地理院地図
【手法】ドローン飛行設定
ドローンによる空撮手順の一例を紹介します。
モニタリングや地図作成など定期的かつ効率的に撮影するには、ドローンの自律飛行機能は重要になります。
私がドローンに触れたときは、上記の目的を満たす機体は僅かでした。
※2012年発売のPhantom1(DJI社)は電波法によって制限されていました。現在のPhantomシリーズはPCまたはタブレットを通して、自律飛行は可能となっています。
そこで、当時でも自律飛行が可能なオープンソース系のフライトコントローラを搭載したZion EX700を購入しました。
ここでは、飛行コースや機体のセッティングを行うフリーソフトの「Mission Planner」を紹介します。
撮影カメラ
【2014年】
オルソ画像・DSM
・可視光域:Nikon AW1
Nikon AW1(シャッター部分には小型サーボを設置)
NDVI
・近赤外域:GoPro3×2台
GoPro3を用いた簡易型近赤外カメラ
左側:近赤外域(光吸収・赤外線透過フィルターをレンズ前に設置)、右側:可視光域
【2015年以降】
2014年に判明した問題点を改善するために、撮影カメラを以下のものに変更しました。
オルソ画像・DSM
・可視光域:Richo GR
Richo GR
RICHO GRは、これまでに試したカメラの中で空撮に適したカメラです。重量が245gと軽量でありながら、撮像素子(23.7mm×15.7mm)が大きいので、画質の高い画像を撮影できます。また、レンズの歪みも小さいので、3Dモデル作成にも適しています。私がお勧めするカメラの一つです。
NDVI
・近赤外域:Canon S110(近赤外域を撮影できるように改造)
改造Canon S110(近赤外域撮影用)
1) 撮影計画
Mission Plannerでは、撮影カメラの仕様や飛行高度などを入力することで、最適な飛行経路を設定できます。 下図は週1間隔でモニタリングを行っている飛行コースになります。地面効果の影響によって機体が不安定になりやすい離着陸時は、マニュアルで操縦を行い、ある程度上空に到達したら、自律飛行に切替えます。
飛行コース(黄線:設定コース 緑点:ウェイポイント)
※対地高度:50m サイドラップ率:70%
2) 基準点設置
撮影画像から作成する3Dモデルに位置情報を付与するために、基準点(GCP:Ground Control Point)を設置します。高精度の3Dモデルを作成したい場合は,トータルステーション(TS)や人工衛星を用いた測量(RTK-GNSS測量)が望ましいです。多少精度が落ちますが、地理院地図の緯度経度座標及び標高値を使用することもできます。
2014年は地理院地図の座標を用いていましたが、高精度な3Dモデルが欲しくなったので、トータルステーションで圃場四隅を計測しました。2015年以降はTS測量で取得した値を使用しています。
トータルステーション測量(2015年)
基準点は対地高度50mからでもが判読できるように設置します。材料はホームセンターで揃えることができます(約1,200円)。
基準点用の杭:テント用のプラスチック製ペグを使用(ホームセンターで購入:1本約100円×4本)
対空標識:直径30cmのプラスチック製の漬物落し蓋を使用(ホームセンターで購入:1枚約200円×4枚) ※判読しやすいように、油性マジックで塗装。
基準点+対空標識
3)飛行・撮影
ドローン撮影の基本は「下手な鉄砲も数撃てば当たる」です。無駄になっても構わないので、枚数を多く撮影していきます。機体の揺れなどによってピンボケが撮影されこともあるので、Richo GRでは最短インターバルの1秒で撮影します。Canon S110も同様に最短のインターバルで撮影します。ただし、Canon S110は標準機能にはインターバル撮影がないので、ロシアン・ファーム(ロシアで開発されたソフトを使った裏技)で機能を追加します。
3Dモデル作成には、ピンボケの撮影画像などは取り除きます。
上空から撮影中
次回、3Dモデル作成について説明します。
試験サイト周辺の3Dモデル