モニタリング手法

水稲株抽出(2018年)

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2016年から始めた水稲株位置の抽出ですが、いろいろ試した結果、対地高度は30mぐらいがいいのかもしれません。対地高度が低いと、撮影した画像の解像度が高すぎて、処理時間が大幅にに増えてしまいます。また、水稲以外の草丈の低い雑草がノイズとして多くなります。ちなみに、このときのイネの草丈は約37㎝です。

今回は「Mission Planner」で、クロスの飛行コースを設定しました。クロスにする事で死角をなくすことができます。実際はここまでしなくてもいいかもしれませんが・・・。

水稲株抽出のための飛行ルート

 

可視光、近赤外線の両方で撮影を行いましたが、やはり明確に水部とイネが判読できる近赤外画像が精度よく抽出できます。

 

【水稲株位置抽出の手順】

(前準備)近赤外画像から対象とする圃場だけをクリップ(切り抜き)します。この工程で大幅に作業時間を短縮できます。

その後の工程は、ノイズ除去→フォーカル統計→ラスベク変換→重心算出 の順番です。

試験サイト全体の水稲株位置

 

水稲株抽出の拡大図(水色点:水稲株位置、背景:近赤外オルソ画像)

 

今年は田植え機の一部の調子が悪いためか、所々で欠株が発生してしまいました。圃場全体で約4万5千株となり、昨年に比べると若干少ない結果となりました。

参考 :2017年の欠株率マップ

 

 

P4pro+テスト飛行

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Phantom4pro+を購入された先生の初フライトと機能確認を試験サイトで行いました。

自宅裏の圃場周辺はDID地区外となっているので、申請なしでフライトできます。そのため、思いたったらすぐにテストができる良さはあります・・・そのかわり職場までは片道2時間の小旅行です

Phantom4pro+

 

私のDJI歴は、Phantom1(2013年販売)が初めてになります。安定した飛行が簡単にできるので、ドローンの操縦の楽しさを覚えました。ただ、当時はオートパイロットの機材が技適を取得していなかったため、マニュアル飛行のみでした。測量やモニタリングなどではあらかじめ設定したコースに飛行して撮影しないと、精度の高いマップを効率的に作成することができません。そのため、当時からオートパイロットが可能な自作ドローン(APMやpixhawk)に進んで、現在に至ります。

P4のフライト機能はネットなどの情報で知っていましたが、現物のシステムを見て驚きました。ターゲットの追従など安定して25分近くフライトできるのは魅力的です!セカンド機として欲しい!

モニタリングしているドローンの上空からP4pro+で撮影してみました。見たことのない視点からの画像を見るのは楽しいですね

モニタリングしているドローン上空からの撮影

 

モニタリング中の様子

 

(追記:2018/07/13)

Phantom4pro+ ではサードパーティのアプリを使うことができません。そのため、地図作成やモニタリングに必要な自律飛行機能が使えないことがわかりました。Phantom4pro+ に標準搭載されている自律飛行の機能は使いづらく、地図作成やモニタリングには不向きでした。Phantom4pro+ でサードパーティのアプリを利用したい場合は、液晶ディスプレイが付いていないプロポを別途購入しなければなりません。プロポをダウングレードすれば、Phantom4pro+ でもサードパーティの自律飛行ツールが使えるみたいです。Phantom4pro+ と Phantom4pro の違いは、プロポに液晶ディスプレイが付いているかの違いです。地図作成やモニタリングなどに使用したいと考えている方は、Phantom4pro がお勧めです。

 

結果:均平精度(2018年)

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試験サイトでは、代かきを行った後に泥が沈着するまで待ってから、水を落とし土壌が見える状態になるようにしています。これは、代かき後の圃場を測量するためです。
3年間実施していることもあって、近所の農家さんから不思議がられることもなくなりました。

代かき後のオルソ画像(2018年5月18日撮影)

 

圃場の北側では、ほんの少し水が残っています。一方、南側(明るく写っている部分)は水が抜けています。圃場にいくつかの線条の跡が残っていますが、これは鳥などの足跡になります。畦畔を超えて、隣の圃場(北側)までつながっています。

水がある程度なくなった状態で、ドローン計測による圃場の均平精度(凹凸の定量化)を求めました。その結果、2018年は均平精度:1.2cm・最大高低差:5.1cmとなりました。過去最高の結果です(といっても5回しかデータはありませんが・・・)。
過去の記事にも書きましたが、移植栽培で目標とする均平精度は標準偏差:1.8cm・最大高低差:9.0cmが目標値となっています(農林水産省)。

下に2016~2018年の代かき後の圃場凹凸マップを示します。

ⅰ) 代かき後の凹凸マップ(2018年)

 

ⅱ) 代かき後の凹凸マップ(2017年)

 

ⅲ) 代かき後の凹凸マップ(2016年)

 

2014~2018年における均平精度の変遷

 

試験サイトの均平精度は、2014年が標準偏差:2.6cm・最大高低差:10.2cmに対して、2015年は標準偏差:1.8cm・最大高低差:7.5cm、2016年は標準偏差:1.4cm・最大高低差:6.1cmとなり,年々圃場内の高低差は小さくなっています。トラクターの操縦経験を積むことで、技術が身についてきているのかもしれません(^_^;)。なお、2014年・2015年は代かき前のDSMを用いて計測を行っています。2016年以降は代かき後の高低差を精確に求めるために、代かき直後に圃場内の水を抜いた状態で空撮を実施しています。

 

【参考】

2014~2017年までの均平精度と玄米タンパク含有率との関係を、濱ほか(2018):UAVリモートセンシングおよび登熟期の気象データに基づく玄米タンパク含有率推定 にまとめています。

 

論文賞受賞

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2014年のモニタリング成果をまとめた「田中・近藤(2016):小型マルチコプターを用いた近接リモートセンシングによる水稲生育マップ作成」が日本リモートセンシング学会の論文賞を受賞しました。この研究が評価されたことは、大変うれしく思います。

 

2014年はモニタリング1年目ということもあり手探りな状態でしたが、自分のタイミングで上空から得られる情報に大きな可能性を感じました。現在は、モニタリング5年目ということもあって様々な問題点を改善する力もつき、安定した運用ができていると考えています。ただ、栽培に関しては自然の影響を大きく受けるので、わからないことも多々あり、日々勉強といった感じです。そこが農業の楽しさでもあるかもしれません。

ドローン水稲モニタリングを論文としてまとめるのがゴールではなく、モニタリングを長年継続して情報を蓄積することが美味しいお米の栽培につながると考えているので、これからも引き続き、頑張っていきます!!

 

水稲株位置抽出(QGIS)

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水稲株の位置抽出は、移植後1ヶ月の状態(草丈35cm程度)がデータ取得のベストとなります(株間によってベストな草丈は変わります)。草丈が低いと上空から撮影しても、苗が明確に撮影できないため、株位置の抽出は難しくなります。一方、草丈が高くなると、葉同士が重なってしまい、株位置がわからなくなってしまいます。この作業は、モニタリングのタイミングが一番重要になります。

株位置の抽出方法は、以前の記事(水稲株の位置抽出欠株率)でも紹介しましたが、問い合わせも多かったので、QGISの操作について説明を加えます。※QGISのバージョンによって、説明が若干異なる場合もあります。

 

1) 近赤外カメラ撮影画像の表示

近赤外の波長域は植物からの反射は強く、水面の反射はほとんどないため、苗と水面を明確に判別することができます。

反射特性(引用:JAXA)

 

近赤外オルソ画像

 

近赤外オルソ画像を表示したら、ローパスフィルタ処理を行います。ローパスフィルタは、苗と水面以外に写っているノイズを除去する工程になります。ノイズが少なければ、ローパスフィルタ処理を行わなくても構いません。

 

2) ローパスフィルタ処理

【QGIS】 ビュー > パネル > ツールボックス > GRASS GIS > Raster > r.mapcalc

ローパスフィルタの計算式

 

上図のように、3×3の窓で平滑化していきます。数値を変更することでノイズ除去の程度を変えることができます。

 

3) フォーカル統計(指定した近傍内の統計情報を計算)

【QGIS】 ビュー > パネル > ツールボックス > GRASS GIS > Raster > r.neighbors

フォーカル統計のパラメータ入力画面

 

3) ラスタ-ベクタ変換

【QGIS】 ラスタ > 変換 > ポリゴン化(ラスタのベクタ化)

ラスタ-ベクタ変換

 

※処理時間がかかる場合は、圃場外部分の画像を削除するなど、画像サイズをなるべく小さくしてみてください。

 

4)不要ポリゴンデータの削除

ラスタ-ベクタ変換によって、値ごとにポリゴンデータが作成されます。このポリゴンデータには、水稲株以外も含まれています。そこで、ポリゴンデータのDN値(フォーカル統計の数値)を使って、不要ポリゴンを削除します。このときのDNの閾値は、カメラ種類や撮影条件などによって異なるので、画面を見ながら値を自分で見つけ出してみてください。

黄色が水稲株として選択(DN110以上)したポリゴン、黄緑色はそれ以外のポリゴン

 

5)ポイント化

【QGIS】 ベクタ > ジオメトリツール > ポリゴン重心

ポリゴン(重心) → ポイント

 

ノイズを取り除いた水稲株のポリゴンからそれぞれの重心を求め、その位置を水稲株として扱うことができます。

水稲株位置(赤)

 

この一連の処理は、データサイズが大きいオルソ画像を用いるため、非力なPCだと時間がかかったり、処理途中に落ちることもあります。その場合は、データを分割するなどの工夫が必要となります。

 

現代農業(5月号)

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2018年5月号の現代農業では、「ドローン&近赤外カメラで空から管理(下)」というタイトルで近赤外カメラを自作するという内容を書きました。

現代農業(2018年5月号)

 

ブログでも紹介している内容に改造時の写真とウンカ被害の空撮画像(鹿児島県伊佐市の若手農家さん撮影)を追加しています。

今月号の現代農業で興味深い記事がありました。農機メーカー突撃取材ヤンマーアグリ(株)編の中で、リモートセンシングなど先進的な技術の導入を対象としている農家規模は、20町歩以上の面積を耕作する農家だそうです。しかし、20町歩以上の面積となると、家族経営の農家では導入は難しいですね。ビジネスとして費用対効果を考えると仕方がないかもしれません。

 

現代農業

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久しぶりの更新です。

今月発売の現代農業(2018年4月号)に、「ドローン&近赤外カメラで空から管理(上)」というタイトルで記事を書きました。今回は、ドローンの自作に挑戦するという内容です。

現代農業(2018年4月号)

 

記事でも紹介していますが、自作ドローンの部品調達は中国のネットショッピングサイト「AliExpress(アリエクスプレス)※」をよく利用しています。国内のサイトより部品の取り揃えが豊富で価格も安いのが特徴です。ただ、日本語が自動翻訳のためか意味がわからないところもあります。

AliExpressのサイト

 

※AliExpressは中国のアリババ(ソフトバンクの孫正義社長が出資して急速に成長した世界的な企業)が運営するネットショッピングサイト

紙面の都合上、自作ドローンの調達リストを掲載することができなかったので、ここで紹介します。自作のヘキサコプターは約6万円で部品調達することができます。モニタリング用ドローンであれば、この内容で十分です。日本では,高い価格がいい商品という風潮がありますが、本当に必要な機能だけに絞れば、安価でもいいモノは作れます。

 

購入したドローンの部品と価格(2016年11月1日時点)

部品価格(円)送料(円)
フーレム(F550):ヘキサコプター3,500無料
DJI E310セット(モータ・ESC 6個)35,000無料
フライトコントローラ(Pixhawk)5,250250
GPS+コンパス(UBLOX NEO-M8N)5,000無料
スキッド2,100無料
リポバッテリ(3セル11.1V 10000mAh)5,800無料
プロペラ 6枚1,600無料
58,500 円(送料込み)

 

先日、次回(2018年5月号)の記事「近赤外カメラの改造方法」が校了しました。農業雑誌からかけ離れた内容となっていますが、お楽しみに。

 

倒伏の定量化

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以前にも紹介したように、コシヒカリは稲穂が垂れやすく、倒伏しやすい品種になります。
今年の「どろーん米」は、8月19日の降雨(約67mm)をきっかけに、出穂2週間前に診断した高リスク箇所から徐々に倒伏が進んでいきました。

今回はモニタリングデータから倒伏の定量化について、少しまとめてみました。

まず、イネが倒伏してしまうと、農機具による収穫が難しくなります。
我が家ではコンバインを所有しているので今まで気にしていませんでしたが、農作業を外部に委託した場合、倒伏した圃場では標準料金とは別に10%~30%程度加算されてしまいます(料金は各自治体によって異なります)。たとえば、島根県邑南町が公開している農作業標準賃金(平成29年度)では、倒伏面積割合で割増料金が以下のように決まっています。

倒伏面積割合0%~30%30%~50%50%~80%80%以上
割増規定料金20%増30%増50%増

※標準価格:コンバインによる刈取り 10aあたり20,800円

現場では倒伏面積割合をいちいち算出するのは時間がかかるので、担当者の目分量で判断していることがほとんどだと思います。

 

そこで、刈取り前の空撮データから倒伏面積割合を算出できるか試してみました。

【使用するデータ】

・ドローンによる空撮(可視光:Richo GR)データ(2017年9月8日撮影:刈取り前日)

狭い範囲なら目視で倒伏範囲を特定しても時間はかかりませんが、広範囲に及ぶと目視での範囲特定は手間と時間がかかってしまいます。
リモートセンシングの分野では、古くから画像データを利用した画像分類は得意とするところです。たとえば、JAXAがALOS/ALOS-2の人工衛星から画像分類して作成した高解像度(解像度約10m)の土地被覆図などがあります。

画像分類には「教師なし分類」・「教師付き分類」がありますが、今回はトレーニングデータを必要とせず、画像の特徴量をもとに自動分類を行う「教師なし分類」を選択しました。

ドローンによる空撮画像から作成したオルソ画像を用いて、教師なし分類を行った結果が下図になります。

画像分類結果(2017年9月8日撮影データを使用)

 

誤分類も多々ありますが、大きく倒伏した範囲の抽出ができているので、倒伏の抽出には教師なし分類も使えることがわかりました。なお、試験サイトの倒伏面積は 517.1㎡ で圃場面積の 15.9% となりました。

 

画像分類による倒伏範囲の特定は倒伏しているかどうかを抽出する方法で、イネがどの程度の傾きで倒伏しているかはわかりません。

イネの倒伏程度の判断基準は、一般的に倒伏したイネの傾きの大きさを「0(無)」~「5(甚)」の6段階で表すことが多いそうです。

倒伏程度の判断基準

 

今度は、モニタリング解析で作成するDSMデータを用いて倒伏程度を求めてみます。
使用するデータは、倒伏する直前(出穂期から14日後)と刈取り前日(出穂期から40日後)の2時期のDSMデータです。

【使用するデータ】

・ドローンによる空撮データから作成したDSM
倒伏直前のDSM :2017年8月13日撮影
刈取り前日のDSM:2017年9月8日撮影

 

倒伏直前のDSMと刈取り前日のDSMの三角関数から角度を求め、倒伏程度に変換した分布図が下図になります。

倒伏前後のDSMから計算した倒伏程度(ラスタデータ)

 

地点1 倒伏のない状態(ベテラン農家さん)

 

地点2 倒伏程度の大きい地点(試験サイト)

 

試験サイトでは倒伏程度の大きい箇所(地点2)が多く見られますが、隣のベテラン農家さんの圃場ではほとんど倒伏(地点1)がありません。
移植日は同じなので、同じ気象条件であるにもかかわらず、結果的に倒伏の差が生じます。これがベテランと新米の違いなのかもしれません...。

 

2016年から水稲株単位でも解析を行っています。倒伏程度も株単位(2017年:圃場全体で約4.7万株)で計算すると次のようになりました。

水稲株単位の倒伏程度(ポイントデータ)

 

水稲株単位で求めた倒伏程度別占有率

 

コンバインによる収穫作業が難しくなるのを「倒伏程度4」と仮定した場合、倒伏割合(倒伏程度4+倒伏程度5)は31.4%(約1.4万株)となりました。
最初で紹介した画像分類による倒伏範囲の抽出より高い結果となります。精度検証として、画像分類によって抽出した倒伏範囲と水稲株単位の倒伏程度で重ね合わせ分析を行った結果、倒伏範囲に含まれる水稲株の約82%が倒伏程度4.5~5となりました。このことから、画像分類による倒伏範囲の抽出は、上空からでも判読しやすい倒伏程度が大きい「4.5~5」を捉えているのではないかと考えられます。

 

来年こそ、倒伏しないような水稲栽培ができるように頑張ります!!

 

LIVE配信システムの紹介

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今週末の9日~10日に試験サイトの稲刈りを実施する予定です(6日時点の天気予報では雨は降りません)。

6月からLIVE配信を始めましたが、ようやく刈取りの様子を配信できます。コンバインで刈取りをしている様子をご覧いただけるかも知れません。

 

LIVE配信のきっかけは、寝ているだけではもったいないノートPC(2010年モデル)を活用したいと思い始めました。数年前まででは、個人でLIVE配信は敷居が高く、機材を準備するだけでも大変でした。現在は、配信の要となるソフトがオープンソースソフトウェアとして公開されています。今回利用したのは「OBS Studio」になります。また、配信するにあたって利用したサービスはYouTubeです。こちらも無料でアカウントを作成することができるので、ソフト面に関しては無料で準備することができます。

ハード面のカメラは、5年前に自宅に設置した防犯カメラを圃場監視用に再配置したので、カメラの購入費用はかかっていません。機種が古いため、高解像度配信はダメでしたが、カメラ次第では鮮明な画質のLIVE配信も可能です。

LIVE配信を始めた6月当初は順調に配信できていましたが、気温が高くなるにつれ、ノートPCへの負荷も増していき、最終的には熱暴走(内蔵ファンの故障?)による突然のシャットダウンが続きました。その結果、一番よく閲覧する「自分」が外出先から圃場を確認できなくなってしまいました。LIVE配信は天気などの確認もできるので、使ってみると意外と役に立っていました。

ノートPCの熱暴走を直すことは難しかったので、配信専用のPCを購入しました。PCは格安・小型・冷却系がしっかりしていることを条件に探した結果、ECS社の LIVA X²(リバスクエア) を購入しました。大きさはお弁当箱サイズぐらいで、Windows 10 Home 64bit OSを標準搭載して19,800円(Amazon)です。

購入したLIVA X²でもLIVE配信にかかる負荷は大きく、1時間ぐらい経過するとヒートシンクがある本体底面はかなりの熱を持っていました。一方、本体の上面はほんのり暖かい程度でした。いずれは熱暴走も起きてしまうかもしれないと思い、簡易な空冷装置を作成しました。材料は100円均一で購入した小型ブックスタンド2個とUSBで動作するファン1個になります。熱を発生させるヒートシンクが底面にあるので、この部分を小型ブックスタンドで持ち上げ、その空間にUSBファンを設置して冷やしていきます。この簡易な空冷装置の効果は抜群で、底面を触っても全く熱くなく、熱暴走の心配もなくなりました。

配信用PC

 

【LIVE配信システム】

LIVE配信システム

 

1.防犯カメラ無線送受信機セット:AT-2730WCS(キャロットシステムズ社)

屋上にカメラを設置。映像サイズ:640 × 480 pixel (約30万画素のVGA)

2.RCA→USB変換ユニット:GV-USB2(アイ・オー・データ機器)

RCA端子の受信機からPCで表示出来るようにUSB端子に変換

 

現在、LIVE配信を行っているシステムは3万円程度(新たにPCや部品などを購入した金額)のコストがかかりました。使わないPCなどを用いれば、さらに安くシステムを構築することは可能です。それにしても、こんなにも簡単にLIVE配信ができるとは思いませんでした。

 

収量予測・・・減収の見込み

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8月に入ってから、オホーツク海高気圧からの「やませ」が関東地方まで流れ込んでいるため、埼玉県も日照不足となっています。東北の太平洋側(岩手県、宮城県、福島県)では、平年を大きく下回っていることから、いもち病の心配があるそうです。

試験サイト周辺の日照不足を定量的に見るために、最寄りのアメダス地点:鳩山の日照時間を8月1日~20日までまとめてみました。今年の8月1日~20日間の日照時間は36.1時間と平年の34.5%と大きく下回っています。出穂期からの日照時間は収量・食味に大きく影響します。気象庁によると8月下旬からは平年並みに戻る見込みだそうなので、晴れることを祈ります。

     8月1日~20日までの積算日照時間(2014~2017)

 

今年も収量予測をしてみました。使用するのは7月30日の出穂期のデータになります。ただし、生育が順調に進んだ出穂期のデータなので、それ以降の日照不足を反映していません。そのため、ここで推定する値は日照不足がなかった場合の値になります。ちなみに、平年並みの日照時間があった2016年の収量結果はこちらから閲覧できます。

【使用するデータ】

・ドローン計測によるNDVI(2017年7月30日撮影)

・単位面積あたりの収量とNDVIの相関式(2016年データの解析結果)

収量(kg) = 2016年度のパラメータ × メッシュごとのNDVI

試験サイト全体の玄米収量予測 (ドローン): 1474 kg

 

8月の日照不足を考慮にいれると、この求めた推定値(玄米収量1474kg)の約20%の減収(玄米収量1180kg)になると考えています。

今年の収量から解析して得られる「単位面積あたりの収量とNDVIの相関式」は冷夏用のパラメータとして、今後の栽培に活かせるはずです。農業技術が進んでも、天候次第で収量・品質が大きく左右されるのは昔から変わりません。