熱赤外カメラによる空撮
少し前の話題になりますが、今年の農閑期(4月中旬)に熱赤外カメラによる空撮を実施しました。
熱赤外カメラはイネ群落の表面温度の連続観測(穂揃期)で使用しましたが、今回は圃場の地表面温度から土壌水分量および均平を把握できるのか観測してみました。
【圃場環境】
・田起しを行ってから、約1カ月経過 (試験サイトの隣(北側)の圃場も同時期に田起しを実施)
・熱赤外カメラによる空撮実施の前日に、数時間の降雨
オルソ画像(4月中旬)
熱赤外カメラ画像(4月中旬)
上記画像の拡大図
地表面温度は西側で相対的に高く、東側が低い結果となりました。特に中央部では温度が低くなっています。この部分を拡大してみると、田起し後に石拾いのために歩いた足跡周辺で地表面温度が低下していました。圃場を歩くと5cm程度は凹むので、熱赤外カメラはその影響までも観測できているのではないかと考えられます。また、西~東側に筋状に地表面温度が高くなっている場所は、昨年の収穫後に籾殻を撒いたところになります。ちなみに、隣(北側)の圃場は足跡もなく、地表面温度が一様な分布をしていることがわかりました。
わずかな環境の違いを捉えられる熱赤外カメラは有益なセンサであると実感しました。
上記の実験後に、トラクタによる均平化を行い、1週間後に再度空撮(可視光・熱赤外カメラ)を実施しました。
オルソ画像(5月上旬)
熱赤外カメラ画像(5月上旬)
トラクタによる均平化を行った後の均平精度は標準偏差1.5cmとなり、地表面温度のばらつきは前回の分布と異なる結果となりました。
西側にある給水口ではわずかな量の水が漏れ出していたため、地表面温度が低くなっています。オルソ画像では地表面の見た目の変化はありませんが、熱赤外ではちゃんと変化を捉えることができています。また、圃場の3辺(西側除く)にかけて温度が低い場所は、くろつけを行った際のトラクターの車輪跡になります。
今回の実験から熱赤外カメラを用いた観測は様々な現象を取得できるセンサとして有望なので、今後も継続して観測していく予定です。