局を「善意の基準局」として、衛星からの受信データをネット配信します(詳細は後日紹介予定)。

基準局(屋上に設置したアンテナ)

一方、移動局となるトラクターには遮蔽のない屋根上にアンテナを取り付け、ケーブルと基板セットをトラクター内に収納します。ケーブルをUSBでWindowsタブレットに接続し、「RTKLIB」でリアルタイムに位置情報を解析していきます。移動局はシリアル接続、基準局はスマフォのテザリングでネットからトラクター内で受信します。それらを解析した結果はシリアルポートで出力します。この時に役に立つのが仮想シリアル(COM) ポートドライバ「com0com」です。いろいろ制限がありますが、RTKLIBの結果をQGISでリアルタイムで受け取ることができます。

トラクターにGNSSアンテナを設置(取り外し可能)

 

アンテナのケーブルおよび基板を袋に収納。タブレット画面はRTKLIBで位置情報を解析している様子。

 

受け取った位置情報はそのままQGISの地図上にプロットされます。あとは自分が見たい背景地図を選択すればトラクターナビの完成です。事前に圃場内のコース取りをデータ化すれば、トラクターをコース通り運転できているのかリアルタイムで確認できるようになります。また、この装置のメリットは、アンテナの取り外しができるので、トラクター以外のプラットフォームにも搭載可能です。

 

今回は試運転ということで、トラクターで集落を1周した時のタブレット上の画面を動画にしてみました。背景地図には夏にドローンで空撮したオルソ画像を使用しています。また、トラクターのフロントガラスにGoProを設置して、その時の走行の様子を合成しました。


トラクターナビβ版(試運転)

 


簡易NDVIカメラ

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コロナ禍の影響で社会経済が暗くなってきてモニタリングどころではないかもしれませんが・・・少しでも役立てられるような情報を紹介していきます。

今回は自作できる簡易NDVI(近赤外)カメラです。
3年前に作ったカメラですが、シーズンを通したモニタリングではいろいろ課題事項が多いため、現在はお蔵入りしています。しかし、生育状況の相対的な分布傾向を見るのには問題はありません。

生育状況を把握する指標としてNDVIがよく用いられています。現在では、P4 Multispectral(P4M)やRedEdge、Sequoiaなどのカメラが市販されています。これらカメラの特徴は複眼カメラということです。1回のシャッターで可視光(RGBバンド別)、レッドエッジ、近赤外を同時に取得できます。

 

私がドローン水稲モニタリングを始めた年はGopro3を2台用意して、可視光と近赤外を同時に撮影してNDVIを取得していました。ある意味複眼レンズですが・・・。ただ、別々のカメラで撮影した被写体の位置合わせは、photoshopを使って手作業で調整していたのでモチベーションが高い時は苦にならないのですが・・・ルーチンになってしまうと作業自体が苦痛でした。この経験から手作業部分を減らし、モニタリングを効率的にしなければならないということを学びました。

話が脱線してしまいましたが、市販されている近赤外カメラは現在でも高価なカメラ(数十〜百万円)です。そういった背景もあり、簡易NDVI(近赤外)カメラを自作してみました。

 

用意する機材は、10年ぐらい前に流行した3Dレンズ対応カメラと3Dレンズです。これを改造していきます。

機材

3Dレンズ対応カメラ LUMIX(Panasonic:DMC-GM1)中古2万円で購入
3Dレンズ LUMIX G 12.5mm / F12(Panasonic)新品1万円で購入
レンズガード ハクバ :SMC-PRO(1500円) 焦点距離の調整用
ガラスカッタ レンズをカットするため(1200円)
IRフィルタ 富士フイルム(1500円)

 

3Dレンズで撮影すると視差のある左眼用と右眼用画像が出力されます。これを赤青メガネで見ると立体的に感じることができます。

アナグリフの原理(引用先

 

簡易NDVI(近赤外)カメラに改造するためには、片方を可視光で撮影し、もう一方を近赤外で撮影できればOKです。今回使用したLUMIXのカメラ本体には近赤外を遮断するローパスフィルタが取り付けられています。まずは感電しないように慎重にネジを外し、本体を分解していきます。ローパスフィルタを取り外せたら、もとの姿に戻します。以前紹介したS110の改造ではIR 78フィルタをカメラ本体のイメージセンサの前に取り付けましたが、今回は違うので注意してください。

DMC-GM1+LUMIX G 12.5mm / F12(Panasonic)

 

次に、3Dレンズ側の改造です。ローパスフィルタを取り外した状態では可視光から近赤外までの幅広い波長を撮影することになってしまいます(赤みの強い画像)。そこで取り外したローパスフィルタをレンズの片方に取り付けます。そうすることで通常の可視光の画像が撮影できます。もう一方にはIRフィルタを付ければ近赤外の画像を取得できます。

(左:近赤外画像・右:ローパスフィルタを取り外した状態の可視光画像)

ガラス板で焦点距離を調整していない画像

 

フィルタだけではピントが合わないので、焦点距離を調整するためのガラス板(ガラスカッターで適度の大きさにカット)を挟んでグルーガンで固定します。

ローパスフィルタを取り除いたカメラ本体とそのローパスフィルタとIRフィルタを取り付けた3Dレンズ

 

3Dモードで撮影するとmpoという拡張子で記録されます。あまり聞き慣れない拡張子ですが、フリーソフトの「ステレオフォトメーカー」を使うことで可視光と近赤外の別々のjpgファイルに変換できます。

(左:近赤外画像・右:可視光画像)

上空から撮影した出穂期における水稲画像(2017年7月30日撮影)

 

複眼カメラであるため、右と左の画像は若干位置はズレてしまいますが、SfM-MVS処理で位置ズレ問題は解決できます。位置が合った可視光および近赤外のオルソ画像からバンド間演算でNDVIを求めます。

(左:近赤外画像・右:可視光画像)

出穂期におけるオルソ画像(2017年7月30日撮影)

  

出穂期におけるNDVI

 

一見難しそうな複眼カメラでも市販されている機材を使って改造すれば、1度に可視光と近赤外が撮影できる簡易NDVI(近赤外)カメラを自作できます。ただし、カメラを分解するとメーカー保証が受けられなくなるので注意してください。改造は自己責任です。

 


格安RTK‐GNSS機器の製作 ‐その3‐

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前回までの紹介でM8T基板の改造も終わり、今回はアンテナまわりの準備と外に出て位置計測を行います。格安RTK‐GNSS機器の製作の紹介は今回で最後になります。

 

今回使う機材

ステンレス鍋蓋 百均で購入。
一脚・三脚 アンテナを固定するために使用。
モバイルバッテリー
基板の電源。ケースに収まる大きさでOK。

 

4)グランドプレーンの作成
宇宙から到達する人工衛星の電波は強くありません。また、この電波は反射する特性があります。そのため、地面からの電波反射は位置計測の際にノイズとなってしまいます。ノイズを取り除くには、地面からの電波を遮断しなければなりません。そのため、アンテナの下に金属板を用意してノイズを取り除きます。ここでは、百均のステンレス鍋蓋で代用します。ステンレスは硬いので、穴を広げるにも一苦労です。

百均で売っているステンレス鍋蓋

 

5)一脚・三脚
改造した基板・アンテナは、一脚・三脚で固定します。固定局は計測中は動かしてはいけないので、足場が安定している地面かつ上空が開けている場所に設置します。一方、移動局は持ち運んで計測するため、一脚にします。なお、アンテナは防塵・防水加工されているのため雨でも大丈夫ですが、基板は一応ケースで覆っていますが・・・防水されていません。そのため、基板のケースをさらにキッチン用品のケースで覆って、多少の雨でも計測できるようにしました。
基板・アンテナより一脚・三脚の方が価格が高くなったのはちょっと複雑な感じです・・・。

連続計測中の移動局

 

6)位置計測
ようやく準備は終了です。モバイルバッテリーを取り付けて、屋外で計測してみましょう。

私は自宅裏に固定局・移動局をそれぞれ数時間設置してみました。計測が終われば、データ解析になります。microSDに保存されたテキストファイルを用いて解析します。解析に使うソフトは「RTKLIB」(この分野では非常に有名なオープンソフト)です。私もその恩恵にあずかります。

RTKLIBの操作方法は多くの人が詳しく情報を提供しているので、このサイトでは省略します。農研機構では、小型GNSS受信機を用いた高精度測位マニュアル(ドローン用対空標識編) を公開しています。今回紹介している格安RTK-GNSS測量についてまとめられているので、大変参考になるマニュアルです。

日本では、国土地理院が全国に約1300ヶ所の電子基準点(24時間連続にGNSSによる観測を行っている地点)を設置し、観測データを公開しています(データのダウンロードにはユーザ登録が必要:登録無料)。この電子基準点を用いてRTK-GNSS測量することも可能です。

自宅裏に設置した固定局と電子基準点を用いて、解析してみたら誤差1cm以内に収まる精度で位置計測することができました。

 

この技術を使えば、いろんな場所でcm単位の高精度な位置計測をすることが可能です。数年前では個人でRTK-GNSS測量というのは考えられませんでしたが・・・農業分野においても画期的な技術になりそうです。すばらしいっ!!