Month: 10月 2019

台風19号(T1919)による被害状況2

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前回の記事の続きです。

発災して1週間が経過しましたが、親戚、友人、地元ボランティア(坂戸市議、坂戸市社会福祉協議会)の方々のおかげで、片付けの目処がようやく立ってきました。

朝から晩まで慣れない片付けは、肉体・精神的にも疲労がたまります。特に、発災直後はどこから手をつければいいかわからず途方に暮れ、虚無感に襲われてしまいました...。

農機具等を収納している納屋(2019年10月13日07時)

 

写真右奥にあるもみすり機は完全に水没し、乾燥機も1m程度水没してしまいました。なお、乾燥機は土台が劣化したのか、氾濫後に若干傾いていることがわかりました。復旧までには時間がかかりそうです。また、散らかった段ボールやタオルなど布は、汚水や農機具から漏れたと思われるオイル・燃料が染む込んでしまい、異臭を放っていました。密封されている肥料もわずかな穴から入ったのか?中身が水で溶け、ビニール袋はパンパンに膨れていました。

 

特に、収穫後のどろーん米630kg(21袋)を冷蔵保存していた冷蔵庫は、浸水によって紙の米袋が破け、冷蔵庫内側から漏れ出していました。下側にあった米袋が浸水によって破れることによって、高さが徐々に低くなり、連鎖的に上側の米も汚水に触れてしまいました。その中でも数袋は汚水に触れることもなかったので、その日に救出しました。

新米を保管していた冷蔵庫。水没によって内側から散乱した玄米(2019年10月13日12時)

 

汚水に触れた米は、3日目が経過したごろから発酵が始まり、40℃ぐらい?の発熱と同時に、すえた臭いを発生させました。米の掃除まで、なかなか手が届きませんでしたが、濱くんの助けでなんとか米を堆肥として圃場に移せました。しかし、半年間かけて育てた新米を廃棄するのは本当に無念です。

 

また、片付けをしていると初めて見るようなものにも遭遇しました。3代前が使っていたと思われる明治40年ごろの地理の教科書やその頃の出納帳などが流れ出てきました。

たぶん蔵から流れてきた教科書(2019年10月13日14時)

 

こういった大きな水害のたびに、過去のものが少しずつ無くなっていくのだなぁと感じました。

 

 

台風19号(T1919)による被害状況1

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10月12~13日にかけて、東日本に大きな被害をもたらした台風19号(Hagibis)は、私の住む埼玉県坂戸市にも爪痕を残しました。

私の住んでいる場所は水害常襲地で、ここ数年の間にも内水氾濫が数回発生しています( 平成27年9月関東・東北豪雨(2015/9/9)台風9号(2016/8/2)台風21号(2017/10/23) )。しかし、今回の台風19号の大雨は、これまでに経験したことのない長時間降り続ける大雨でした。時間が経つにつれて、今までにはない危機感を覚え、まずは乗用車を自宅から離れた場所に避難させました。その後は、自宅の1階の家財や子供たちの大切なおもちゃなどの垂直避難です。

 

台風が伊豆半島に上陸する6時間前の13時頃に、高麗川・越辺川からの逆流が始まったとの連絡があり、葛川の水門ゲートが閉ざされました。この水門ゲートが閉じてしまうと、堤内地を流れる葛川からの水が下流に排水されず、あっという間に氾濫が発生します。河川の位置関係はこちら

下の動画は17時ごろに屋上から撮影した越辺川・高麗川・葛川の合流地点周辺の氾濫の様子です(14日のnews zeroで放送)。この時点では、自宅周辺の浸水深1.5m程度(目測)まで上昇しています。

台風19号(T1919)による越辺川・高麗川・葛川の合流地点周辺の内水氾濫(2019年10月12日16時40分)

 

気象庁の降雨レーダー予想図から、台風中心が通過するまで約5時間・・・これは床上浸水の確率が非常に高いと思い、食事をとる時間も惜しんで運べるものは上へ移動させたのですが、限界がありました。19時ごろになると、下水の逆流の前兆である1階トイレ、キッチンや洗面所といったところから「ボコボコ」と音が聞こえ始め、急いで水のうで対策を施しました。

20時30分ごろから、ついに自宅の浸水が始まりました。1階で最も低い掘りごたつの底からジワジワと水が染み出してきました。21時ごろに停電が発生です。当初は電線が切れたかと思ったのですが、翌日に浸水による室外機の漏電が原因だと判明。漏電箇所のブレーカーを切ればよかったのですが、その時はそこまで頭は回りませんでした。

早く台風が通過してくれと祈っていたのですが、残念ながら1階は床上浸水となってしまいました。

氾濫のピークは台風通過後の25時ぐらいで、その時点では台風が通過した後で雲はどんどん晴れて、月(ほぼ満月)が覗き込んでいました。

自宅屋上から撮影した浸水がピークの時の様子(2019年10月13日01時ごろ)

 

夜明け前には水は引き、わが家の被害全容が明らかになりました。特に被害が大きかったのは、トラクター、コンバイン、乾燥機など農機具一式が水没してしまったことです。完全に乾くまでは触れることができませんが、農機具全滅の場合は今後の事も考えると・・・離農も選択しなければいけなくなるかもしれません。

トラクター・コンバインなどを格納している車庫(2019年10月13日07時)

 

今年収穫したばかりの「どろーん米」は妻が気を利かせてくれ、前日にいくつかを自宅の上に避難させてくれ、水没から免れることができました。妻に感謝です!!

 

後片付けに追われていますが、被害記録も忘れないうちに綴っていきたいと思います。

 

機体(Kmap55)

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先日、DJI社からモニタリング用Phantom4(P4 Multispectral)の発売ニュースが流れました。カタログスペックではなく、実際に触れていろいろと知りたいのですが、機体価格約85万円と容易に手が届きそうにもないので、当面のところ様子を見ることにします。

このニュースをきっかけに、当ブログで紹介している運用機体を確認してみたら、古い情報のままでした。今回は現在運用している機体について紹介します。

ドローン水稲モニタリングの初年度はZION EX700(2013年秋導入)を使用していました。この機体はペラ4枚のクワッドコプターです。機体の底部分にはプロポで調整できるジンバルが搭載されているので、モニタリング以外にも空撮とかにも使っていました。

2年目以降からは自作ドローンに乗り換えています。高価なドローンではなかなかモニタリングが普及しにくいと思い、より安価で空撮できる機体へと方向性を変えました。現在でもこの方向性は変わっていません。私が実践しているドローン水稲モニタリングの基本コンセプトは「安全運用」、「低コスト」、「精確な生育状況の把握」です。「低コスト」で導入するためには、高価なドローンのコストを抑えなければなりません。自作ドローンといっても0から作るのではなく、ドローンに必要な部品を購入して自分で組み立てていきます。このあたりは現代農業の連載(2018年4月号2018年5月号)で紹介しています。部品リストはこちら

現在使用しているドローンは6つのペラのヘキサコプターです。水稲モニタリングに必要なものだけに特化しているため、ジンバルなど余計な部品は取り外して軽量化を図っています。以前、クワッドとヘキサの違いによる空撮画像の精度について検討してみたところ、ヘキサの方がブレの少ない結果が出ました。画像の品質確認方法についてはこちら

さらに、先日コンパスだけが不調になって使用していなかったGNSS(位置計測機能は何ら問題なし)を棚から取り出して、自作ドローンに取り付けました。GNSS2台体制にして、フライトの位置精度を向上させて運用しています。

2015年から運用している自作ドローン

(効率的に運用できるように少しずつ改善中)

 

ペイロードは約500gですが、モニタリングに特化すれば自作ドローンでも全く問題ありません。