サンプリング
サンプル採取
稲刈りを行う前日に圃場内の複数箇所からイネをサンプリングします。採取したイネはモニタリングデータから収量・タンパク質含有率などを求めるために必要となります。過去の資料はこちら。
採取する箇所は毎年ほぼ同じ場所を設定しています。運用している試験サイトでは5mメッシュで管理しており、そのメッシュ内の10株程度を刈り取りします。
毎年同じ場所から採取するのは、はっきりわかる目印がないと困難です。私のところでは、事前にメッシュ位置を測り、支柱を目印として設置しています。
下図はサンプル採取した翌日(刈取り当日)に空撮を実施した画像になります。所々に穴状に写っているのが採取箇所になります。また、圃場四隅はコンバインの回転部分になるので、事前に刈り取りを行っています。コンバインの操縦が上手くなれば、四隅刈りをしなくても綺麗に刈り取れるのですが、年一回動かす程度ではなかなか技術は身につきません。
サンプル採取箇所の確認(2017年9月9日撮影)
サンプル採取箇所の拡大画像
その後、採取したイネは天日干しを行い、玄米水分を15%程度まで落としていきます。
子供の鉄棒を利用した稲架
修行:地上サンプル
ドローン水稲モニタリングは、上空からのモニタリングの精度を向上させるために、実際に地上でイネをサンプリングした資料が必要となります。
サンプリング資料とドローンモニタリングを紐付けることによって、収量やタンパク質含有率などを面的に推定することができます。
地上サンプリングは、ドローン導入1年目から実施していますが、この作業がかなり大変で苦労します。精度向上のための修行です。
サンプリングの手順
1) 刈り取り
5mメッシュで管理している圃場から、収穫直前に数箇所(毎年一緒)を対象にメッシュ内の中心から10株程度刈り取ります。
棒を頼りにサンプリングするメッシュの特定
メッシュの特定は杭近くに立てた棒を頼りに刈り取っていきます。
天日干し
刈り取ったイネは、天日干しで水分を落とします。
※コンバインによる刈り取り・脱穀は精確な量や該当メッシュ以外のイネも含まれる可能性があるので、全て手作業で行います。
1年目は手探りながらサンプリングを行ったので、全てのサンプリング地点の刈り取りを終えるまで半日かかってしまいました。
しかし、2年目以降は無駄な作業をしないように気を付けた結果、2~3時間程度で終えるようになりました。
2) 脱穀
脱穀するためにいろいろと試しましたが、私は透明の蓋付きプラスチック(Futabaの受信機のケース)を愛用しています。
プラスチックケースを利用した脱穀
脱穀作業現場
3) 籾摺り
サンプリングした籾は少量のため、出荷用に使う籾摺り機を使用することができません。以前、購入した水分測定器(高森コーキ)に付属していたローラーもみすり器を使用します。
本来なら手で回すのですが、写真のように回転軸にスクリューネジを取り付けて、電気ドリルを使って籾摺りをしています。手より確実に籾殻と玄米を分別できます。
電動籾摺り機
4) 玄米選別
実は、この工程が一番大変です。籾摺り後は、玄米と籾殻が混ざっている状態です。これを玄米と籾殻に選別しなければなりません。先人たちは風力を使った唐箕で選別を行っていましたが、我が家に唐箕がありせん(昔はありましたが...)。
低コストが基本コンセプトなので、家にある扇風機と段ボールの簡易的唐箕を作って、選別していきます。
※製作時間30分、選別精度あまり良くない。
簡易型唐箕
一応、選別はできるのですが、完全ではありません。ここからが修行というか...苦行になります...。
簡易的に選別した玄米には籾殻も混ざっているので、ピンセットで取り除いていきます。1サンプルの作業時間は約2時間です。今年は18サンプルあります...。
玄米・籾殻選別
サンプル資料の準備がようやく終了
全サンプルを分析すると費用が高くなってしまうので、このうち数サンプル分を女子栄養大学にタンパク質分析を依頼します。