高温障害

NDVI & 温度観測

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昨年(8月6~7日)は試験サイトの圃場内の温度環境を把握するために、熱赤外カメラによる温度観測を行いました。今年も昨年同様の観測を千葉大学近藤研究室の濱さんと共同で、8月5日~6日(生育ステージは乳熟期)にかけてNDVI & 温度観測を実施しました。天気予報では曇一時雨となっており、観測は難しいかなぁと思っていましたが、2日間とも雨は降らず、無事に観測することができました。

昨年の観測結果からNDVIが高い箇所では群落表面温度の低温域となり、反対にNDVIが低い箇所では高温域となることがわかりました。また、群落表面温度のばらつきは玄米重量にも影響を及ぼすことが昨年の結果から示されています。

今年は出穂期から曇天が続き、日平均気温が27℃を超えた日はわずか3日(最大で28.2℃)です(8月6日時点)。そのため、2017年度産「どろーん米」は高温登熟障害の影響が小さいかもしれません。

【観測項目】
1)同一圃場内の生育状況が異なる2箇所で温湿度・CO2観測
・出穂期のNDVI分布を基に、NDVIが高い(草丈が高い)・NDVIが低い(草丈が低い)場所の2箇所に、観測機器を設置。


観測機器(温湿度・CO2

昨年の観測機器より耐久性等を増した装置を濱さんが作成しました。装置は塩ビ管(100mm)をアルミ箔で覆い、太陽光パネル+モバイルバッテリを電源にした通風機能を備えています。

 

2)熱赤外カメラによる群落表面温度観測
・昨年と同様に熱赤外カメラをドローンに搭載し、上空100mから2時間ごと(日の出~日の入りまで)に垂直撮影(地上分解能約30cm)。

上空100mからの温度観測画像(2017年8月5日12時撮影)

 

3)NDVI観測
・Yubaflexをドローンに搭載し、上空50mから2時間ごと(日の出~日の入りまで)に垂直撮影(地上分解能約2cm)。

SOLO(3DR社)

近未来的なデザインに仕上がっているSOLO(濱さん持参)にNDVI計測を担当してもらいました。SOLOは機底に付属のカメラが付いていないので、好きなカメラを搭載することができます。なお、ドローン業界の大きなシェアを占めているPhantomシリーズの場合は空撮用カメラが標準装備されているため、水稲モニタリングに適したカメラを後付けすることが難しくなっています。

SOLOについては濱さんのHPに情報が掲載されています。HPはこちら

今年も多くの観測データを取得することができたので、これから解析を行います。

 

温度観測

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近年、夏季における気温上昇にともなって、水稲の高温障害が問題となっています。
高温障害は白未熟粒(米が白く濁る)や胴割れ粒(亀裂が入る)などをもたらし、米の品質を大きく低下させます。米の品質が低下は、検査等級の低下やくず米の増加につながり、生産者にとって何ひとついいことはありません。

既往研究から、高温障害は出穂から登熟初期までの高温によって、米に障害がもたらされます。例えば、登熟期に27℃以上の日平均気温が続くと高温障害が発生し、白未熟粒が増加します。

そこで、今後の栽培において、高温障害に対応するためにも、まずは圃場内の温度環境を知る必要があります。
今回は千葉大学近藤研究室の学生さんと共同で、8月6日~7日(生育ステージは穂揃期)にかけて昼夜連続温度観測を実施しました。

ちなみに、試験サイトは埼玉県坂戸市に位置しているのですが、この地域は「あついぞ!熊谷」と同じぐらい夏季は高温になります。
最寄りのアメダスによる最高気温は6日36.6℃(猛暑日)、7日34.7℃(真夏日)となりました...

 

【観測項目】
1)圃場中央の温湿度観測
・高さの異なる2箇所に温湿度計を設置し、1分毎に記録。

温湿度観測
温湿度計設置

 

2)熱赤外カメラによる地表面温度観測
・熱赤外カメラをドローンに搭載し、上空100mから2時間ごとに垂直撮影(地上分解能約30cm)。
・改正航空法で夜間のドローン飛行は禁止されているので、夜間は自宅屋上から斜め撮影。

熱赤外カメラ例
ドローンによる地表面温度観測画像の例(2016年8月7日10時撮影)

 

3)NDVI
・近赤外カメラをドローンに搭載し、2時間ごとに撮影。

NDVI観測
ドローンによる近赤外撮影
(視線の先には、点のようなドローン)

 

現在、これらのデータを解析中ですが、いろいろと面白いことがわかってきました。

結果がまとまり次第、紹介します。

 

※今回の観測は自宅のガレージを拠点に実施したので、機材や食事などの融通が利き、無事に観測を終えることができました。

ガレージ

観測拠点
(ガレージ内に机や椅子、PC、バッテリ充電機、扇風機などを持ち込んで作業を実施)