過去

真夏日の田植え(2017年)

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埼玉県坂戸市の最高気温は33度となり、真夏日の田植えとなりました。

今年も移植方法・肥料を変えて、栽培を行います。
昨年は株間を18cmに変更しましたが、今年は一部の圃場で21cmの疎植に挑戦です。

1)株間:21cm、肥料:基肥一発肥料「コシヒカリ一発LP485」、面積:3反
2)株間:18cm、肥料:基肥一発肥料「コシヒカリ一発LP485」、面積:2反
3)株間:18cm、肥料:基肥一発肥料「スーパーらくだ君500」、面積:1反

株間を一部変更したので、育苗箱は昨年の130箱から115箱に節減できました。今後、6反全部を21cmに変更した場合は計算上103箱で十分なので、さらにコストカットにつながることが予想できます。祖父・父の代では例年150箱(株間16cm)用意していましたが、その時と比較すると今年は約23%カットすることができました。

また、肥料は「スーパーらくだ君500」を実験的に1反の圃場で試します。この肥料は1反あたり20kgなので、「コシヒカリ一発LP485」の半分の量になります。コスト面で考えると「スーパーらくだ君」は魅力的ですが、食味に違いができるかわからないので、今年の栽培でチェックします。


基肥一発肥料:「コシヒカリ一発LP485」、「スーパーらくだ君500」

1年に1回しか使わない田植機ですが、駆動系のトラブルもなく、順調に植えることができました。使用後は念入りな泥落としが必要です。泥が固まってしまうと、取り除くのは大変です。

田植機の洗車(泥落し)

株間21cmの疎植は、周囲の圃場と比べても見た目がスカスカでちょっと心配になります。

今年の田植えの出来栄え

ちょっと大きいバケツ栽培

今年は庭先に息子専用の圃場を用意しました。水稲栽培に興味を持ってくれればいいのですが(笑)。

順調に生育すれば、9月中旬に収穫を迎えます。

 

【使用農薬】
・ルーチンアドスピノ箱粒剤(育苗箱1箱50g)
いもち病などの対策

 

【使用肥料】
・コシヒカリ一発LP485(1反あたり35~40kg:2袋)

・スーパーらくだ君500(1反あたり20kg:1袋)

代かき後のドローン計測(2017年)

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今年も代かき直後の圃場の高さをドローンを用いて計測しました。(参考:昨年の計測結果

代かき直後は泥水となっているので、泥が沈着するまでの2日間ほど時間を置いてから、落水および蒸発によって土壌が見える状態までにしてから計測します。

代かき後に湛水を行わず、ある程度水がなくなった状態(2017年5月18日撮影)

 

ドローン計測は圃場内の凹凸をどのぐらい均平化できたかを定量的に明らかにするのが目的です。また、代かき後に水を張った状態でもドローンによるDSM計測ができるか実験を行いました。

まず、代かき後に水がなくなって土壌が見えている場合のオルソ画像とDSM(陰影図)

2017年5月18日撮影

圃場の均平精度は、圃場内の高さを測定し、それらの結果から算出した標準偏差が均平精度を示します。この標準偏差の値が大きいと圃場内の凹凸のムラが大きくなります。

目標とする均平精度は、湛水直播や乾田直播などといった栽培方法によって異なります。農林水産省の資料によると、移植栽培の場合は標準偏差:1.8cm・最大高低差:9.0cmが目標値となっています。

今回の代かきによる均平精度は、標準偏差:1.3cm・最大高低差:6.9cm となり、今年の均平化も悪くない出来だと思います。(参考:2016年の均平精度 標準偏差:1.4cm・最大高低差:6.1cm)

代かき後は湛水状態にしなければいけませんが、今年も水を張らなかったので、近所のベテラン農家さんは心配していたそうです。ご迷惑をお掛けしました。m(_ _)m

水を張った状態でもドローンによる計測ができるか実験するために、水がない状態での空撮が終了直後に水を入れました。翌日には、2~3cm程度の深さで水が張った状態となります。

湛水状態(2017年5月19日撮影)

湛水状態でドローン計測して作成したオルソ画像とDSM(陰影図)

2017年5月19日撮影

 

この日の気象状態は、ほぼ無風で、時折微風によって水面が波を打つ程度でした。空撮時は全くの無風状態で絶好のデータ取得日でした。

水の透明度の高い箇所では底の土壌まではっきりと見ることができます。一方、泥水が撹拌してしまった箇所(圃場の西側)では土壌を見ることはできません。

これらのデータをSfM-MVS処理でオルソ画像・DSMを作成すると、泥水が撹拌している箇所ではマッチングが上手くいかず、ノイズとしてDSMの精度が落ちています。

下図は「湛水状態のDSM - 水のない状態のDSM」 の差分マップです。

 

湛水状態のDSM - 水のない状態のDSM マップ

泥水で底が見えなかった箇所でDSMが高い値(ノイズを含む)となったため、水の有無の差分で約10cmの差が生じました(圃場の西南側)。一方、透明度が高かった箇所では湛水状態のDSMが約2~3cmが高い結果となりました。

赤線部分の断面図

赤線部分の断面図の結果から、湛水状態のDSMが一定の高さを示していないので、水面の高さより圃場の高さが影響していると考えられます。水深や水の屈折率を用いて計算すれば、湛水状態でも圃場の高さを取得できる可能性があることが今回の実験でわかりました。

 

ただし、代かき後(湛水状態)に計測する場合、無風かつ泥が撹拌していない状態でないと精度の良いデータを取得することができないため、撮影条件は結構厳しいと思われます。

来年以降も代かき後は水がない状態で計測するのがベストなのかもしれません。

 

代かき(2017年)

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私の経験(短い期間ですが・・・)から収穫量・品質の向上には「均平化」は大切な作業だと思います。

今年も代かき前には、いろいろと圃場の均平化を試しましたが、容易に圃場内の土を移動できるのは代かきになります。

まずは、代かき前にドローンでDSMを計測し、凹凸マップを作成します。

代かき前の凹凸マップ(2017年)

高い(淡いピンク) ← 地表面の高さ → 低い(紺)

圃場の西(左)の中側が高くなっています。また、圃場の3辺の低い部分はくろつけを行った際のトラクターの車輪跡になります。

屋上から撮影した圃場(画像の上が北)

凹凸マップが示すように地表面がちょっとでも高いところ(数cmの差)は、水が溜まっていないことがわかります。

水が全体的に入ったら、代かきを行います。

圃場の凹凸を意識しながら、トラクターによる均平化

均平化後には、ドローンによる計測を実施します。

ポールカメラによる凹凸計測

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日本の農地上空には、送電線が多く存在しています。残念ながら、私の圃場上空にも送電線があります。

送電線の下にある圃場(紫線)

背景画像:地理院地図

そのため、送電線がある圃場では、安全面を考慮するとドローンによる水稲モニタリングを実施できません。上空からモニタリングできるツールは、ドローン以外にも高所作業車による撮影などがあります(サタケ:圃場生育診断システム「アグリビュー」)。ただ、零細農家にとってモニタリングのたびに高所作業車をレンタルすることはできません。

そこで、今回はポールカメラ方式を採用しました。

ポールカメラは中田ほか(2009)を参考にして、測量スタッフ(約7m)とRicho GR(インターバル間隔を5秒)を用意し、撮影を行います。

 

ポールカメラ撮影のイメージ(場所は圃場ではありませんが…)

 

7mのスタッフに約250gのカメラを取り付けると、スタッフはしなってしまい、上手く扱うには力が必要になります。また、風が吹くと測量スタッフがもっていかれてしまい、同じ場所にとどめるだけでも大変です…。

ポールカメラで撮影するためにはノウハウも必要ですが、改正航空法で飛行制限があるDID地区付近でもモニタリングできるので、ポールカメラは有効なツールだと思います。また、ポールカメラは墜落の心配もありません。

 

青い四角はポールカメラの撮影推定位置

ポールカメラによる3Dモデル(送電線下の圃場)

中田 高,渡辺満久,隈元 崇,後藤秀昭,西谷義数,桜井元康,川口 雄作:地形調査のための簡易高位置撮影装置 (Hi-View)の開発,活断層研究,31,pp.39-43,2009.

 

種蒔き&育苗ビニールハウス搬入

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1週間、種籾を水に浸けていましたが、予想より発芽が遅かったので、浸種してから10日後に育苗箱に種蒔きを行ないました。

 

発芽した種籾(ハト胸程度:1~2mm)

昨年同様に130箱(6反分)の育苗箱を用意します。

 

育苗箱に培土を均一する様子

準備が整えれば、手動の播種機を使って、上図の育苗箱の培土の上に種籾を均一に播種し、覆土していきます。

そのあとは、ビニールハウスに搬入し、育苗していきます(25日程度)。

 

育苗箱搬入終了

今年の田植えは5月20・21日を予定しています。

 

2017年水稲栽培始動

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いよいよ、2017年の水稲栽培に向けて、動き始めます。

まずは、育苗用ビニールハウスの準備を近所の農家さんと行いました。この日は最高気温は27.4℃と平年と比べると+8℃で、初夏の陽気でした。

育苗用ビニールハウスの整地が終わってからは、種籾の「塩水選」で中身の詰まった良い種子を選別します。

 

塩水選作業の準備

去年と同様に、塩5kg・水20lを用意して、濃度20%(約比重1.13)の塩水を作っていきます。

食塩水作成中

種籾を食塩水に投入していきます。軽い種籾は浮き上がるのでザルで取り除き、沈んだ種籾のみを使用します。

昨年は、6反分の24kgの種籾を購入し、塩水選で約20kgに選別しました。しかし、種籾がかなり余ってしまったので、今年は例年より少なめで行います。

2017年:種籾20kgを購入

塩水選による選別を終えた種籾は、水稲の種子伝染性病害(いもち病、ばか苗病など)の発生を防ぐために種子消毒(24時間薬液漬)を行います。

種子消毒剤は「テクリードCフロアブル(クミアイ化学)」と「スミチオン乳剤(クミアイ化学)」を使用しました。

 

【使用農薬】

・テクリードCフロアブル(1成分):殺菌剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤200ml)

・スミチオン乳剤(1成分):殺虫剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤40ml)

種子消毒

農作業に使用する水は、井戸の水(地下約30m)を使用しています。

井戸の水温は、深さ10mになると温度の年変化がほとんどなくなるため、その土地の年平均気温とほぼ同じとされています。最寄りのアメダス地点(鳩山)の年平均気温は約15℃なので、水温は年間を通して15℃前後になります。

種籾が発芽するために必要な積算温度(水温×日数)は100℃・dayとされています。そのため、この地域では浸種を行なったら、1週間後に種蒔きになります。

圃場均平化(2017年)

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以前、このブログでも紹介した「セミナー(ドローンの農業活用とセンシング・モニタリング技術)」も先日終了しました。

私の予想以上に多くの方々に受講していただき、ドローンによるモニタリングの注目の高さを実感しました。

セミナーでは、水稲以外にも畑作や果樹等に利用したいとの声がありました。いろいろと話をしていると、作物によって欲しい情報が異なり、その情報には需要があることを知ることができたので、私自身の勉強になりました。

 

3月に入ったので、そろそろ2017年度の栽培に向けて、圃場の均平化とドローン計測を実施しました。

 

ドローンによる計測

 

圃場の西中央部が高く、排水口がある東側が周囲に比べて低くなっているので、代かきを実施するまでの約2ヶ月間で地道に土を移動させ、均平化を目指します。

 

点群データを表示できるサイトがありましたので、ドローン計測に用いたデータをアップしました。

 

画像をクリックすると別サイトが開きます。

任意の地点から点群データを表示できるほかに、地点計測(高さも含む)や距離計測も行えます。ただし、計測機能はサイトに会員登録する必要があります。

 

リモセン学会発表資料

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11月に行われた日本リモートセンシング学会の発表資料になります。

要旨はこちらから見ることができます。

 

 
 今回の観測結果から、以下のことがわかりました。
  • 水稲の群落表面温度は一様ではなく、ばらつきをもって分布している。
  • 群落表面温度のばらつきはNDVIと対応しており、相対的に群落表面温度の低温域でNDVIが高くなり、反対に高温域ではNDVIが低い値を示す。
  • 群落表面温度とNDVIの時間変化は、日中の時間帯で明瞭な相関を示す。
  • 群落表面温度のばらつきは、玄米重量にも影響を及ぼす。
  • 今回の観測で、掛け流しによって群落表面温度が約3℃低下することが確認できた。

 

収量計算確定(2016年)

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先日掲載した地上サンプリングからメッシュごとに単位面積あたりの玄米重量(g/㎡)を求めました。

単位面積当たりの玄米重量は、メッシュ内の株数・1株当たり平均茎数・1穂あたりの玄米重量から計算できます。

求めた玄米重量とNDVI(出穂期)の回帰分析から線形回帰式を求めます。

 

以下の式は、収量予測に用いた推定式になります。

【2014年】

Y = 968.42 × NDVI – 33.50

【2016年】

Y = 1822.2 × NDVI – 341.43

Y:単位面積あたりの玄米重量(g/㎡)

 

2016年推定式で計算した収量分布が下図になります。

2016年収量推定

収量マップ(2016年)

 

8月中旬に予測したマップと比較すると,分布傾向は似ていますが,多くのメッシュで数量が異なりました。

 

ドローン予測

収穫1カ月前に予測した収量マップ(2016年)

 

※収穫1カ月前に予測した収量マップ(2016年)は、2015年の推定式を用いて作成しています。

 

収量検証(2016年)

計算で求めた収量:1461 kg

実際の収量:1437.5 kg

 

この結果から、2016年の推定式は1.6%の誤差で推定玄米収量を求めることができました。

2014年は5.3%の誤差がありましたが、年々精度は向上しています。

 

すき込み

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2016年の水稲栽培も終わり、来年に向けて、まず稲藁の「すき込み」を実施しました。

私が農作業に従事する以前は、収穫後に稲藁・籾殻を焼却していました。その当時は、まだ野焼きについても許容されていましたが・・・。

現在、稲藁・籾殻は圃場の地力を高めるなど重要な土づくりの資源になるので、気温がまだ高いこの時期に「すき込み」を行います。

稲刈りから1ケ月経つと、稲孫(ひつじ)から再び穂が形成されていました。

 

稲孫すき込み

トラクターによるすき込み(緑色の部分がイネの稲孫)

 

昨年は、地元のカントリーエレベータから籾殻約1800kg(10aあたり約300kg;トラック6往復分)を無償でもらい、土づくりの強化に努めました。

※雨によって土がぬかるんでしまい、トラックで圃場内に運搬できませんでした。そのため、リヤカーに籾殻を乗せて、人力で圃場全体に万遍なく散布しました。

頭の中では、大したことのない作業だと思い込んでいましたが...これが意外と重労働で数日間かかってしまいました...。

今年は、稲藁+収穫分の籾殻で「すき込み」を行ったので、昨年ほどの苦労はありません。

 

土壌中で分解されるまでは、しばらく時間(約3~4年)がかかりますが、長期的にみた地力の向上には必要な作業です。

 

すき込み後の様子

すき込み後の様子

土壌中の有機物の分解を促す(空気に触れる表面積を大きくする)ために、なるべく大きな土塊になるように耕します。

作業メモ:PTO1速、走行速度0.5km/h