Month: 7月 2019
2019年:本田防除(殺菌)
毎年、出穂前にいもち病予防の消毒を行います。今年は梅雨の長雨が続き、冷
まだ気温が高くならない朝から散布を実施しようと準備していたところ、突如複数の車や人が試験サイトの裏にある橋に集まり始めました。普段は全く人通りのない場所なので、何事かと近所の人に聞いたら映画の撮影?とのことでした。動噴のエンジン音は大きいため、撮影に迷惑をかけてはいけないと思い、撮影が終わるのを待ちました。関係者の方から
撮影準備の様子
撮影も終わり、散布を始めましたが、問題も発生。今年は中干しが
NDVIフィールドセンサー
2014年から行なっているモニタリングはドローンを用いて上空
上空から取得するNDVIと地上からのNDVIを比較・検討し
機材一式
センサー:SRS分光反射率センサー、ロガー:Em50(販売終了)
田植えから2日後にフィールドセンサーを設置
NDVIは可視域と近赤外域の波長帯を用いて計算します。この波長帯は太陽光とセンサの位置関係の影響を受けるため、観測時間によってNDVI
下図は今回設置した試験サイトでの結果になります。まだ、データ
1) 晴天時におけるNDVI・日射量の時間変化(2019年5月27日:分げつ期)
2) 曇天時におけるNDVI・日射量の時間変化(2019年6月2日:分げつ期)
異なる気象条件時のNDVI・日射量の時間変化 ※NDVI・日射量は10分おきに計測
1)は晴天時、2)は曇天時におけるNDVI・日射量の時間変化の図(折れ線がNDVI、棒グラフが日射量)になります。日射量
晴天時では太陽光が直接イネに届きます。その太陽光は天頂角によ
一方、太陽光が直達しない曇天時は太陽からの散乱光が地上に届
また、両者ともに日出・日没前後のNDVIの数値は極端に上昇することから、この時間帯におけるモニタリングも避けなければいけません。
現在、10時にモニタリングを行っていますが、天気による観測適時が分かれば、時間に縛られることもなく、農作業の合間でモニタリングを行うこともできます。少しは柔軟にモニタリングの運用ができるようになるかも
今回の観測結果は地上に設置したフィールドセンサーの結果なので、近いうちに上
Mitsunori Ishihara, Yoshio Inoue, Keisuke Ono, Mariko Shimizu and Shoji Matsuura: The Impact of Sunlight Conditions on the Consistency of Vegetation Indices in Croplands—Effective Usage of Vegetation Indices from Continuous Ground-Based Spectral Measurements, remote sensing, 7(10), pp.14079-14098, 2015.
2019年の出穂期は?
記録的な東日本の長雨で、農作物の生育の遅れが心配されています。試験サイトが立地している埼玉県でも低温・日照不足が続いており、地上で行っている生育調査でもその影響が現れています。週1の頻度で草丈を観測していますが、その結果をみると例年の同時期より約7cm低い値を示しています。しかし、茎数でみると例年より数は少なくなっておりません。長雨の影響で十分な中干しができなかったことから、分げつ過剰による過繁茂が要因ではないかと考えられます。
草丈・茎数の時系列変化
7月21日に圃場内でNDVIが高いメッシュのイネの茎を根元から切り取り、茎の中にある幼穂の長さを計測しました。移植から64日目ですが、現時点で幼穂長は約4cmとなりました。幼穂長と出穂前日数の関係(星川 1975)から判断すると、出穂は約2週間後先となります。参考までに、2018年7月22日に撮影したイネの幼穂の長さは12.5cmでした。
イネの幼穂の長さは4cm(2019年7月21日撮影)
2019年の出穂期は8月4日前後(移植から78日後)で、例年より約1週間遅くなりそうです。
今年の梅雨は長雨
今年の梅雨入りは6月7日で、平年より1日早く極端に早い・遅いはありませんでした。ただ、今年の梅雨は、本来の梅雨らしく、関東地方では長雨が続いています。そのため、平年と比べると日照不足や低温の傾向となっています。ちなみに、昨年は6月29日に梅雨明け(平年より22日早い)をしており、7月は晴天・高温の日々が続きました。
ぐずついた天気が続いているので、ドローンによるモニタリングも大変です。雨が降っていない時間を狙って飛行させるのですが、そのときに役に立つのは気象庁が行っている「高解像度降水ナウキャスト」です。スマフォで現在地の雨雲の動きを確認することができます。ただし、レーダの特性上、実際には降水がない場所でもレーダでは降水として観測されることもあるので、最終的には現場での判断になります。
6月22日のモニタリングは霧雨のような細かい雨が降ったりやんだりする天気で行いましたが、モニタリング終了直後には強い雨が・・・精神的に疲れる時期です。
モニタリングを始める前に撮影している画像(近赤外)をアニメーション加工
(2019年5月22日~7月6日)
6月25日から中干しを始めていますが、梅雨の中休みもなく、圃場内の土もなかなか乾きません。モニタリングと同時に40株の草丈・茎数をカウントしているのですが、昨年に比べると幼穂形成期の時期も遅くなっています。生育調査を行う際には、事前に対象とする株に下図のようにマーキングテープで印を付けます。いろいろ試したのですが、マーキングテープが水が濁ったときでも目立つのでおすすめです。
圃場内に設置した生育調査用のマーカー
雨の中の生育調査(2019年6月22日撮影)
毎年行っている調査で手慣れているはずですが・・・40株をカウントするとなると1.5時間程度かかっています。雨の日となると、さらに時間がかかります。