2017生産履歴

倒伏の定量化

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以前にも紹介したように、コシヒカリは稲穂が垂れやすく、倒伏しやすい品種になります。
今年の「どろーん米」は、8月19日の降雨(約67mm)をきっかけに、出穂2週間前に診断した高リスク箇所から徐々に倒伏が進んでいきました。

今回はモニタリングデータから倒伏の定量化について、少しまとめてみました。

まず、イネが倒伏してしまうと、農機具による収穫が難しくなります。
我が家ではコンバインを所有しているので今まで気にしていませんでしたが、農作業を外部に委託した場合、倒伏した圃場では標準料金とは別に10%~30%程度加算されてしまいます(料金は各自治体によって異なります)。たとえば、島根県邑南町が公開している農作業標準賃金(平成29年度)では、倒伏面積割合で割増料金が以下のように決まっています。

倒伏面積割合 0%~30% 30%~50% 50%~80% 80%以上
割増 規定料金 20%増 30%増 50%増

※標準価格:コンバインによる刈取り 10aあたり20,800円

現場では倒伏面積割合をいちいち算出するのは時間がかかるので、担当者の目分量で判断していることがほとんどだと思います。

 

そこで、刈取り前の空撮データから倒伏面積割合を算出できるか試してみました。

【使用するデータ】

・ドローンによる空撮(可視光:Richo GR)データ(2017年9月8日撮影:刈取り前日)

狭い範囲なら目視で倒伏範囲を特定しても時間はかかりませんが、広範囲に及ぶと目視での範囲特定は手間と時間がかかってしまいます。
リモートセンシングの分野では、古くから画像データを利用した画像分類は得意とするところです。たとえば、JAXAがALOS/ALOS-2の人工衛星から画像分類して作成した高解像度(解像度約10m)の土地被覆図などがあります。

画像分類には「教師なし分類」・「教師付き分類」がありますが、今回はトレーニングデータを必要とせず、画像の特徴量をもとに自動分類を行う「教師なし分類」を選択しました。

ドローンによる空撮画像から作成したオルソ画像を用いて、教師なし分類を行った結果が下図になります。

画像分類結果(2017年9月8日撮影データを使用)

 

誤分類も多々ありますが、大きく倒伏した範囲の抽出ができているので、倒伏の抽出には教師なし分類も使えることがわかりました。なお、試験サイトの倒伏面積は 517.1㎡ で圃場面積の 15.9% となりました。

 

画像分類による倒伏範囲の特定は倒伏しているかどうかを抽出する方法で、イネがどの程度の傾きで倒伏しているかはわかりません。

イネの倒伏程度の判断基準は、一般的に倒伏したイネの傾きの大きさを「0(無)」~「5(甚)」の6段階で表すことが多いそうです。

倒伏程度の判断基準

 

今度は、モニタリング解析で作成するDSMデータを用いて倒伏程度を求めてみます。
使用するデータは、倒伏する直前(出穂期から14日後)と刈取り前日(出穂期から40日後)の2時期のDSMデータです。

【使用するデータ】

・ドローンによる空撮データから作成したDSM
倒伏直前のDSM :2017年8月13日撮影
刈取り前日のDSM:2017年9月8日撮影

 

倒伏直前のDSMと刈取り前日のDSMの三角関数から角度を求め、倒伏程度に変換した分布図が下図になります。

倒伏前後のDSMから計算した倒伏程度(ラスタデータ)

 

地点1 倒伏のない状態(ベテラン農家さん)

 

地点2 倒伏程度の大きい地点(試験サイト)

 

試験サイトでは倒伏程度の大きい箇所(地点2)が多く見られますが、隣のベテラン農家さんの圃場ではほとんど倒伏(地点1)がありません。
移植日は同じなので、同じ気象条件であるにもかかわらず、結果的に倒伏の差が生じます。これがベテランと新米の違いなのかもしれません...。

 

2016年から水稲株単位でも解析を行っています。倒伏程度も株単位(2017年:圃場全体で約4.7万株)で計算すると次のようになりました。

水稲株単位の倒伏程度(ポイントデータ)

 

水稲株単位で求めた倒伏程度別占有率

 

コンバインによる収穫作業が難しくなるのを「倒伏程度4」と仮定した場合、倒伏割合(倒伏程度4+倒伏程度5)は31.4%(約1.4万株)となりました。
最初で紹介した画像分類による倒伏範囲の抽出より高い結果となります。精度検証として、画像分類によって抽出した倒伏範囲と水稲株単位の倒伏程度で重ね合わせ分析を行った結果、倒伏範囲に含まれる水稲株の約82%が倒伏程度4.5~5となりました。このことから、画像分類による倒伏範囲の抽出は、上空からでも判読しやすい倒伏程度が大きい「4.5~5」を捉えているのではないかと考えられます。

 

来年こそ、倒伏しないような水稲栽培ができるように頑張ります!!

 


2017年:本田防除(殺虫)

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7月29日の散布に続いて、今回はカメムシ類などの病害虫防除を目的とした散布になります。

出穂してからは雨天が続いたため散布するタイミングが遅くなり、出穂10日後に散布を行いました。

今までは妻に貴重な助っ人として手伝ってもらっていましたが、日程の調整が難しく、結果として一人だけで初めての散布を実施しました。一連の流れは頭に入っていますが、100m先までホースを引っ張る・散布後のホースの清掃など全部一人で行うには今まで以上に時間がかかってしまいました。あと、体力的にも疲れます…。

 

【使用農薬】

・スミチオン(1成分):殺虫剤

 対策:カメムシ類、ウンカ類などの水田害虫の殺虫

 10aあたりに水100l + スミチオン100ml(1000倍希釈)

スミチオン乳剤

 

 


出穂期(2017年)

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昨年は8月4日に出穂期となりましたが、今年は天候の影響もあって7月30日に出穂期を迎えました。昨年より5日ほど早くなっています。

穂の上部から次々に開花している様子(2017年7月30日撮影)

 

出穂期のバラツキが気になったので、移植~出穂の期間(2014~2017年)の気象データをまとめてみました。気象データは最寄りのアメダス地点:鳩山(直線距離:4.8km)の日照時間と気温を使用しています。

移植日~出穂期までの積算日照時間・積算温度

 

その結果、この地域でコシヒカリが移植してから出穂するまでに、日照時間:約400(h)・積算温度:約1700(℃)※必要であると考えられます。もちろん、この数値は地域差があるので、どこでも適応できる数値ではないと思いますが・・・これまでの既往研究について調べないといけません。

※積算温度は日平均気温を積算して計算しています。

 

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日 出穂期 日数 積算日照時間(h) 積算温度(℃)
2017 5月21日 7月30日 71 399.8 1697.6
2016  5月21日 8月4日 76 381.3 1774.5
2015  5月23日 8月3日 73 427.8 1742.1
2014 5月24日 8月3日 72 400.4 1714.0
Average 5月22日 8月3日 73 396.1 1711.3

 

冒頭にも書きましたが、今年は7月30日に出穂期を迎えましたが、移植してから出穂までの日数は71日で、4年間の観測結果からみても特段早いわけでもありませんでした。昨年は天候不順で出穂が遅くなり、ちょうど例年の出穂期に当てはまっただけでした。自分の頭の中では、例年の出穂日の印象が強いため、今年の生育が早まっていると思い込んでいました。数字で見ると、ほぼ例年通りに生育していることがわかります。

 

今年は株間を21cmで移植しました(昨年は株間18cm、一昨年以前は株間16㎝)。

週一のドローンによるモニタリングと同時に、地上では草丈・茎数の調査を8地点(40株)で実施しています。*2014年は10株の調査

出穂期における1株あたりの茎数は、2014年15.5本、2015年17.5本、2016年20.7本と株間を広げたことによって茎数も増加しています。今年は茎数は24.2本となっています。

試験サイトにおける1株当たりの茎数の時系列変化

 

出穂期以降もこのまま順調に生育すれば、従来から言われているように疎植しても収量は減少しないと思われます。ただ、2年連続台風による冠水が発生しているので、今年も心配です。

 

 


2017年:本田防除(殺菌)

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台風3号(NANMADOL)が通過してから晴天が続いたことによって、例年よりイネの生育速度が早まってしまいました。

事前に予定したスケジュールの調整が難しく、穂の一部が既に出穂してしまった状態でいもち病、紋枯れ病や内頴褐変病等に対する防除を行いました。本来なら、出穂直前に予防散布を行うのがベストなのですが・・・まだまだ天候を読む力が足りません。

また、防除を行った日は曇天で、夕方から小雨の予報だったので、少しでも早く乾燥させるために早朝から実施しました。

土日が農作業のメインになる兼業農家にとって、イネの生育状況や天候に合わせて動けないのはツライところです。

 

年に2回使用する動噴(自走式ラジコン動力噴霧機)

 

昨年は初めて散布を行ったため、機械の設定やホースの扱い方に悩まされたのですが、今年は昨年の経験も活かして、自分なりに手際よく散布を行えました。

 

散布の様子

次の動噴使用は、カメムシ類の防除になります。

 

【使用農薬】

・ノンブラスフロアブル(2成分):殺菌剤

 対策:いもち病、内頴褐変病、変色米、穂枯れ

 10aあたりに水100l + ノンブラスフロアブル100ml(1000倍希釈)

 

ノンブラスフロアブル

 

 


中干し(2017年)

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田植えから1ヶ月後の6月26日~7月10日まで中干しを実施しました。

営農情報によれば、中干しは7~10日間が目安となっていますが、梅雨前線・台風3号(NANMADOL)による雨の影響で、予定通りの中干しはできませんでした。

台風3号が通過してからは、最高気温が35℃以上の晴天が続き、一気に圃場の水が蒸発していきました。

昨年は中干しの確認を行うために、超低空(対地高度約5m)のマニュアル飛行で撮影しました。

今年は可視光、近赤外、熱赤外の3つのカメラで超低空(対地高度約5m)撮影を行い、中干し確認にはどれがベストか試みました。

 

超低空撮影(2017年7月9日撮影)

 

ダウンウォッシュの影響でイネが倒れた状態になってしまい、条間の土壌の様子が確認できませんでした。欠株したところで、中干しして生じたひび割れを確認できました。

上図の拡大部分(撮影原サイズ)

 

上空からの中干し確認の他に、地上からも確認したのが、下図になります。

地上からの中干し確認(2017年7月9日撮影)

 

 

近赤外カメラによる超低空撮影

 

近赤外画像では植生の分光反射が強く、土壌や水の分光反射が弱い特性があるため、中干しによる土壌のひび割れを探すのは難しいとわかりました。

熱赤外カメラによる超低空撮影

 

 

熱赤外カメラでは土壌とイネの葉の表面温度の計測できました。上図は条間部分の土壌で約40℃の高温になり、イネの葉の表面温度は約30℃の結果を示しています。今回使用している熱赤外カメラは画素数が少ないため、土壌のひび割れまでの細かい情報の抽出は難しいのかなと思いました。ただし、圃場内に水が残っているかどうかの確認には使えそうだと思います。

 

可視光の画像が中干し確認には一番わかりやすかったのですが・・・圃場内に入って確認するのも確実だと思います。

 


除草剤散布(2017年)

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今年も移植してから2週間後に除草剤「コメットジャンボ」を試験サイトに散布しました。コメットジャンボは水で溶ける包みで覆われており、溶解すると直径7~8mに除草剤が広がります。

 

コメットジャンボが溶解し、除草剤が周囲に散布される様子

 

昨年は試験サイトとは別の圃場でも同様に散布しましたが、雑草に悩まされました。原因は風が強い日に散布したことによって、除草剤が風下側に流されてしまったことです。ちなみに、昨年の試験サイトは無風時に散布したので、雑草の影響はほぼありませんでした。

今年は昨年の反省も活かして、風が弱くなる日まで待ってから除草剤を散布しました。散布後は、除草の効果を高めるために、1週間は落水しないように水管理を行っていきます。

下の写真は移植後15日目の様子です。株間・条間にはヒエ・イヌビエなどの雑草が発芽しています。

 

株間・条間に発芽した雑草

 

【使用農薬】
・コメットジャンボ(1反あたり300g:1袋)
除草剤

散布予定マップと除草剤

 

 


真夏日の田植え(2017年)

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埼玉県坂戸市の最高気温は33度となり、真夏日の田植えとなりました。

今年も移植方法・肥料を変えて、栽培を行います。
昨年は株間を18cmに変更しましたが、今年は一部の圃場で21cmの疎植に挑戦です。

1)株間:21cm、肥料:基肥一発肥料「コシヒカリ一発LP485」、面積:3反
2)株間:18cm、肥料:基肥一発肥料「コシヒカリ一発LP485」、面積:2反
3)株間:18cm、肥料:基肥一発肥料「スーパーらくだ君500」、面積:1反

株間を一部変更したので、育苗箱は昨年の130箱から115箱に節減できました。今後、6反全部を21cmに変更した場合は計算上103箱で十分なので、さらにコストカットにつながることが予想できます。祖父・父の代では例年150箱(株間16cm)用意していましたが、その時と比較すると今年は約23%カットすることができました。

また、肥料は「スーパーらくだ君500」を実験的に1反の圃場で試します。この肥料は1反あたり20kgなので、「コシヒカリ一発LP485」の半分の量になります。コスト面で考えると「スーパーらくだ君」は魅力的ですが、食味に違いができるかわからないので、今年の栽培でチェックします。


基肥一発肥料:「コシヒカリ一発LP485」、「スーパーらくだ君500」

1年に1回しか使わない田植機ですが、駆動系のトラブルもなく、順調に植えることができました。使用後は念入りな泥落としが必要です。泥が固まってしまうと、取り除くのは大変です。

田植機の洗車(泥落し)

株間21cmの疎植は、周囲の圃場と比べても見た目がスカスカでちょっと心配になります。

今年の田植えの出来栄え

ちょっと大きいバケツ栽培

今年は庭先に息子専用の圃場を用意しました。水稲栽培に興味を持ってくれればいいのですが(笑)。

順調に生育すれば、9月中旬に収穫を迎えます。

 

【使用農薬】
・ルーチンアドスピノ箱粒剤(育苗箱1箱50g)
いもち病などの対策

 

【使用肥料】
・コシヒカリ一発LP485(1反あたり35~40kg:2袋)

・スーパーらくだ君500(1反あたり20kg:1袋)


2017年水稲栽培始動

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いよいよ、2017年の水稲栽培に向けて、動き始めます。

まずは、育苗用ビニールハウスの準備を近所の農家さんと行いました。この日は最高気温は27.4℃と平年と比べると+8℃で、初夏の陽気でした。

育苗用ビニールハウスの整地が終わってからは、種籾の「塩水選」で中身の詰まった良い種子を選別します。

 

塩水選作業の準備

去年と同様に、塩5kg・水20lを用意して、濃度20%(約比重1.13)の塩水を作っていきます。

食塩水作成中

種籾を食塩水に投入していきます。軽い種籾は浮き上がるのでザルで取り除き、沈んだ種籾のみを使用します。

昨年は、6反分の24kgの種籾を購入し、塩水選で約20kgに選別しました。しかし、種籾がかなり余ってしまったので、今年は例年より少なめで行います。

2017年:種籾20kgを購入

塩水選による選別を終えた種籾は、水稲の種子伝染性病害(いもち病、ばか苗病など)の発生を防ぐために種子消毒(24時間薬液漬)を行います。

種子消毒剤は「テクリードCフロアブル(クミアイ化学)」と「スミチオン乳剤(クミアイ化学)」を使用しました。

 

【使用農薬】

・テクリードCフロアブル(1成分):殺菌剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤200ml)

・スミチオン乳剤(1成分):殺虫剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤40ml)

種子消毒

農作業に使用する水は、井戸の水(地下約30m)を使用しています。

井戸の水温は、深さ10mになると温度の年変化がほとんどなくなるため、その土地の年平均気温とほぼ同じとされています。最寄りのアメダス地点(鳩山)の年平均気温は約15℃なので、水温は年間を通して15℃前後になります。

種籾が発芽するために必要な積算温度(水温×日数)は100℃・dayとされています。そのため、この地域では浸種を行なったら、1週間後に種蒔きになります。