ドローン

夏の連続観測

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恒例となった夏の連続観測を8月4〜5日にかけて実施しました。2016年から実施している連続観測は今年も快晴になりました。主な観測項目は2016年から変わらず、日出から日没までの間を、ドローン(熱赤外・NDVI)と地上(気温など)で観測します。【参考】2016年の連続観測 ・ 2017年の連続観測

3年目にもなると観測の改善点がわかってきます。まず、今年の圃場内の気温を観測する装置(通風口)の改良です。昨年は塩ビのパイプにアルミ箔を巻きました。パイプの中にはファンを設置しましたが、ファンが大きいため、動かすための電力も多く必要となってしまいました。そこで、今年は細めの塩ビパイプを白く塗装し、さらに小型ファンを取り付けました。昨年よりレベルアップです。電源は小型の太陽光パネルからの給電で十分動作しました。これらは濱氏(千葉大)の自作です。さすがです!!

圃場内に設置した気温観測装置

 

ドローンによる観測は初年度から変更はありません。NDVIはYubaflex、熱赤外はF30です。

今年は、新たにイネの蒸散を調べるために、ポロメーター(Delta-T社:AP4)による観測を追加しました。吉田先生(横国大)にご協力いただきました。ありがとうございます。

ポロメーターによるイネの蒸散測定

 

ドローン、ポロメーターは2時間ごとにデータを取得しました。また、気温・CO2・日射量は観測前にセンサを設置して昼夜の連続観測になります。

今年は観測データが充実しました。その分、解析するのも時間がかかりそうです。

 


手のひらGR

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長年、手軽に持ち運べるドローンを作ろうと仲間うちで計画していたドローンがようやく完成しました。コードネームは「手のひらGR」です。

手のひらGR

 

開発当初からの計画は、モニタリングや地図作成で使う自律飛行機能を有して、Richo GR(約250g)を搭載できることが条件でした。

手のひらGR は、調査用のメイン機ではなく、何かしらのトラブルでメイン機が動かなくなった時に使用する予備機の位置付けになります。特に海外などの遠方でメイン機による撮影ができなくなった時には重宝するはずです。そのため、予備機が大きな荷物になってはいけません。

手のひらGRは、折り畳み式クワッドコプターになります。大きさは縦横19cm(対角で26cm)ですが、折り畳むと百均で購入したCDケースに収まります。

CDケースに格納した手のひらGR

 

手のひらGRは、モータとESCが一体となったものを使うことによって軽量化しています。また、ケーブルも少なくなるので本体がすっきりします。バッテリー込みで約500gとなり、Ricoh GRを搭載しなければ、10分程度は飛行できます。搭載した場合は5分ぐらいになります。

200g未満機であれば、申請なしでDID地区でも飛行できるのですが、さすがにこの条件をクリアするのはできませんでした。しかし、申請なしでDID地区も飛行できる新型KT 200(超軽量カメラで撮影)も先日完成しました。これについては、別の機会に紹介します。

手のひらGRは単純にフライトするのも楽しい機体です。機敏な動きができるので、中型や大型ドローンにはない魅力があります。ドローンレースの人気があるのも納得です。

下の動画は上空10mのWaypointを数点設定して、自律飛行をテストしたときの様子です。

手のひらGRの自律飛行

 

 


イネの大百科

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農山漁村文化協会から「イネの大百科」という本が出版されました。小学高学年〜高校が対象ということもあって、写真や図が多くまたカラーで掲載されています。内容もわかりやすくまとまっているので、勉強になります。

「省力化と水田フル活用 大規模化にむけた技術」のページでは、ドローンを使った生育調査ということで、私の写真を掲載してもらいました。ありがとうございます。

イネの大百科(引用:農山漁村文化協会サイト)

 


P4pro+テスト飛行

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Phantom4pro+を購入された先生の初フライトと機能確認を試験サイトで行いました。

自宅裏の圃場周辺はDID地区外となっているので、申請なしでフライトできます。そのため、思いたったらすぐにテストができる良さはあります・・・そのかわり職場までは片道2時間の小旅行です

Phantom4pro+

 

私のDJI歴は、Phantom1(2013年販売)が初めてになります。安定した飛行が簡単にできるので、ドローンの操縦の楽しさを覚えました。ただ、当時はオートパイロットの機材が技適を取得していなかったため、マニュアル飛行のみでした。測量やモニタリングなどではあらかじめ設定したコースに飛行して撮影しないと、精度の高いマップを効率的に作成することができません。そのため、当時からオートパイロットが可能な自作ドローン(APMやpixhawk)に進んで、現在に至ります。

P4のフライト機能はネットなどの情報で知っていましたが、現物のシステムを見て驚きました。ターゲットの追従など安定して25分近くフライトできるのは魅力的です!セカンド機として欲しい!

モニタリングしているドローンの上空からP4pro+で撮影してみました。見たことのない視点からの画像を見るのは楽しいですね

モニタリングしているドローン上空からの撮影

 

モニタリング中の様子

 

(追記:2018/07/13)

Phantom4pro+ ではサードパーティのアプリを使うことができません。そのため、地図作成やモニタリングに必要な自律飛行機能が使えないことがわかりました。Phantom4pro+ に標準搭載されている自律飛行の機能は使いづらく、地図作成やモニタリングには不向きでした。Phantom4pro+ でサードパーティのアプリを利用したい場合は、液晶ディスプレイが付いていないプロポを別途購入しなければなりません。プロポをダウングレードすれば、Phantom4pro+ でもサードパーティの自律飛行ツールが使えるみたいです。Phantom4pro+ と Phantom4pro の違いは、プロポに液晶ディスプレイが付いているかの違いです。地図作成やモニタリングなどに使用したいと考えている方は、Phantom4pro がお勧めです。

 


論文賞受賞

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2014年のモニタリング成果をまとめた「田中・近藤(2016):小型マルチコプターを用いた近接リモートセンシングによる水稲生育マップ作成」が日本リモートセンシング学会の論文賞を受賞しました。この研究が評価されたことは、大変うれしく思います。

 

2014年はモニタリング1年目ということもあり手探りな状態でしたが、自分のタイミングで上空から得られる情報に大きな可能性を感じました。現在は、モニタリング5年目ということもあって様々な問題点を改善する力もつき、安定した運用ができていると考えています。ただ、栽培に関しては自然の影響を大きく受けるので、わからないことも多々あり、日々勉強といった感じです。そこが農業の楽しさでもあるかもしれません。

ドローン水稲モニタリングを論文としてまとめるのがゴールではなく、モニタリングを長年継続して情報を蓄積することが美味しいお米の栽培につながると考えているので、これからも引き続き、頑張っていきます!!

 


現代農業(5月号)

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2018年5月号の現代農業では、「ドローン&近赤外カメラで空から管理(下)」というタイトルで近赤外カメラを自作するという内容を書きました。

現代農業(2018年5月号)

 

ブログでも紹介している内容に改造時の写真とウンカ被害の空撮画像(鹿児島県伊佐市の若手農家さん撮影)を追加しています。

今月号の現代農業で興味深い記事がありました。農機メーカー突撃取材ヤンマーアグリ(株)編の中で、リモートセンシングなど先進的な技術の導入を対象としている農家規模は、20町歩以上の面積を耕作する農家だそうです。しかし、20町歩以上の面積となると、家族経営の農家では導入は難しいですね。ビジネスとして費用対効果を考えると仕方がないかもしれません。

 


現代農業

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久しぶりの更新です。

今月発売の現代農業(2018年4月号)に、「ドローン&近赤外カメラで空から管理(上)」というタイトルで記事を書きました。今回は、ドローンの自作に挑戦するという内容です。

現代農業(2018年4月号)

 

記事でも紹介していますが、自作ドローンの部品調達は中国のネットショッピングサイト「AliExpress(アリエクスプレス)※」をよく利用しています。国内のサイトより部品の取り揃えが豊富で価格も安いのが特徴です。ただ、日本語が自動翻訳のためか意味がわからないところもあります。

AliExpressのサイト

 

※AliExpressは中国のアリババ(ソフトバンクの孫正義社長が出資して急速に成長した世界的な企業)が運営するネットショッピングサイト

紙面の都合上、自作ドローンの調達リストを掲載することができなかったので、ここで紹介します。自作のヘキサコプターは約6万円で部品調達することができます。モニタリング用ドローンであれば、この内容で十分です。日本では,高い価格がいい商品という風潮がありますが、本当に必要な機能だけに絞れば、安価でもいいモノは作れます。

 

購入したドローンの部品と価格(2016年11月1日時点)

部品 価格(円) 送料(円)
フーレム(F550):ヘキサコプター 3,500 無料
DJI E310セット(モータ・ESC 6個) 35,000 無料
フライトコントローラ(Pixhawk) 5,250 250
GPS+コンパス(UBLOX NEO-M8N) 5,000 無料
スキッド 2,100 無料
リポバッテリ(3セル11.1V 10000mAh) 5,800 無料
プロペラ 6枚 1,600 無料
58,500 円(送料込み)

 

先日、次回(2018年5月号)の記事「近赤外カメラの改造方法」が校了しました。農業雑誌からかけ離れた内容となっていますが、お楽しみに。

 


NDVI & 温度観測

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昨年(8月6~7日)は試験サイトの圃場内の温度環境を把握するために、熱赤外カメラによる温度観測を行いました。今年も昨年同様の観測を千葉大学近藤研究室の濱さんと共同で、8月5日~6日(生育ステージは乳熟期)にかけてNDVI & 温度観測を実施しました。天気予報では曇一時雨となっており、観測は難しいかなぁと思っていましたが、2日間とも雨は降らず、無事に観測することができました。

昨年の観測結果からNDVIが高い箇所では群落表面温度の低温域となり、反対にNDVIが低い箇所では高温域となることがわかりました。また、群落表面温度のばらつきは玄米重量にも影響を及ぼすことが昨年の結果から示されています。

今年は出穂期から曇天が続き、日平均気温が27℃を超えた日はわずか3日(最大で28.2℃)です(8月6日時点)。そのため、2017年度産「どろーん米」は高温登熟障害の影響が小さいかもしれません。

【観測項目】
1)同一圃場内の生育状況が異なる2箇所で温湿度・CO2観測
・出穂期のNDVI分布を基に、NDVIが高い(草丈が高い)・NDVIが低い(草丈が低い)場所の2箇所に、観測機器を設置。


観測機器(温湿度・CO2

昨年の観測機器より耐久性等を増した装置を濱さんが作成しました。装置は塩ビ管(100mm)をアルミ箔で覆い、太陽光パネル+モバイルバッテリを電源にした通風機能を備えています。

 

2)熱赤外カメラによる群落表面温度観測
・昨年と同様に熱赤外カメラをドローンに搭載し、上空100mから2時間ごと(日の出~日の入りまで)に垂直撮影(地上分解能約30cm)。

上空100mからの温度観測画像(2017年8月5日12時撮影)

 

3)NDVI観測
・Yubaflexをドローンに搭載し、上空50mから2時間ごと(日の出~日の入りまで)に垂直撮影(地上分解能約2cm)。

SOLO(3DR社)

近未来的なデザインに仕上がっているSOLO(濱さん持参)にNDVI計測を担当してもらいました。SOLOは機底に付属のカメラが付いていないので、好きなカメラを搭載することができます。なお、ドローン業界の大きなシェアを占めているPhantomシリーズの場合は空撮用カメラが標準装備されているため、水稲モニタリングに適したカメラを後付けすることが難しくなっています。

SOLOについては濱さんのHPに情報が掲載されています。HPはこちら

今年も多くの観測データを取得することができたので、これから解析を行います。

 


モニタリングの現状と課題

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近年、日本の農業は農業用ロボットやICT技術を駆使して生育管理を行う精密農業の導入が各地で進んでいます。ドローン分野では、2016年に農薬散布ドローンが続々と農林水産航空協会の認定を受けており、2017年から各地で運用されている姿を見ることができると思います。また、これと同時にドローンを活用して、農作物の生育管理を行う会社も増えてきました。

従来、上空からの農作物モニタリングは、衛星・航空機(有人機)によるリモートセンシングが行われてきました。衛星による農作物モニタリングは一度に広範囲(約100kmの範囲)の情報を取得することができます。広範囲を管轄する組織であれば、有効なツールになります。実際に青森県では、「青天の霹靂」や「つがるロマン」はブランド化され,販売されています。

しかし、衛星モニタリングにも課題があります。

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温度観測

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近年、夏季における気温上昇にともなって、水稲の高温障害が問題となっています。
高温障害は白未熟粒(米が白く濁る)や胴割れ粒(亀裂が入る)などをもたらし、米の品質を大きく低下させます。米の品質が低下は、検査等級の低下やくず米の増加につながり、生産者にとって何ひとついいことはありません。

既往研究から、高温障害は出穂から登熟初期までの高温によって、米に障害がもたらされます。例えば、登熟期に27℃以上の日平均気温が続くと高温障害が発生し、白未熟粒が増加します。

そこで、今後の栽培において、高温障害に対応するためにも、まずは圃場内の温度環境を知る必要があります。
今回は千葉大学近藤研究室の学生さんと共同で、8月6日~7日(生育ステージは穂揃期)にかけて昼夜連続温度観測を実施しました。

ちなみに、試験サイトは埼玉県坂戸市に位置しているのですが、この地域は「あついぞ!熊谷」と同じぐらい夏季は高温になります。
最寄りのアメダスによる最高気温は6日36.6℃(猛暑日)、7日34.7℃(真夏日)となりました...

 

【観測項目】
1)圃場中央の温湿度観測
・高さの異なる2箇所に温湿度計を設置し、1分毎に記録。

温湿度観測
温湿度計設置

 

2)熱赤外カメラによる地表面温度観測
・熱赤外カメラをドローンに搭載し、上空100mから2時間ごとに垂直撮影(地上分解能約30cm)。
・改正航空法で夜間のドローン飛行は禁止されているので、夜間は自宅屋上から斜め撮影。

熱赤外カメラ例
ドローンによる地表面温度観測画像の例(2016年8月7日10時撮影)

 

3)NDVI
・近赤外カメラをドローンに搭載し、2時間ごとに撮影。

NDVI観測
ドローンによる近赤外撮影
(視線の先には、点のようなドローン)

 

現在、これらのデータを解析中ですが、いろいろと面白いことがわかってきました。

結果がまとまり次第、紹介します。

 

※今回の観測は自宅のガレージを拠点に実施したので、機材や食事などの融通が利き、無事に観測を終えることができました。

ガレージ

観測拠点
(ガレージ内に机や椅子、PC、バッテリ充電機、扇風機などを持ち込んで作業を実施)