クローズアップ現代+
クローズアップ現代+
10月31日に、NHK のクローズアップ現代+で「AIがうまい米を作った!~“農業革命”最前線~」が放送されました。放送内容は、NHKのHPから閲覧できます。(クローズアップ現代+:2018年10月31日)
全体的にスマート農業など先端技術を用いた農業に詳しくない人でもわかりやすく、今後の日本の農業の可能性を解説した番組だったと思います。
前半は人工衛星やドローンによるモニタリングでイネの生育を管理し、肥料のピンポイント散布や収穫適期の解析で美味しい米を栽培するという内容で、後半はトラクターや田植え機などの無人ロボット化の紹介が中心でした。
ただ、私としては収穫適期を紹介するVTRに疑問が生じました。
放送では、下図のように衛星画像の解析で圃場のタンパク質含有率のマップが紹介され、以下のような説明がありました。
・9月下旬の田んぼは全体的に赤っぽく、タンパク質が多くなっていました。この段階で刈り取ると粘りのない米になるため、時間を置いて待つことにしました。
その時の画面には「タンパク質低下待つ」の文言が表示されています。
放送された画面のキャプチャ
収穫間近の状態で、時間を置くことでタンパク質が低下するという部分が疑問です。出穂後、子実に蓄積された同化産物が減少していくのは考えづらいことです。
この文言がタンパク質ではなく、NDVIの低下を待つといった説明であれば納得しました。NDVIは出穂期から成熟期に進むにつれ、値は小さくなっていきます。モニタリングを実施している試験サイトでは、出穂期と登熟期のNDVIから収穫適期を求めて、収穫を実施しています。
また、籾水分が高いため、時間を置くことで水分の低下を待つという流れでも問題なかったと思います。ただし、現在の衛星画像から籾水分を求めるのは難しいと思いますが・・・現場では、収穫適期を出穂後の積算温度や籾の黄化率、籾水分で判断しているので、農家さんには理解されやすい指標ではないかと思います。
HPで紹介されている画面をキャプチャ