2020年栽培

P4Mの画像解析

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DJIから貸与してもらったP4Mを使って、実際に圃場のモニタリングを始めてみました。
P4Mは、RGBカメラと、ブルー・グリーン・レッド・レッドエッジ・近赤外線の波長帯を撮影できるマルチスペクトルカメラが一体となっています。また、P4Mの機体上部には日照センサーが取り付けられています。

P4M上部に取り付けられている日照センサー(DJI HPより

 

農作物のモニタリングにとって、飛行時の気象条件を把握することは重要です。晴天の場合、撮影する時間によってNDVIが大きく変動します。そのため、モニタリング精度を向上させるためには日照センサーが大切になってきます。

 

実際にP4Mで撮影をすると、JPGファイルと5つのTIFFファイルが生成されます。

DJI_0010.JPG(RGB、1600×1300ピクセル)
DJI_0011.TIF(ブルー(B):450nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0012.TIF(グリーン(G):560nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0013.TIF(レッド(R):650nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0014.TIF(レッドエッジ(RE):730nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0015.TIF(近赤外(NIR):840nm±26nm、1600×1300ピクセル)

※4桁の数字の下1桁(赤太字)で、どの波長帯の画像かわかります。

 

現在(2020/8/7時点)、P4Mの画像に直接対応しているソフトは、DJI TerraPix4Dfields になります。私が使用しているMetashape(旧PhotoScan)はP4Mには現時点では対応していません。

 

よく間違えやすいのが、日照センサーが機体に取り付けられているので、撮影された画像は日照センサーの情報が既に反映されていると思いがちです。しかし、日照センサーの情報はXMPメタデータに記録されているだけなので、P4Mに対応していないMetashapeを利用する場合は事前にこれらのメタデータを用いて補正する必要があります。DJI Terra とPix4Dfields はP4Mに対応しているので、ソフト上で自動的に補正してくれます。

P4MのXMPメタデータは、DJIからP4 Multispectral Image Progressing Guide v1.0 が公開されています。

 

下図は、P4Mで撮影されたTIFFデータをそのままMetashapeに読み込んで作成したオルソ画像(トゥルーカラー)とNDVI画像です。

補正前のオルソ画像(トゥルーカラー)と補正前のNDVI(2020年6月6日撮影)

 

シャッタースピード、ISOなどが変化している画像をそのまま読み込んでいるため、明度の違いが発生しています。さらに、NDVIを計算すると、その影響によって明らかにおかしなマップになってしまいます。

 

次は、XMPメタデータに記録されている日照センサーなどの情報をもとに画像を補正し、Metashape(旧PhotoScan)でオルソ化した画像から計算したNDVIマップを示します。

補正した画像から計算したNDVI

 

補正した画像を用いることで、上図のNDVIマップのおかしな箇所が修正されていることが確認できます。これらの結果から、MetashapeでP4Mの画像を利用する場合は、事前に画像の補正が必要なことがわかります。

 

参考文献

濱 侃・田中 圭・田 寛之・近藤昭彦(2018):ドローンに搭載可能な近赤外カメラの比較と検討:RedEdge とYubaflex,日本リモートセンシング学会誌,38(5),pp.451-457.

 


水稲株位置抽出(移植版)

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水稲株位置の抽出は以前にも紹介しました。以前紹介した方法は、苗がある程度生長した(草丈35cm程度)状態の空撮画像から水稲株の位置を抽出するので、「移植」だけではなく「直播」にも対応できました。今回は、移植に特化した水稲株位置の抽出方法を紹介していきます。

まず、重要なのは田植機の株間の設定が何cmなのか知る必要があります。株間は田植機で設定できます。私のところでは、2016年から株間設定を21cmとしています。ちなみに、条間(苗を植えつけた列の幅)は固定されて30cmとなっていますが、北海道では33cmとなっているそうです。

 

今回試した解析方法

1)苗と水面がはっきり区別できる近赤外オルソ画像を用意します。
今回は、2020年6月21日(移植から30日)にP4Mで空撮した画像を使用してみました。

近赤外オルソ画像(上空50mからP4Mで撮影)

 

2)撮影した近赤外オルソ画像をQGISで表示し、基本となる条(列)をラインでトレースしていきます。
トレースするラインは、5条植えの場合は真ん中、4条植えなら端の条でもいいかもしれません。なお、スタート地点とゴール地点は位置抽出に重要な地点になるので、慎重にトレースしてください。

5条植え田植機のため、真ん中の条をトレース(紫線)

 

3)基本となるラインを全てトレースしたら、今度は30cmごとのバッファでラインを複製します。試験サイト(37m×88m(32a))では、全部で132条(枕地10条含む)となりました。

基本トレースラインから30cmのバッファラインを生成

 

4)圃場全体にトーレスされた条から、次は田植機の設定した株間でポイントを生成していきます。QGISの「QChainage」というプラグインが便利です。このプラグインは、ラインから等間隔にポイント生成してくれます。試験サイトの全132条のラインから21cmごとにポイントを生成します。

「QChainage」で21cmの等間隔にポイントを生成

 

5)所々に欠株があるので、そのようなポイントは取り除いていきます。出来たポイントと近赤外オルソ画像を重ね合わせ、その場所のDN値を取得していきます。この時、水面に近いDN値のポイントは一斉に削除します。その結果、苗がある株だけを抽出することができます。

水稲株のみを抽出した結果

 

2020年における試験サイトに植えた苗は全体で50,206株になりますが、実際は欠株もあり48,621株となりました。試験サイト全体の欠株率は3.2%となります。今回は育苗箱に蒔く種籾の量が少なかったのが要因かもしれません。次年度への反省点です。

これらの水稲株にはユニークIDを割り当てていますので、株単位で管理することもできます(実際に運用するとなると作業時間が増えてしまいますが・・・)。

P4Mで空撮を実施しましたが、ドローンとカメラの一体型は操縦なども含めて、全ての面において楽でした。空撮画像もピンぼけがなく、水稲株の位置抽出にも問題ありませんでした。

 


Phantom プロポ

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P4MのフライトにはiPad専用アプリのGS Pro(DJI)が必要になります。そのため、手元にあるiPad Pro(10.5インチ)にインストールしました。P4Mのプロポには、モバイルデバイスを設置できるホルダーが付いているので、そこにiPadを取り付けます。

ところが、ここで問題が発生しました

モバイルデバイスホルダーの最大幅が170 mm までとなっていました。iPad Proの幅は174.1 mm とわずかばかりオーバーしています。ちょっと力を入れて取り付けるとギリギリ入ります。しかし、毎回この作業をするのはプロポにも負担がかかってしまいます。

ネットで調べてみると、拡張マウントというアイディア商品がありました。世の中、同じように困っている人がいるみたいです。さっそく、Amazon(送料無料で899円)で購入しました。中国から配送するとのことで商品到着まで約2週間かかりました。

拡張マウント

中国から直接届く商品は、だいたい箱が潰れてきます。中身はプラスチックの塊なのですが、大きいiPadユーザには便利な商品です。

拡張マウント・iPad Proを装着したプロポ

 

これで、プロポの負担やデバイスを取り付けるわずらわしさもなくなりました。

 


P4M(P4 Multispectral)

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今年のモニタリングには、新たなドローンを投入することができました。
モニタリング界隈で話題となっているDJIのP4M(P4 Multispectral)です。

P4 Multispectral(DJIから貸与)

 

DJIと共同研究ということで、P4Mを貸与していただくことになりました。
P4MのフライトにはiPadおよび無償アプリのGS Pro(一部機能は有償)が必要で、アプリ上で事前にコースやカメラのパラメータなど細かい設定ができます。

まずは、それぞれのセンサー(自作の近赤外カメラYubaflex、P4M、地上センサ)の特徴を把握したいと思います。

 


カモもソーシャルディスタンス

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緊急事態宣言は解除されましたが、新しい生活様式ということで、マスクの着用やソーシャルディスタンスが言われています。そんな中、田まわりをしているとマガモもソーシャルディスタンスを実施していました。マガモは雑草の種子や水草を食べてくれるので、いつも感謝しています。

ソーシャルディスタンス中のマガモ

今年も雑草パトロールよろしくお願いします

 


除草剤散布(2020年)

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試験サイトでは初期除草剤「コメットジャンボ」を散布しています。経験上、圃場内を深水(水位8cm程度)にして、無風or微風状態が散布後数時間続く状態で散布すると処理層がきちんと形成されて効果が高まります。今までの失敗例は、天気を読み間違えて、散布後に強風が発生して除草剤が偏ってしまった。藻(アオミドロ)をきちんと取り除かずに散布してしまったので、藻に除草剤が付着してしまった・・・など。こういうときは例外なく雑草が大量に発生します。圃場内の雑草を人間の手で取るのはかなりの労力が必要というか・・・あまりに多すぎると挫折してしまいます。

コメットジャンボ散布後の様子

(白い点は水面上を拡散するコメットジャンボ、緑色は雑草と藻)

 


2020年もNDVIフィールドセンサー設置

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2019年に設置したNDVIフィールドセンサーは、ドローンモニタリングに有益な情報をいろいろもたらせてくれました。昨年の台風19号でセンサーやロガーが水没してしまいましたが、徹底的に乾燥・清掃をしたおかげで無事に起動することができ、今年もセンサを設置することができました。2年目ということで昨年の反省を活かして少し工夫をしています。

まず、センサを設置する単管パイプの工夫です。昨年は単管パイプと直交クランプを取り付けただけでしたが、今回は強度を増すために筋交を追加しました。

単管パイプの打ち込みの工夫

 
次に、単管パイプの打ち込みです。昨年は単管パイプを直接金槌で叩いていたのですが、調べるといろいろ補助部材があることがわかりました。単管パイプの先端にヘッドと先端ミサイルを取り付ける事で打ち込みも多少楽になりました。

NDVIフィールドセンサーの設置の様子

 
さらに、今年はモニタリング情報の充実化を図るために、千葉大学の共同研究費で温度・気圧・湿度センサを追加(後日、濡れ葉センサを追加予定)することができました。

ドローンを用いて移植2日後に設置したNDVIフィールドセンサーを撮影

 
今年もいろいろ発見出来ることを期待したいと思います。
 


田植え(2020年)

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予定していた5月16日の田植えは苗の成長具合や当日の天気がイマイチだったので、22日まで延期しました。

苗の生育状況

発芽:種蒔きから6日後(4月28日)/ 種蒔きから28日後(5月20日)

 

今年は新型のAW5による田植えです。先代のSPA4は4条植えでしたが、新しい田植機は5条植えになります。これで作業時間は短縮できます。また、AW5は枕地(田植機の旋回によって生じる凹凸)の幅と田植機の幅がちょうど良く、ドン付きバックでピッタリ植えることができます。

ドン付きバック(クボタの取説図に加筆)

 

先代のSPA4での移植に必要な苗場箱は、昨年までの経験から111箱準備しました。しかし、AW5で6反植えたところ・・・21箱も余ってしまいました。これは予想外でした。株間は去年同様の21cm、苗取り量もほぼ同じ設定です。新旧でここまで変わるとは・・・なぜ?来年は苗箱の数を間違えないようしないといけません。余った育苗箱は、近所の農家さんが苗が足りなくなったとのことで譲りました。結果的に廃棄する分がなくなったので、よかったです。

AW5による田植え

 

次は、AW5を運転してみてのレビューです。

自動植付の機能が意外と便利でした。初めはこんな機能は無くても人間の手でやればと思っていたのですが(先代はこんな便利な機能は付いていなかった)、自動植付の機能を使うと旋回後の植え付け位置が調整されたり、マーカーの出し忘れなどのヒューマンエラーを防ぐことできます。少し強がってしまいました・・・自動植付の機能は素晴らしいです。

次に気付いたのは浮き苗の少なさです。今までは、移植後に水を入れると多くの苗が抜けてしまっていましたが、その量が目に見えて減りました。

また、新しい機能としては残った肥料をブロアー排出、運転席前の目印の棒でエラーをLED表示、アイドリングストップ機能などがあり、思った以上に作業が楽になりました。特に、追加された機能の中でも、あぜ越えサポート機能は気に入っています。田植機で圃場の出入り(特に出口)の際は、普段乗っている乗物では体感しないような角度になるときもあるので緊張します。今までは圃場から出る際は、苗や肥料を搭載している後ろ側が重くなるため、運転手の他に前側に大人一人を乗せてバランスをとってから出ていました。それが運転手が降りて圃場から出すことができるようになったのは、安全面からみてもいい機能だと思います。

あぜ越えサポート機能を指導してもらっているところ

 

田植え当日は納車したばかりということで、JAさん、クボタさんの心強いサポートがありました。ありがとうございます。

 

AW5は細かいところまで部品を取り外すことができるので、田植え後の掃除が徹底的にできます。特にセンサーを含む肥料散布部分は念入りに行います。年に一回しか使わないので、掃除が不十分で肥料が機体に残っていると、空気中の水分を含んで固着してしまいます。そうなると、能力を十分発揮できなくなってしまいます。

掃除のためにカバーを取り外したAW5

 

今年はコロナ禍による県境を越える移動の自粛もあって、いつもお手伝いをしてもらっている濱くんにお願いできませんでした。来年はぜひよろしくお願いします<m(_ _)m>

 


結果:均平精度(2020年)

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今年の代かきはトラクターナビを搭載することで、より的確に高い土を低い方へ土寄せを実施することができました。2019年に失敗してしまった圃場の乾きすぎ状態にならないように、天気予報と相談しながら水の状態を管理しました。その結果、ほぼ問題ない状態で田植えを迎えることができました。

 

田植えの直前(30分前)にドローンによる空撮を実施し、そのデータを用いて今年の均平精度の検証を行いました。2014年から比べると試験サイトの均平度の精度は良くなっていますが、そろそろ頭打ちになってきた感じです。実際にトラクターを動かし、圃場の均平化を実施してきましたが、満足いく状態になるまでは5年はかかるなぁと実感しました。また、均平化のアドバイスをくれたベテラン農家さんの言う通りでした

ⅰ) 代かき後の凹凸マップ(2020年)

 

ⅱ) 代かき後のオルソ画像(2020年5月22日撮影)

 

2014~2020年における均平精度の変遷

 

2020年は均平精度:1.1cm・最大高低差:4.0cmとなりました。今年も均平精度は問題ない結果となり、水管理もムラなくできるはずです。あとは、昨年みたいな梅雨の長雨にならないことを祈るだけです。

 


トラクターナビ(均平作業編)

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先日紹介したトラクターナビを装着して、代かきを行いました。トラクターナビはRTK-GNSSを用いたナビゲーションで、背景地図をユーザ側で自由に選択できる特徴があります。今回は代かきを行うので、背景地図には圃場内の高さを示したDSM(地表面高さ)データを使用します。このDSMデータは事前にドローンを用いて計測したもので、圃場内の高低差を可視化しています。RTK-GNSSで取得できる位置情報はとても高精度(数cm程度)なので、ピンポイントで地表面の高いところの土寄せを効率的にできます。

前回のトラクターナビ(β版)では、アンテナをトラクターの屋根付近に装着しましたが、今回はトラクターの先端に位置を変更しました。アンテナは裏側に磁石が貼られているANN-MB-00(2周波対応)を使用しています。屋根付近からトラクター先端にアンテナの位置を変えても、人工衛星からの受信信号に大きな変化はありませんでした。

アンテナをボンネットの先端に位置変更

 

「善意の基準局」として自宅屋上に設置した基準局の受信データをネット配信し、スマフォのテザリング機能を用いてRTK-GNSSを行います。

均平作業に利用するトラクターナビ

画面の〇十字は現在位置をリアルタイムに表示している

 

トラクターナビの背景地図は事前にドローンで計測したDSMになります。1cmの高さごとに色が変化するように可視化してます。このナビゲーションの画面を見ながら、地表面の高いところから低い方へ土寄せを行います。

代かき直後の試験サイト

 

今までは、紙に印刷した地図を見ながら代かきを行っていましたが、トラクターナビを使った均平作業はこれからのスマート農業にも使えるのではないかと思います。

それにしても、空撮画像から判断して・・・もう少し土寄せができたのかなぁと来年に向けての反省です。

 

【備忘録】

トラクターのアタッチメント位置

ロータリー(左) / ハロー(右)