過去
中干し確認
先月の24日(金)から始めた中干し(10日経過)も順調に進み、地面にひびが入る程度になりました。
畦畔周辺は簡単に確認できるのですが、圃場の中央部は畦畔からの目視では判断できません。圃場内に立ち入れば確認できますが、あまり圃場内を荒らしたくもありません。
畦畔から撮影した中干しの様子
今回は週一のドローンモニタリングに加えて、超低空(対地高度約5m)のマニュアル飛行で圃場内部の様子を撮影しました。
その結果、圃場内部も地面にひびが入っていることを確認できました。写真では、水稲の陰で見にくくなっていますが、条間にひびが入っていることがわかります。
今日で中干しは終了。明日からは間断潅水の水管理に移行です。
超低空撮影による圃場内部の中干しの様子
中干し&水稲株カウント
田植えから34日が過ぎ、茎数が平均22本(圃場内8箇所80サンプル)になったので、今日から10日程度中干しを実施します。
中干しは、無効分げつを抑えて、土壌内部に酸素を供給して根を健全にします。特に無効分げつを抑えることで、収量アップやお米の品質を向上させることができます。
【水稲株数】前回、紹介した水稲株位置をメッシュごとにまとめてみました。
圃場内全体では単位面積あたり16.8(株/㎡)【坪あたり55株】となりました。今年は田植機の設定を株間18cm【坪あたり60株】で行いましたが、ドローンによる計測では若干少ない結果となりました。途中でジャムってしまったことも影響しているかもしれません。また、同じように田植機を操作していてもばらつきがあることが、メッシュごとに計算することでわかってきました。
水稲株の位置抽出
今日は週一でモニタリングを行っている画像データから水稲株の位置抽出について紹介します。
稲が生長すると、田植機で移植できなかった欠損場所が上空からのモニタリングではっきり分かるようになります。畦畔から内側の欠損場所を特定するのは,ちょっと難しいです。
今回は移植してから28日後の近赤外オルソ画像を使用しました。
近赤外の波長帯は、植生からの反射率が高くなる特性があります。下の写真は地上から撮影した近赤外画像です。植生がある場所は白くなります。
私はいかに安く、価値の高いモニタリングができるかということを基本コンセプにしているので、近赤外カメラは中古のコンデジを2~3万円で購入して改造しました。
まぁ、墜落して壊れても諦めがつく値段です。
地上から撮影した近赤外画像(植生がある場所は白くなります)
改造した近赤外カメラ(Canon S110)
今回試した解析方法
先行研究では、テンプレートマッチングを用いて移植水稲の株位置を推定する研究例があります(リンク先)。今回は、あまり難しい処理をするのではなく、GISの機能を使って位置を抽出してみました。
1)近赤外オルソ画像にローパスフィルタ処理を施して、ノイズを除去する。
2)ノイズ除去した近赤外オルソ画像にフォーカル統計(指定した近傍内の統計情報を計算)を行う。
3)ラスタ-ベクタ変換で、水稲株をポリゴン化する。それ以外のポリゴンデータを削除する.
4)ポリゴンの重心点を求めて、ポイントデータに変換する.
その結果、圃場内の株数は約5.1万株と求めることができました.
除草剤散布
田植後、何もしないとあっという間に雑草が発生してしまいます。
圃場内に発生した雑草を除草するのは、かなり大変な労力が必要となります。そのため、雑草が繁茂しないように除草剤を散布します。
下の写真は移植後13日目の様子です。株間・条間にはヒエ・イヌビエなどの雑草が発芽しています。
除草剤には、「コメットジャンボ」を使用しました。コメットジャンボは除草剤が水で溶ける包みで覆われています。これを水に入れると、包みは溶けて、直径7~8mに除草剤が広がります。圃場内を均一に散布するために地図を作成(地図上の赤丸の中心点を目安)して、散布しました(10aあたり300g)。ドローンによる散布は、申請なしでは改正航空法に抵触するため、圃場内に入って人力で散布しました。
【使用農薬】
・コメットジャンボ(3成分):除草剤
除草の効果を高めるためには、散布してから1週間は落水しないように水管理を行います。
田植え
いよいよ、この地域周辺の田植えが到来です。近所の農家さんも朝から準備で大忙しです。
ビニールハウスの苗も順調に育ちました。
今年から栽培方法を若干変更します。例年なら株間を16cmで植えていましたが、今年は18cmに変更です。
用意した育苗箱も例年の150箱から130箱に節減です。株間を25cmまで広げても今までと同等の収量が得られるという研究報告もあります。
田植え機に移す前に、育苗箱にはいもち病などの対策に「ルーチンアドスピノ箱粒剤」を50g計測して、苗の上から均一になるように振りかけます。その後は、圃場に移植していきます。まだまだ、田植え機の運転が甘く、圃場の縁辺部の植え方が未熟で、余分な空白地帯が残ってしまいました。
試験サイトの田植えの様子
田植え機と同時に肥料も撒いていきます。肥料は基肥一発肥料「コシヒカリ一発 LP485」です。10aあたり35~40kgになります。今回田植えを行った約6反分で13袋(260kg)になります。
田植え機の調子もよく、順調に移植でき、朝9時から始めて午後5時には終わりました。
田植え後の夕日
【使用農薬】
・ルーチンアドスピノ箱粒剤(2成分):殺虫殺菌剤
ルーチンアドスピノ箱粒剤
【使用肥料】
・コシヒカリ一発 LP485
コシヒカリ一発 LP485
代かき直後のDSM計測
本来ならば代かきを終えたら、すぐに水を入れて湛水状態にします。
しかし、今回は代かきを行うことによって、どのぐらい圃場内の凸凹を均平にすることができたかを計測するために、あえて水を入れませんでした。
近所の農家さんからは不思議がられましたが...。
ドローンや地上レーザーを用いて、代かき直後のDSM計測は困難でした。なぜなら、圃場内に水を張ってしまうと、水の反射によって正確な高さが求めることができません。しかし、代かきでどのぐらい土壌を移動させ、均平化できたかを数値化してみたいと思い、代かきを実施してから水がなくなった3日目にドローンによるDSM計測を行いました。
圃場の西側にある取水口側で圃場全体の平均高より約2cm高く、東側の排水口では約2cm低くなっていることがわかりました。水管理を考えると問題ない範囲と考えられます。
代かきを実施してから3日後に空撮し、作成したオルソ画像
地上から撮影した代かき3日後の様子
例年は代かき後に雑草防除初期剤である農将軍フロアブル(3成分)を散布していましたが、今年から散布をやめました。
少しずつですが、農薬を減らす方針で「どろーん米」の栽培を行っていきたいと思います。
収穫・品質を左右する代かき
今までのモニタリング結果から、代かきはその年の収穫量・品質を決める重要な作業になります。
代かき前にいろいろと圃場の均平化を試しましたが、圃場内の土を最も多く移動できるのは代かきになります。
今回はドローンで計測したDSMをもとに、まず「土寄せ」を行いました。
圃場の平均高より高い場所を中心に低い方へ...
ある程度の土寄せが終われば、いよいよ代かきです.
約3反の圃場にかかった時間は5時間(土寄せ+代かき)です。これでも自分の思い通りの結果にはなりませんでした。
代かき後の圃場にうつる夕日です。
次週は田植えになります。5月はいろいろと作業が続きます。
種蒔き
いろいろと行事が重なり、更新が遅くなりました。
塩水選、種子消毒を終えた種籾を水に浸けて、1週間後に種蒔きを行いました。
水から引き揚げた種籾をビニールシート上に撒いて、水分を飛ばします。
種籾の表面の水分を飛ばすことによって、種蒔き機の根詰まりを防ぐことができます。
種籾を乾燥させている間に育苗箱の準備をします。
例年は株間16cmで田植えを行うことを前提に6反分の150箱を用意していました。しかし、今年からは省力・コストカットを目指し、まずは株間18cmの130箱で行います。
例年、培土を30袋(予備も含めて)を注文していましたが、今年は事前に計算した25袋ピッタリに抑えることができました。培土1袋(20kg)で育苗箱5~6枚分用意できます。
培土1袋がだいたい800円なので、4000円のコストカットです。
育苗箱に培土を入れたら、種蒔き機で種籾を均等に撒いていきます。最初に種籾を蒔いて、最後に土を被せていきます。