2017年栽培

代かき(2017年)

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私の経験(短い期間ですが・・・)から収穫量・品質の向上には「均平化」は大切な作業だと思います。

今年も代かき前には、いろいろと圃場の均平化を試しましたが、容易に圃場内の土を移動できるのは代かきになります。

まずは、代かき前にドローンでDSMを計測し、凹凸マップを作成します。

代かき前の凹凸マップ(2017年)

高い(淡いピンク) ← 地表面の高さ → 低い(紺)

圃場の西(左)の中側が高くなっています。また、圃場の3辺の低い部分はくろつけを行った際のトラクターの車輪跡になります。

屋上から撮影した圃場(画像の上が北)

凹凸マップが示すように地表面がちょっとでも高いところ(数cmの差)は、水が溜まっていないことがわかります。

水が全体的に入ったら、代かきを行います。

圃場の凹凸を意識しながら、トラクターによる均平化

均平化後には、ドローンによる計測を実施します。

ポールカメラによる凹凸計測

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日本の農地上空には、送電線が多く存在しています。残念ながら、私の圃場上空にも送電線があります。

送電線の下にある圃場(紫線)

背景画像:地理院地図

そのため、送電線がある圃場では、安全面を考慮するとドローンによる水稲モニタリングを実施できません。上空からモニタリングできるツールは、ドローン以外にも高所作業車による撮影などがあります(サタケ:圃場生育診断システム「アグリビュー」)。ただ、零細農家にとってモニタリングのたびに高所作業車をレンタルすることはできません。

そこで、今回はポールカメラ方式を採用しました。

ポールカメラは中田ほか(2009)を参考にして、測量スタッフ(約7m)とRicho GR(インターバル間隔を5秒)を用意し、撮影を行います。

 

ポールカメラ撮影のイメージ(場所は圃場ではありませんが…)

 

7mのスタッフに約250gのカメラを取り付けると、スタッフはしなってしまい、上手く扱うには力が必要になります。また、風が吹くと測量スタッフがもっていかれてしまい、同じ場所にとどめるだけでも大変です…。

ポールカメラで撮影するためにはノウハウも必要ですが、改正航空法で飛行制限があるDID地区付近でもモニタリングできるので、ポールカメラは有効なツールだと思います。また、ポールカメラは墜落の心配もありません。

 

青い四角はポールカメラの撮影推定位置

ポールカメラによる3Dモデル(送電線下の圃場)

中田 高,渡辺満久,隈元 崇,後藤秀昭,西谷義数,桜井元康,川口 雄作:地形調査のための簡易高位置撮影装置 (Hi-View)の開発,活断層研究,31,pp.39-43,2009.

 

種蒔き&育苗ビニールハウス搬入

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1週間、種籾を水に浸けていましたが、予想より発芽が遅かったので、浸種してから10日後に育苗箱に種蒔きを行ないました。

 

発芽した種籾(ハト胸程度:1~2mm)

昨年同様に130箱(6反分)の育苗箱を用意します。

 

育苗箱に培土を均一する様子

準備が整えれば、手動の播種機を使って、上図の育苗箱の培土の上に種籾を均一に播種し、覆土していきます。

そのあとは、ビニールハウスに搬入し、育苗していきます(25日程度)。

 

育苗箱搬入終了

今年の田植えは5月20・21日を予定しています。

 

2017年水稲栽培始動

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いよいよ、2017年の水稲栽培に向けて、動き始めます。

まずは、育苗用ビニールハウスの準備を近所の農家さんと行いました。この日は最高気温は27.4℃と平年と比べると+8℃で、初夏の陽気でした。

育苗用ビニールハウスの整地が終わってからは、種籾の「塩水選」で中身の詰まった良い種子を選別します。

 

塩水選作業の準備

去年と同様に、塩5kg・水20lを用意して、濃度20%(約比重1.13)の塩水を作っていきます。

食塩水作成中

種籾を食塩水に投入していきます。軽い種籾は浮き上がるのでザルで取り除き、沈んだ種籾のみを使用します。

昨年は、6反分の24kgの種籾を購入し、塩水選で約20kgに選別しました。しかし、種籾がかなり余ってしまったので、今年は例年より少なめで行います。

2017年:種籾20kgを購入

塩水選による選別を終えた種籾は、水稲の種子伝染性病害(いもち病、ばか苗病など)の発生を防ぐために種子消毒(24時間薬液漬)を行います。

種子消毒剤は「テクリードCフロアブル(クミアイ化学)」と「スミチオン乳剤(クミアイ化学)」を使用しました。

 

【使用農薬】

・テクリードCフロアブル(1成分):殺菌剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤200ml)

・スミチオン乳剤(1成分):殺虫剤 (種籾20kgに対して、水40l・薬剤40ml)

種子消毒

農作業に使用する水は、井戸の水(地下約30m)を使用しています。

井戸の水温は、深さ10mになると温度の年変化がほとんどなくなるため、その土地の年平均気温とほぼ同じとされています。最寄りのアメダス地点(鳩山)の年平均気温は約15℃なので、水温は年間を通して15℃前後になります。

種籾が発芽するために必要な積算温度(水温×日数)は100℃・dayとされています。そのため、この地域では浸種を行なったら、1週間後に種蒔きになります。

圃場均平化(2017年)

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以前、このブログでも紹介した「セミナー(ドローンの農業活用とセンシング・モニタリング技術)」も先日終了しました。

私の予想以上に多くの方々に受講していただき、ドローンによるモニタリングの注目の高さを実感しました。

セミナーでは、水稲以外にも畑作や果樹等に利用したいとの声がありました。いろいろと話をしていると、作物によって欲しい情報が異なり、その情報には需要があることを知ることができたので、私自身の勉強になりました。

 

3月に入ったので、そろそろ2017年度の栽培に向けて、圃場の均平化とドローン計測を実施しました。

 

ドローンによる計測

 

圃場の西中央部が高く、排水口がある東側が周囲に比べて低くなっているので、代かきを実施するまでの約2ヶ月間で地道に土を移動させ、均平化を目指します。

 

点群データを表示できるサイトがありましたので、ドローン計測に用いたデータをアップしました。

 

画像をクリックすると別サイトが開きます。

任意の地点から点群データを表示できるほかに、地点計測(高さも含む)や距離計測も行えます。ただし、計測機能はサイトに会員登録する必要があります。

 

すき込み

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2016年の水稲栽培も終わり、来年に向けて、まず稲藁の「すき込み」を実施しました。

私が農作業に従事する以前は、収穫後に稲藁・籾殻を焼却していました。その当時は、まだ野焼きについても許容されていましたが・・・。

現在、稲藁・籾殻は圃場の地力を高めるなど重要な土づくりの資源になるので、気温がまだ高いこの時期に「すき込み」を行います。

稲刈りから1ケ月経つと、稲孫(ひつじ)から再び穂が形成されていました。

 

稲孫すき込み

トラクターによるすき込み(緑色の部分がイネの稲孫)

 

昨年は、地元のカントリーエレベータから籾殻約1800kg(10aあたり約300kg;トラック6往復分)を無償でもらい、土づくりの強化に努めました。

※雨によって土がぬかるんでしまい、トラックで圃場内に運搬できませんでした。そのため、リヤカーに籾殻を乗せて、人力で圃場全体に万遍なく散布しました。

頭の中では、大したことのない作業だと思い込んでいましたが...これが意外と重労働で数日間かかってしまいました...。

今年は、稲藁+収穫分の籾殻で「すき込み」を行ったので、昨年ほどの苦労はありません。

 

土壌中で分解されるまでは、しばらく時間(約3~4年)がかかりますが、長期的にみた地力の向上には必要な作業です。

 

すき込み後の様子

すき込み後の様子

土壌中の有機物の分解を促す(空気に触れる表面積を大きくする)ために、なるべく大きな土塊になるように耕します。

作業メモ:PTO1速、走行速度0.5km/h