タンパク質

修行:地上サンプル

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ドローン水稲モニタリングは、上空からのモニタリングの精度を向上させるために、実際に地上でイネをサンプリングした資料が必要となります。

サンプリング資料とドローンモニタリングを紐付けることによって、収量やタンパク質含有率などを面的に推定することができます。

地上サンプリングは、ドローン導入1年目から実施していますが、この作業がかなり大変で苦労します。精度向上のための修行です。

 

サンプリングの手順

1) 刈り取り

5mメッシュで管理している圃場から、収穫直前に数箇所(毎年一緒)を対象にメッシュ内の中心から10株程度刈り取ります。

 

ポールを頼りにサンプリング

棒を頼りにサンプリングするメッシュの特定

メッシュの特定は杭近くに立てた棒を頼りに刈り取っていきます。

 

天日干し

天日干し

 

刈り取ったイネは、天日干しで水分を落とします。

※コンバインによる刈り取り・脱穀は精確な量や該当メッシュ以外のイネも含まれる可能性があるので、全て手作業で行います。

1年目は手探りながらサンプリングを行ったので、全てのサンプリング地点の刈り取りを終えるまで半日かかってしまいました。

しかし、2年目以降は無駄な作業をしないように気を付けた結果、2~3時間程度で終えるようになりました。

 

2) 脱穀

脱穀するためにいろいろと試しましたが、私は透明の蓋付きプラスチック(Futabaの受信機のケース)を愛用しています。

 

脱穀

プラスチックケースを利用した脱穀

脱穀作業の様子

脱穀作業現場

 

3) 籾摺り

サンプリングした籾は少量のため、出荷用に使う籾摺り機を使用することができません。以前、購入した水分測定器(高森コーキ)に付属していたローラーもみすり器を使用します。

本来なら手で回すのですが、写真のように回転軸にスクリューネジを取り付けて、電気ドリルを使って籾摺りをしています。手より確実に籾殻と玄米を分別できます。

 

籾摺り

電動籾摺り機

 

4) 玄米選別

実は、この工程が一番大変です。籾摺り後は、玄米と籾殻が混ざっている状態です。これを玄米と籾殻に選別しなければなりません。先人たちは風力を使った唐箕で選別を行っていましたが、我が家に唐箕がありせん(昔はありましたが...)。

低コストが基本コンセプトなので、家にある扇風機と段ボールの簡易的唐箕を作って、選別していきます。

※製作時間30分、選別精度あまり良くない。

 

簡易型唐箕

簡易型唐箕

 

一応、選別はできるのですが、完全ではありません。ここからが修行というか...苦行になります...。

簡易的に選別した玄米には籾殻も混ざっているので、ピンセットで取り除いていきます。1サンプルの作業時間は約2時間です。今年は18サンプルあります...。

 

玄米・籾殻選別

玄米・籾殻選別

サンプル終了

サンプル資料の準備がようやく終了

 

全サンプルを分析すると費用が高くなってしまうので、このうち数サンプル分を女子栄養大学にタンパク質分析を依頼します。

 

収量結果(2016年)

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2016年の収量は10a当たり465 kgとなりました。圃場全体では、1440 kg(屑米を除く)です。
ドローン水稲モニタリングを始めて3年目になりますが、1年目と比べると収量は約20%の増加になりました。また、お米の美味しさの指標となる玄米タンパク質含有率も2015年では約6.1%と日本人が好むやわらかいご飯になっています。2016年はこれから分析です。

ちなみに、一般的な玄米のタンパク質含有率は6.8%とされており、タンパク質含有率が低いほどやわらかいご飯となり、数値が高いとしっかりとした硬いご飯となります。

 

収量

ドローン水稲モニタリングの成果(2014-2016)

ドローン水稲モニタリングの導入1年目は、これまで行っていた「勘と経験」の水稲栽培の問題点を洗い出しました。2年目以降は浮かび上がった問題点を改善するような栽培を行うことによって、収量・食味の向上に結び付けることができました。収量・食味UPにつなげるためには、単年だけではなく、複数年のモニタリングが必要です。

 

収穫前に予測した収量(8月19日)は、地上観測による予測1520kg、ドローンによる予測1570kgでした。地上観測の予測値が実測と近い結果となりましたが、両者とも約10%の誤差の範囲内に収まっています。

ドローンによる予測は、2015年のパラメータをそのまま利用したのが誤差を大きくした要因ではないかと考えられます。
今年は株間(16cm→18cm)を変更した影響も考えられるので、様々な状況下のパラメータを取得することによって、今後の予測精度の向上を図りたいと思います。

 

農作業も一段落した農閑期は、2016年のモニタリングで得たデータを詳細に解析する期間です。