Month: 4月 2019

種蒔き(2019)

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今年は水に浸した種籾は、ちょうど1週間でハト胸程度に催芽しました。水から出した種籾は、種蒔きの機械に詰まらないように表面の水分を飛ばし、乾燥させます(外に2~3時間乾燥)。

乾燥中の種籾を見守る子供たち

 

例年催芽するまでバラつきがあるので、過去のブログの記事をまとめてみました。埼玉県の水稲に関する技術情報では、浸種日数の目安は水の平均温度(℃)×日数(day)=100℃・day(例:水温15℃で7日間)とされています。

水温データがないので、ここでは温度を最寄りのアメダス地点(鳩山)の日平均気温を採用しました。塩水選を行った種籾は24時間薬液漬による種子消毒を行います。消毒終了後は井戸水を大型バケツに入れて浸種します。この方法は2015年から変わっていません。

表 催芽までの日数と積算温度の関係

栽培年2016201720182019
積算温度(℃・day)129.3126.1119.5101.4
催芽までの日数
水の交換毎日毎日中2日中3日

 

これらの結果から水の交換タイミングによって、催芽するまでの積算温度に違いが生じていることがわかりました。催芽するまでの水は常に新鮮なものでなければならないと教えられたので、2017年までその教えを実践していました。しかし、毎日交換しなくてもいいという情報を知ってしまったので、今年は中3日のタイミングに変更しました。日中に暖められた水を使い続けたことが催芽を早めた要因の一つではないかと考えられます。

種籾が乾燥したら、育苗箱の準備をしていきます。2018年は111箱(計算上では101箱ですが、不測の事態に備えて1割追加)を設定しましたが、実際に使ったのは101箱だったので、今年は箱数を減らして106箱を準備しました。

育苗箱と収量の関係

 

2018年に作成した育苗箱と収量の関係のグラフですが、2018年収量と2019年育苗箱の結果をそれぞれ更新しました。育苗箱を減らしていっても収量には影響を与えていないことがわかります。現在の田植機では株間を最大で21cmまでしか設定できないので、106箱より育苗箱を減らすことは難しそうな感じです。そのため、現在の栽培方法では10aあたり約18箱が下限かも知れません。

ばらまき機で播種した育苗箱はビニールハウスに搬入します。

ビニールハウスに搬入した育苗箱

1週間後には均一に発芽

 

今年の田植えは5月18・19日を予定しております。

 

塩水選 (2019年)

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2019年の水稲栽培、動き始めます!!
今年も昨年同様に育苗用のビニールハウスの整地を行った後で塩水選・籾消毒を行いました。

トンボを使ってビニールハウス内を整地

育苗用のビニールハウスは朝から近所の農家さんと一緒に整地し、下地となるビニールを二重に敷いていきます。所々に穴が空いてしまっているので、そこはガムテープで補修していきます。作業は2時間程度で終了しました。終了後はお茶タイムですが、その時にベテランの農家さんから、農業始めてからいろいろ工夫して頑張っているね〜とお言葉いただき嬉しかったです。ちょっとだけ認められたかもしれませんね。

来年はポールカメラでビニールハウス内を撮影し、事前に凹凸マップを作成してから作業できるようにしたいと思いました。


午後からは種籾の塩水選です。用意するのは、種籾(16kg)、バケツ(40L)、塩(5kg)、ザルです。下図は塩水選後に行う種子消毒のセットも写っています。

塩水選&種子消毒セット

20Lの水をバケツに用意し、塩5kgを入れます。あとは塩が完全に溶けきるまで混ぜていきます。そうすると、うるち米の選別にちょうどいい濃度になります。

塩水選用の溶液に卵を入れた状態

濃度がちょうどよいと上図のように卵は横向きになって浮きます。卵が縦向きや水中で浮いてしまった場合は塩分濃度が低いので、塩を追加する必要があります。

選別した種籾には塩分が付着しているので、よく水で洗います。洗った後は、種子伝染性病害(いもち病、ばか苗病など)の発生を防ぐために、消毒液に24時間漬け込みます。24時間後に消毒液からたっぷり入った水に入れ替えて、発芽するまで水を交換(2日に1回のペース)しながら待ちます。
消毒剤は従来から使っている「テクリードCフロアブル(クミアイ化学)」と「スミチオン乳剤(クミアイ化学)」を使用しました。

以前は種籾6袋(24kg:6反分)を注文していましたが、株間を16cm→21cmに変更したことによって育苗箱を減少でき、 2017年から5袋にコスト削減させました。 それでも、2018年は種籾が余ってしまってスズメたちの餌になっていたので、さらに1袋減らし、4袋にしました。種籾代も高いので少しでも節約です。

排水口再整備

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以前からほんのちょっと排水口から水が漏れることがありました。なので、農作業が本格的になる前に圃場の再整備を行いました。

我が家の圃場の排水口の位置は畦畔より若干前側に設置されているため、先代達がトラクターで排水口を傷つけ、いろいろと破損させていました。

排水口の位置( 試験サイト )

そこで、排水口について調べるために周辺の土を取り除いてみると、漏水の原因が判明しました。驚いたことに、φ150の塩ビ管にφ100のエルボが取り付けられていたのです。

再整備前の排水口
 

もちろん、ピッタリ合いません。いろいろと漏れないように先代達の工夫した跡はありましたが…わずかな隙間から漏れ出していました。このあたりでは、φ150の 塩ビ管 は大きなホームセンターに行かないと手に入りにくいことが多いので、 φ100で試行錯誤したと思われます。

今回の再整備は2箇所の圃場で、それぞれの環境に合うような排水口を選びました。一つは畦畔の側面に合うような排水口で、水位が調整できるものです。今まではビニール袋に土を入れた簡易土のうで管理していたので、今回の整備で少し進歩をしました。

排水閘(150型)
 

もう一つは、これも水位調整できる排水口ですが、鉛直方向の塩ビ管自身を上下に動かして高さを調整します。

ER型 自在排水筒 

若干、圃場の高さと一致しなかったため、畦畔に埋めらている塩ビ管全部を掘り起こし、高さを調整し直しました。

一応、これで漏水問題は解決です。

スマート農業では、水位調整の自動化の動きもありますが、圃場は生産者の工夫に満ちているものなので、一概に給水口・排水口の標準化は大変なのではと今回の一件から考えさせられました。


ピンポイント投下機

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農業分野でのドローンの利活用のひとつに農薬・肥料散布が挙げられます。しかし、農薬・肥料を散布できるような大型ドローンは安くても100万円以上はします。第2種兼業農家の私としてはそのような資金もないので大型ドローンによる散布ではなく、いつも使っているモニタリング用のドローンのカメラ搭載部分を取り外して、ピンポイントに投下できる装置を考えました(紹介するのが遅くなりましたが・・・)。

通常使用しているモニタリング用のドローンのペイロードは約500gなので、その制限内で開発しなければなりません。

材料は自宅にあったCD‐Rのケースと使用していないサーボがベースになります。ピンポイント散布を考えているのは、初期除草剤である「コメットジャンボ」です。コメットジャンボの効果は300g/10aとなっており、30gずつに水溶性の袋でまとめられています。軽量である袋をドローンで運搬し、ピンポイントで投下できるようにします。

ピンポイント投下装置

本当に簡単な改造ですが、CD‐Rのケースから袋が落下できるように少し大きめの穴を開けます。また、内部は1袋ずつ落下できるように仕切りを設けます。仕切りの中心部の軸を360度回転できるようにサーボと連動するように接着させます。

通常、サーボは一定範囲の角度内で動作します。つまり、一方向を無限に回転することはできないようになっています。そこで、サーボを分解して、ストッパの部品を取り除き、その部分を接着剤で固定させると、一方向に回転するようになります。そして、回転スピードの調整はプロポ側で行ないます。参考サイト

まだ問題点が多々ありすぎて、5月の本番で使えるかわかりませんが、少しずつ改善していきます。

ちなみに、国土交通省航空局にオンライン申請した結果、2営業日で連絡をいただきました。資料の追加などのやり取りも含めて実質7営業日で申請が完了しました。航空法が改正した当初は1ヶ月間程度の時間は必要だと聞いていましたが、現在は自作機であっても特に問題なく迅速なやり取りが可能となっています。