Month: 11月 2019

【報告】台風19号(T1919)による葛川氾濫

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ここ1カ月以上、ドローンモニタリングなどに関する記事を書いていませんが・・・今回の葛川氾濫について記録を残すことを目的に、簡単な報告書をまとめました。本文については、日本地理学会災害対応委員会で公開されています。

各地で水害が発災した翌日の10月14日夜に国土地理院が荒川水系(入間川・越辺川・都幾川)の浸水推定段彩図を公開しました。

国土地理院が作成した荒川水系(入間川・越辺川・都幾川)の浸水推定段彩図(速報)に加筆

 

この地図は、13日10時および12時頃に航空機から撮影した情報などをもとに作成されています。しかし、葛川流域については残念ながら航空機の撮影外でしたので、浸水深推定地図も範囲外でした。そのため、葛川氾濫の情報がないというはあまりよろしくないので、ドローン空撮を用いて葛川氾濫の浸水範囲・浸水深推定地図を作成してみました。

 

葛川氾濫の範囲および浸水深の推定

浸水範囲・浸水深を推定するにあたって、土手沿いに漂流した稲藁や泥など手掛かりにして行いました。漂流物(最大水位時)の標高をRTK-GNSS測量およびドローン空撮から算出しました。

高麗川・葛川の堤防に付着した泥および漂流物から最大水位時の標高値を計測

 

発災してから3日後にドローンで空撮した画像から最大水位時の標高値を求めた結果、高麗川25.3m・葛川24.8mになりました。最大水位時の標高値が求められれば、国土地理院が公開している高解像度DEMを用いることで浸水深・範囲を推定することができます。

最大水位時の標高値とDEMの差分で浸水深を推定

台風19号による葛川氾濫の浸水範囲・浸水深推定地図

大きい地図で表示(地理院地図)

 

葛川水門近くの田畑で約3mの最深値となり。浸水面積は70.2haとなりました。このうち田畑などの浸水面積は50haですが、国土交通省が災害情報の速報として公開している田畑などの浸水面積では25haとなっているので、その倍の面積が浸水していることがわかりました。

次に、浸水量を計算した結果、葛川氾濫における浸水量は約90.4万㎥となり、大量の水が堤内地に一時的に滞留したことによって、新ヶ谷地区・東和田地区・戸口地区・沢木地区の建物に被害を及ぼしました。

 

葛川氾濫のタイムラインは下記に掲載。

 

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台風19号(T1919)による被害状況4

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11月9日に埼玉県知事、自民党県議団の議員による被害が大きかった越辺川(川越市)、葛川水門(坂戸市)、都幾川(東松山市)の現地視察がありました。

高麗川の土手から葛川の内水氾濫を視察(2019年10月13日15時)

 

葛川は昔から氾濫しているので、地元では葛川改修工事促進期成同盟会を結成し、葛川を管理する埼玉県飯能県土整備事務所に浸水対策に関する要望を行ってきました。既に葛川放水路(2009年)などの建設をはじめ堤防嵩上げ工事(2019年度事業中)が実施されています。

現在、越辺川・高麗川・葛川の合流地点に位置する葛川水門には排水機場がないため、水門を閉鎖すると30分ぐらいで集落の冠水が始まります。そのため、排水機場の設置は流域住民の悲願ですが、なかなか難しい状況でもあります。

葛川(埼玉県管理)の水は越辺川(国管理)に流れ、川越で入間川に合流し、さらに荒川として東京湾に流れ込みます。今回の台風19号による越水決壊で明らかになったように、既に越辺川の許容量がオーバーな状態で、葛川の水をさらに受け入れられる余裕があるのか課題も残ります。

現状では、下流域を守るために上流域が犠牲になっているのですが、反対に上流域を守るために、人口が多い下流域に氾濫の危険性を押し付けてもいいのか・・・まさにトロッコ問題です・・・。

 

木下たかしさん(坂戸市選出の県議会議員)は葛川の氾濫問題について長年取り組んでいます。今回の地元住民からの要望も受けて、より活発に動いてくれています。被災した住民の声を行政機関に届けてくれるのは、住民の一人として感謝です。

 


台風19号(T1919)による被害状況3

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今まで後回しにしてきた農機具関係をそろそろチェックしなければいけません。

今回の氾濫で唯一水没から救うことができた農機具は耕うん機のみです。浸水が始まって徐々に水位が上昇してきたころ、軽油・ガソリンなどの燃料が流されないか気になり、保管場所を見まわりに行きました。いつもは素通りしている耕うん機がなぜか偶然目に入ってきました。このままでは水没してしまうと思い、軽トラの荷台の上まで持ち上げ、避難完了です(荷台に避難してもエンジン下まで水没)。今考えると火事場の馬鹿力ですね。普段はこんな重い農機具を持ち上げることはできないので・・・。

避難して、完全な水没から免れた耕うん機。一方、軽トラは廃車です。

 

水没してしまった農機具は、発災直後からずっと乾かしている状態です。

トラクターは運転席内部まで水が侵入。コンバイン 、田植機も同様です。穀物乾燥機は基盤まで水没しなかったのですが、ヒーター部分が水没。籾摺機は完全に水没しました。

トラクターに残った浸水痕

 

表 水没した農機具一覧

農機具 水没状況 現在の状況
トラクター 運転席まで水没 エンジン始動の確認のみ
田植機 エンジンまで水没 乾燥中
コンバイン エンジンまで水没 エンジン始動 / 刈取り・こぎ胴は動かず
穀物乾燥機 ヒーター部分水没 乾燥中
籾摺機 完全水没 乾燥中
選別計量機 ほとんど水没 乾燥中
グレンコンテナおよびホース 駆動系部分水没 乾燥中
動力噴霧機 完全水没 乾燥中
精米機 完全水没 乾燥中
草払機 完全水没 動作確認 / 使用可能
米保管用冷蔵庫 保管部分水没 動作確認 / 清掃終了後、使用可能
軽トラ 運転席まで水没 廃車

 

農業を再開 or 離農するにあたっても、まずは現状の把握から始まります。