P4Mの画像解析
DJIから貸与してもらったP4Mを使って、実際に圃場のモニタリングを始めてみました。
P4Mは、RGBカメラと、ブルー・グリーン・レッド・レッドエッジ・近赤外線の波長帯を撮影できるマルチスペクトルカメラが一体となっています。また、P4Mの機体上部には日照センサーが取り付けられています。
P4M上部に取り付けられている日照センサー(DJI HPより)
農作物のモニタリングにとって、飛行時の気象条件を把握することは重要です。晴天の場合、撮影する時間によってNDVIが大きく変動します。そのため、モニタリング精度を向上させるためには日照センサーが大切になってきます。
実際にP4Mで撮影をすると、JPGファイルと5つのTIFFファイルが生成されます。
DJI_0010.JPG(RGB、1600×1300ピクセル)
DJI_0011.TIF(ブルー(B):450nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0012.TIF(グリーン(G):560nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0013.TIF(レッド(R):650nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0014.TIF(レッドエッジ(RE):730nm±16nm、1600×1300ピクセル)
DJI_0015.TIF(近赤外(NIR):840nm±26nm、1600×1300ピクセル)
※4桁の数字の下1桁(赤太字)で、どの波長帯の画像かわかります。
現在(2020/8/7時点)、P4Mの画像に直接対応しているソフトは、DJI Terra とPix4Dfields になります。私が使用しているMetashape(旧PhotoScan)はP4Mには現時点では対応していません。
よく間違えやすいのが、日照センサーが機体に取り付けられているので、撮影された画像は日照センサーの情報が既に反映されていると思いがちです。しかし、日照センサーの情報はXMPメタデータに記録されているだけなので、P4Mに対応していないMetashapeを利用する場合は事前にこれらのメタデータを用いて補正する必要があります。DJI Terra とPix4Dfields はP4Mに対応しているので、ソフト上で自動的に補正してくれます。
P4MのXMPメタデータは、DJIからP4 Multispectral Image Progressing Guide v1.0 が公開されています。
下図は、P4Mで撮影されたTIFFデータをそのままMetashapeに読み込んで作成したオルソ画像(トゥルーカラー)とNDVI画像です。
補正前のオルソ画像(トゥルーカラー)と補正前のNDVI(2020年6月6日撮影)
シャッタースピード、ISOなどが変化している画像をそのまま読み込んでいるため、明度の違いが発生しています。さらに、NDVIを計算すると、その影響によって明らかにおかしなマップになってしまいます。
次は、XMPメタデータに記録されている日照センサーなどの情報をもとに画像を補正し、Metashape(旧PhotoScan)でオルソ化した画像から計算したNDVIマップを示します。
補正した画像から計算したNDVI
補正した画像を用いることで、上図のNDVIマップのおかしな箇所が修正されていることが確認できます。これらの結果から、MetashapeでP4Mの画像を利用する場合は、事前に画像の補正が必要なことがわかります。
参考文献
濱 侃・田中 圭・田 寛之・近藤昭彦(2018):ドローンに搭載可能な近赤外カメラの比較と検討:RedEdge とYubaflex,日本リモートセンシング学会誌,38(5),pp.451-457.