茎数
今年の梅雨は長雨
今年の梅雨入りは6月7日で、平年より1日早く極端に早い・遅いはありませんでした。ただ、今年の梅雨は、本来の梅雨らしく、関東地方では長雨が続いています。そのため、平年と比べると日照不足や低温の傾向となっています。ちなみに、昨年は6月29日に梅雨明け(平年より22日早い)をしており、7月は晴天・高温の日々が続きました。
ぐずついた天気が続いているので、ドローンによるモニタリングも大変です。雨が降っていない時間を狙って飛行させるのですが、そのときに役に立つのは気象庁が行っている「高解像度降水ナウキャスト」です。スマフォで現在地の雨雲の動きを確認することができます。ただし、レーダの特性上、実際には降水がない場所でもレーダでは降水として観測されることもあるので、最終的には現場での判断になります。
6月22日のモニタリングは霧雨のような細かい雨が降ったりやんだりする天気で行いましたが、モニタリング終了直後には強い雨が・・・精神的に疲れる時期です。
モニタリングを始める前に撮影している画像(近赤外)をアニメーション加工
(2019年5月22日~7月6日)
6月25日から中干しを始めていますが、梅雨の中休みもなく、圃場内の土もなかなか乾きません。モニタリングと同時に40株の草丈・茎数をカウントしているのですが、昨年に比べると幼穂形成期の時期も遅くなっています。生育調査を行う際には、事前に対象とする株に下図のようにマーキングテープで印を付けます。いろいろ試したのですが、マーキングテープが水が濁ったときでも目立つのでおすすめです。
圃場内に設置した生育調査用のマーカー
雨の中の生育調査(2019年6月22日撮影)
毎年行っている調査で手慣れているはずですが・・・40株をカウントするとなると1.5時間程度かかっています。雨の日となると、さらに時間がかかります。
出穂期(2017年)
昨年は8月4日に出穂期となりましたが、今年は天候の影響もあって7月30日に出穂期を迎えました。昨年より5日ほど早くなっています。
穂の上部から次々に開花している様子(2017年7月30日撮影)
出穂期のバラツキが気になったので、移植~出穂の期間(2014~2017年)の気象データをまとめてみました。気象データは最寄りのアメダス地点:鳩山(直線距離:4.8km)の日照時間と気温を使用しています。
移植日~出穂期までの積算日照時間・積算温度
その結果、この地域でコシヒカリが移植してから出穂するまでに、日照時間:約400(h)・積算温度:約1700(℃)※必要であると考えられます。もちろん、この数値は地域差があるので、どこでも適応できる数値ではないと思いますが・・・これまでの既往研究について調べないといけません。
※積算温度は日平均気温を積算して計算しています。
移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度
年 | 移植日 | 出穂期 | 日数 | 積算日照時間(h) | 積算温度(℃) |
2017 | 5月21日 | 7月30日 | 71 | 399.8 | 1697.6 |
2016 | 5月21日 | 8月4日 | 76 | 381.3 | 1774.5 |
2015 | 5月23日 | 8月3日 | 73 | 427.8 | 1742.1 |
2014 | 5月24日 | 8月3日 | 72 | 400.4 | 1714.0 |
Average | 5月22日 | 8月3日 | 73 | 396.1 | 1711.3 |
冒頭にも書きましたが、今年は7月30日に出穂期を迎えましたが、移植してから出穂までの日数は71日で、4年間の観測結果からみても特段早いわけでもありませんでした。昨年は天候不順で出穂が遅くなり、ちょうど例年の出穂期に当てはまっただけでした。自分の頭の中では、例年の出穂日の印象が強いため、今年の生育が早まっていると思い込んでいました。数字で見ると、ほぼ例年通りに生育していることがわかります。
試験サイトにおける1株当たりの茎数の時系列変化
出穂期以降もこのまま順調に生育すれば、従来から言われているように疎植しても収量は減少しないと思われます。ただ、2年連続台風による冠水が発生しているので、今年も心配です。
出穂期
今年は8月4日に出穂期を迎えました。ほぼ例年通り(8月3日前後)です。
出穂期は全体の4~5割程度の穂が出穂した時期になります。
稲が出穂すると、次々に穂の上部から開花していきます。
開花している時間はおよそ2時間程度です。その間に、おしべの先から花粉が飛び散り受粉(自家受粉)し、受粉が終わると30分程度で花は閉じます。
開花の様子(2016年8月4日撮影)
2014年から実施している水稲モニタリングで得た知見では、出穂期以降のモニタリング情報によって以下のようなことがわかってきました。
・収量推定:出穂期に取得したNDVI
・タンパク質含有率推定(食味):出穂期から約2週間までに取得したNDVI
さっそく、今年もデータ整理ができ次第、推定してみたいと思います。
今年は、株間を18cmで移植しました(昨年まで株間16cm)。
週一のドローンによるモニタリングと同時に、地上では草丈・茎数の調査も実施しています。
1株あたりの茎数は、2014年15.5本、2015年17.5本でしたが、今年は茎数は20.3本となっています。株間の間隔を広くしたことが影響していると思います。
試験サイトにおける1株当たりの茎数の時系列変化
1株当たりの茎(2016年8月4日撮影)
今年は昨年より茎の見た目が違い、茎がしっかりとした太さとなっています。