ドローン水稲モニタリングとは、ドローンを使って空から撮影した画像(可視画像、近赤外画像)を解析し、水稲の生育状況を把握する技術です。解析した画像からは、1)追肥時期・箇所の判定、2)倒伏リスク診断、3)収量推定、4)食味(タンパク質含有率)推定、5)収穫適期推定などを収穫する1~2か月前からある程度予測することが可能です。
【ドローン水稲モニタリングのメリット】
- 天候の影響を受けにくい低空を高頻度で観測できる。
- 人工衛星、航空機の使用と比べて、低コストで導入できる。
- 大規模農業生産者だけではなく、個人(兼業農家)でも運用できる。
- 精確な生育状況の分布を把握することができる。
パンフレット
ドローン水稲モニタリングのデータ取得イメージ
従来、日本のような圃場面積が小さいところでは、収量のばらつきは小さいと考えられていましたが、実際には圃場内の収量のばらつきが大きいことが既住研究で報告されています(庄司・川村 1998)。 そのため、随時水稲の生育状況を記録することができればいいのですが、人とコストが膨大にかかってしまいます。現在、日本の農業は生産者の高齢化および少子化による担い手不足が深刻化し、労働力の不足が懸念されているため、人とコストがかからないモニタリングシステムは重要なツールです。また、水稲の生育管理は長年の農家さんの「経験と勘」によるものが大きかったため、新規就農者が「おいしいお米」を栽培するには難しいのが現状です。
そこで、2014年からドローンが水稲モニタリングに使えるか以下の課題を設定し、実証実験および運用を行ってきました。
- 一人でドローンを安全に操縦し、運用する手順の確認(操縦はオートパイロットがメイン)
- 空撮画像を解析する手順の確立
- 解析カメラの選定(市販カメラを改造して、コストを最小限に抑える)
- 【重要】精確な生育状況の分布を把握
成果の一部を紹介
2014年の収量推定マップ
2014年の出穂日の解析データをもとに収量推定を行った分布マップになります。この図から試験サイトの玄米収量の推定は1,327kg(くず米を含む)でした。実際の収量は1,260kg(くず米を除く)なので、精度の高い(約5%の誤差)モニタリングを行うことが可能だとわかりました。
*このサイトは自宅の水田を試験サイトとして、水稲モニタリングを実施してきた成果をまとめたものです。
「私」の農業技術
新米兼業農家。
農業に関する知識・技術は全くなし(学生時代に「田植え」「稲刈り」のイベントに参加した程度)。
水稲栽培の経験がほとんどないため、農林水産省や地元JAなどの営農情報といった客観的なデータが頼りになっています。
2014年は実証実験として週1回のペースで生育モニタリングを行い、水稲栽培のスケジュールを確認しました。翌年の2015年からは圃場を引き継いだ「私」が農作業+水稲モニタリングを実施してきました。
Googleストリートビューデビュー(ドローン水稲モニタリング中に撮影)
収穫した「どろーん米」については、こちらのページで紹介しています。
参考文献
庄司浩一,川村恒夫:水稲の収量マップの作成,農業機械学会誌,60(4),pp.73-74,1998.