積算温度

種蒔き(2020)

Posted on Updated on

今年は種籾を浸種してからハト胸程度に催芽するまでに11日間かかりました。平年より温度が低い日が続いたのが影響したかも知れません。2016年からの記録している催芽までの日数と積算温度の関係でも、2020年は催芽まで時間がかかっています。ここで使用している積算温度は最寄りのアメダス地点(鳩山)の日平均気温を採用しており,水温ではありません。

 

表 催芽までの日数と積算温度の関係

栽培年20162017201820192020Ave
積算温度(℃・day)129.3126.1119.5101.4124.5120.2
催芽までの日数118.6
水の交換毎日毎日中2日中3日中2日

 

5年間の記録から日平均気温を用いた催芽(コシヒカリ)までの目安となる積算温度は120℃・day前後ではないかと考えられます。

種籾をブルーシートの上に置いて数時間乾燥させたら、育苗箱に種を蒔いていきます。2019年は106箱まで減らしたのですが、実際に移植するとギリギリの枚数となってしまいました。そのため、今年は2018年時の111箱分を用意しました。

 

育苗箱と収量の関係

 

今年の田植えは5月16日前後になりそうです。

 

出穂期(2019年)

Posted on Updated on

8月4日前後に出穂期を迎えると予想しましたが、梅雨明け後の猛暑で少し早まり、試験サイトでは8月2日に出穂期となりました。

イネの出穂(2019年8月2日撮影)

水稲モニタリングを始めてから記録を残すようにしていますが、2019年は移植してから出穂期まで76日間となりました。梅雨明けが平年より1ヶ月程度早く、猛暑が続いた2018年は70日間だったので、昨年よりは約1週間生育が遅くなっています。ただし、2014年~2018年の過去5年間のデータでみると、2019年は約3日の遅れとなります。なので、そこまで生育が遅くなったとは言えません。

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日出穂期日数積算日照時間(h)積算温度(℃)
20195月18日8月2日76
337.8
1749.6
20185月19日7月27日70480.91699.0
20175月21日7月30日71399.81697.6
2016 5月21日8月4日76381.31774.5
2015 5月23日8月3日73427.81742.1
20145月24日8月3日72400.41714.0
Average5月20日8月1日73.0404.71729.5

 

積算日照時間のデータからでも、今年の梅雨の長雨で出穂期までの日照時間が低くなっています。また、積算日照時間・積算温度の傾向としては2016年に類似していることがわかります。2016年の生育状況を考慮して2019年の稲刈りを判断すると、順調にいけば9月14〜16日の連休になりそうです。

 

種蒔き(2019)

Posted on Updated on

今年は水に浸した種籾は、ちょうど1週間でハト胸程度に催芽しました。水から出した種籾は、種蒔きの機械に詰まらないように表面の水分を飛ばし、乾燥させます(外に2~3時間乾燥)。

乾燥中の種籾を見守る子供たち

 

例年催芽するまでバラつきがあるので、過去のブログの記事をまとめてみました。埼玉県の水稲に関する技術情報では、浸種日数の目安は水の平均温度(℃)×日数(day)=100℃・day(例:水温15℃で7日間)とされています。

水温データがないので、ここでは温度を最寄りのアメダス地点(鳩山)の日平均気温を採用しました。塩水選を行った種籾は24時間薬液漬による種子消毒を行います。消毒終了後は井戸水を大型バケツに入れて浸種します。この方法は2015年から変わっていません。

表 催芽までの日数と積算温度の関係

栽培年2016201720182019
積算温度(℃・day)129.3126.1119.5101.4
催芽までの日数
水の交換毎日毎日中2日中3日

 

これらの結果から水の交換タイミングによって、催芽するまでの積算温度に違いが生じていることがわかりました。催芽するまでの水は常に新鮮なものでなければならないと教えられたので、2017年までその教えを実践していました。しかし、毎日交換しなくてもいいという情報を知ってしまったので、今年は中3日のタイミングに変更しました。日中に暖められた水を使い続けたことが催芽を早めた要因の一つではないかと考えられます。

種籾が乾燥したら、育苗箱の準備をしていきます。2018年は111箱(計算上では101箱ですが、不測の事態に備えて1割追加)を設定しましたが、実際に使ったのは101箱だったので、今年は箱数を減らして106箱を準備しました。

育苗箱と収量の関係

 

2018年に作成した育苗箱と収量の関係のグラフですが、2018年収量と2019年育苗箱の結果をそれぞれ更新しました。育苗箱を減らしていっても収量には影響を与えていないことがわかります。現在の田植機では株間を最大で21cmまでしか設定できないので、106箱より育苗箱を減らすことは難しそうな感じです。そのため、現在の栽培方法では10aあたり約18箱が下限かも知れません。

ばらまき機で播種した育苗箱はビニールハウスに搬入します。

ビニールハウスに搬入した育苗箱

1週間後には均一に発芽

 

今年の田植えは5月18・19日を予定しております。

 

出穂期(2018年)

Posted on Updated on

今年の出穂期は昨年より3日早い7月27日(移植日から70日:例年は73日)になりました。幼穂長の測定結果から出穂期は7月31日前後になると予想していましたが、実際に圃場内の4~5割の穂が出穂したのは、この日になりました。

次々に出穂

 

昨年までの気象データでは、この地域で栽培するコシヒカリは移植してから出穂するまでに、日照時間:約400(h)・積算温度:約1700(℃・day)必要であると考えていました。2017年も出穂期までは猛暑が続きましたが、今年はそれ以上です。2014年からの記録を見てみると、今年の積算日照時間は約80(h)多くなっています。一方で、積算温度は約1700(℃・day)と過去のデータとほぼ同じ値を示しました。イネの出穂期の目安になるのは、日照時間より積算温度(ここでは、最寄りのアメダス地点の日平均気温)が有効なのかもしれません。

 

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日出穂期日数積算日照時間(h)積算温度(℃)
20185月19日7月27日70480.91699.0
20175月21日7月30日71399.81697.6
2016 5月21日8月4日76381.31774.5
2015 5月23日8月3日73427.81742.1
20145月24日8月3日72400.41714.0
Average5月21日8月2日72.4396.11711.3

 

以前にも書きましたが、出穂期のモニタリングデータは、収量、タンパク質含有率や収穫適期の推定に利用します。これらの推定結果は次回以降に紹介します。

 

茎から穂を出し始めたイネ