2019生産履歴

出穂期(2019年)

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8月4日前後に出穂期を迎えると予想しましたが、梅雨明け後の猛暑で少し早まり、試験サイトでは8月2日に出穂期となりました。

イネの出穂(2019年8月2日撮影)

水稲モニタリングを始めてから記録を残すようにしていますが、2019年は移植してから出穂期まで76日間となりました。梅雨明けが平年より1ヶ月程度早く、猛暑が続いた2018年は70日間だったので、昨年よりは約1週間生育が遅くなっています。ただし、2014年~2018年の過去5年間のデータでみると、2019年は約3日の遅れとなります。なので、そこまで生育が遅くなったとは言えません。

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日出穂期日数積算日照時間(h)積算温度(℃)
20195月18日8月2日76
337.8
1749.6
20185月19日7月27日70480.91699.0
20175月21日7月30日71399.81697.6
2016 5月21日8月4日76381.31774.5
2015 5月23日8月3日73427.81742.1
20145月24日8月3日72400.41714.0
Average5月20日8月1日73.0404.71729.5

 

積算日照時間のデータからでも、今年の梅雨の長雨で出穂期までの日照時間が低くなっています。また、積算日照時間・積算温度の傾向としては2016年に類似していることがわかります。2016年の生育状況を考慮して2019年の稲刈りを判断すると、順調にいけば9月14〜16日の連休になりそうです。

 

2019年:本田防除(殺菌)

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毎年、出穂前にいもち病予防の消毒を行います。今年は梅雨の長雨が続き、冷夏とも予報されていたため、消毒散布の実施を判断したのですが・・・結果的には猛暑日が続き、散布する必要がなかったかもしれません。

まだ気温が高くならない朝から散布を実施しようと準備していたところ、突如複数の車や人が試験サイトの裏にある橋に集まり始めました。普段は全く人通りのない場所なので、何事かと近所の人に聞いたら映画の撮影?とのことでした。動噴のエンジン音は大きいため、撮影に迷惑をかけてはいけないと思い、撮影が終わるのを待ちました。関係者の方からワンシーンなのですぐに終わるとのことでしたが、そのための設営準備とか見ていると・・・この業界も大変だなぁと感じました。

撮影準備の様子

撮影も終わり、散布を始めましたが、問題も発生。今年は中干しが不十分だったので、梅雨明け後も水を抜いた状態でした。そのため、ホースを水の中で引っ張ることが出来ず、100mもホースを伸ばすと自身の重みと土との摩擦が加わって、思うように散布できませんでした・・・。毎年学ぶことがあります。

 

2019年の出穂期は?

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記録的な東日本の長雨で、農作物の生育の遅れが心配されています。試験サイトが立地している埼玉県でも低温・日照不足が続いており、地上で行っている生育調査でもその影響が現れています。週1の頻度で草丈を観測していますが、その結果をみると例年の同時期より約7cm低い値を示しています。しかし、茎数でみると例年より数は少なくなっておりません。長雨の影響で十分な中干しができなかったことから、分げつ過剰による過繁茂が要因ではないかと考えられます。

   草丈・茎数の時系列変化

 

7月21日に圃場内でNDVIが高いメッシュのイネの茎を根元から切り取り、茎の中にある幼穂の長さを計測しました。移植から64日目ですが、現時点で幼穂長は約4cmとなりました。幼穂長と出穂前日数の関係(星川 1975)から判断すると、出穂は約2週間後先となります。参考までに、2018年7月22日に撮影したイネの幼穂の長さは12.5cmでした。

イネの幼穂の長さは4cm(2019年7月21日撮影)

 

2019年の出穂期は8月4日前後(移植から78日後)で、例年より約1週間遅くなりそうです。

 

今年の梅雨は長雨

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今年の梅雨入りは6月7日で、平年より1日早く極端に早い・遅いはありませんでした。ただ、今年の梅雨は、本来の梅雨らしく、関東地方では長雨が続いています。そのため、平年と比べると日照不足や低温の傾向となっています。ちなみに、昨年は6月29日に梅雨明け(平年より22日早い)をしており、7月は晴天・高温の日々が続きました。

ぐずついた天気が続いているので、ドローンによるモニタリングも大変です。雨が降っていない時間を狙って飛行させるのですが、そのときに役に立つのは気象庁が行っている「高解像度降水ナウキャスト」です。スマフォで現在地の雨雲の動きを確認することができます。ただし、レーダの特性上、実際には降水がない場所でもレーダでは降水として観測されることもあるので、最終的には現場での判断になります。

6月22日のモニタリングは霧雨のような細かい雨が降ったりやんだりする天気で行いましたが、モニタリング終了直後には強い雨が・・・精神的に疲れる時期です。

モニタリングを始める前に撮影している画像(近赤外)をアニメーション加工

(2019年5月22日~7月6日)

 

6月25日から中干しを始めていますが、梅雨の中休みもなく、圃場内の土もなかなか乾きません。モニタリングと同時に40株の草丈・茎数をカウントしているのですが、昨年に比べると幼穂形成期の時期も遅くなっています。生育調査を行う際には、事前に対象とする株に下図のようにマーキングテープで印を付けます。いろいろ試したのですが、マーキングテープが水が濁ったときでも目立つのでおすすめです。

圃場内に設置した生育調査用のマーカー

 

雨の中の生育調査(2019年6月22日撮影)

 

毎年行っている調査で手慣れているはずですが・・・40株をカウントするとなると1.5時間程度かかっています。雨の日となると、さらに時間がかかります。

 

除草剤散布(2019年)

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初期除草剤「コメットジャンボ」を散布しました。散布といっても、30gに小分けにされた水溶性の袋を圃場に向けて投げ入れるだけです。

田植えから2週間、何もしないと条間・株間に雑草が目立ってきます。去年は例年より早く田植えから1週間ほどで雑草が発芽したので、除草剤も早めに投下しました。

コメットジャンボを投げ入れるにあたって、事前にすることは水位を5~6cmぐらい高くします。以前、水位が若干低い状態で投下したため、除草剤の効果を最大限高めることができませんでした。また、風が強い日の投下することも効果を低くすることの要因であることを身を持って経験しました。2017年はこれらの要因が重なったためか、雑草(イヌビエ、クサネムなど)取りで本当に苦労しました。

このような経験を踏まえて、1時間ごとの天気予報を判断材料に投下日時を検討しました。この時期は夕方から朝までは比較的無風な状態が続くことが多いので、3枚あるうちの2枚の圃場では夕方から散布しました。

コメットジャンボの拡散

 

コメットジャンボは水に入れてから約10秒後に溶け始め、中身の除草剤が放射状に拡散していきます。大体7~8mぐらいの範囲まで広がります。

 

田植え(2019年)

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さぁ、メインイベントでもある田植えがやってきました。ビニールハウスの苗も順当に生育し、草丈15~20㎝まで伸びました。

順調に成長したコシヒカリの苗

 

最近、田植えは空間認識力がいる作業でもあるなぁと思っています。どれだけ効率的に、そして人の手を煩わせず、圃場の四隅まできれいに植えることができるか考えると・・・なかなか難しい問題です。

毎年やっている作業ですが、これぞっという自分にあった方法が今だに見つかっていません。今年は事前にネットで調べてみるとyoutubeで公開している四隅まで植える田植えの手順があり、その方法を参考にしてみました。

移植する前に、出入口の反対側から田植え機のマーカを両方に伸ばして状態で圃場を一周し、ガイドラインを印していきます。これで4条植えの機械が2周できるスペースができます。

次に、土につけたガイドラインを目印に田植えを始めていきます。圃場の中は特に問題なく運転できますが、終盤の周回では気を使います。

苗が一列植わっていない失敗例

 

今年は例年よりは上手くできた感触を得たのですが、失敗もありました。機械のトラブルです。途中で苗をジャムってしまい、一列何も植えていない状態になってしましました。機械に乗っているとなかなか後方のことに気づくことが遅れてしまいます...今後は注意しないといけませんね。対策として、田植え機にバックミラーを取り付けてみようかと思います。また、代かき後に圃場を干しすぎてしまったので、一部の場所でしっかりと苗が刺さらないところもありました。

今年の田植えはいろいろと学びました。

 

水入れ

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圃場を均平にするための重要な作業「代かき」の時期がやってきました。圃場の凹凸を目で見てはっきりわかるのは「水を入れた時」です。周囲より土が高ければなかなか水が入りません。一方、低いところでは水がどんどん溜まっていきます。

2017年に設置したライブカメラで今年の水入れを確認してみます。ちなみに、現在の様子はこちらから見ることができます。

【タイムラプス】水入れの様子(2019年5月10日〜11日)

 

このあたりの圃場は、川からポンプで取水した水が供給されています。夜間はポンプが停止するため水は出ません。上図の動画は2日間に渡って水を入れているので、夜間に水が一旦引いた状態から再度水が入っている状態が映っています。

代かき前の凹凸マップ(色は1cmごとに設定)

 

画面の右側(2)が最後まで水が入っておらず、また画面の左側(1)が水がたまっていることから、(2)が高く(1)が低いことがわかります。

ライブカメラの画像

 

今回は圃場の半分ぐらいまではほぼ均等に水が入りましたが、後半にかけて水の偏りが生じてしまいました。

凹凸マップをトラクターに貼って、凹凸を少しでもなくすために、代かき開始です。

 

塩水選 (2019年)

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2019年の水稲栽培、動き始めます!!
今年も昨年同様に育苗用のビニールハウスの整地を行った後で塩水選・籾消毒を行いました。

トンボを使ってビニールハウス内を整地

育苗用のビニールハウスは朝から近所の農家さんと一緒に整地し、下地となるビニールを二重に敷いていきます。所々に穴が空いてしまっているので、そこはガムテープで補修していきます。作業は2時間程度で終了しました。終了後はお茶タイムですが、その時にベテランの農家さんから、農業始めてからいろいろ工夫して頑張っているね〜とお言葉いただき嬉しかったです。ちょっとだけ認められたかもしれませんね。

来年はポールカメラでビニールハウス内を撮影し、事前に凹凸マップを作成してから作業できるようにしたいと思いました。


午後からは種籾の塩水選です。用意するのは、種籾(16kg)、バケツ(40L)、塩(5kg)、ザルです。下図は塩水選後に行う種子消毒のセットも写っています。

塩水選&種子消毒セット

20Lの水をバケツに用意し、塩5kgを入れます。あとは塩が完全に溶けきるまで混ぜていきます。そうすると、うるち米の選別にちょうどいい濃度になります。

塩水選用の溶液に卵を入れた状態

濃度がちょうどよいと上図のように卵は横向きになって浮きます。卵が縦向きや水中で浮いてしまった場合は塩分濃度が低いので、塩を追加する必要があります。

選別した種籾には塩分が付着しているので、よく水で洗います。洗った後は、種子伝染性病害(いもち病、ばか苗病など)の発生を防ぐために、消毒液に24時間漬け込みます。24時間後に消毒液からたっぷり入った水に入れ替えて、発芽するまで水を交換(2日に1回のペース)しながら待ちます。
消毒剤は従来から使っている「テクリードCフロアブル(クミアイ化学)」と「スミチオン乳剤(クミアイ化学)」を使用しました。

以前は種籾6袋(24kg:6反分)を注文していましたが、株間を16cm→21cmに変更したことによって育苗箱を減少でき、 2017年から5袋にコスト削減させました。 それでも、2018年は種籾が余ってしまってスズメたちの餌になっていたので、さらに1袋減らし、4袋にしました。種籾代も高いので少しでも節約です。