どろーん米(2017)販売開始

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9月26日から平成29年産「どろーん米」の販売を開始します。価格は昨年と同じです。

 

平成29年コシヒカリ新米100% 「どろーん米」 5kg 精米

平成29年コシヒカリ新米100% 「どろーん米」 10kg(5kg×2袋) 精米

 

価格は、5kg 2,400円(税込)、10kg 4,500円(税込)となっております。※送料別

 

詳細は「どろーん米購入」をご覧ください。

 

どろーん米

 

 

意外な結果!?

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収穫の時期になると集落のあちらこちらから「ピーピーピー」と音が響いてきます。音の正体はコンバインの動作音なので、この音を聞くと稲刈りに向けて気持ちがソワソワしてしまいます。

先日、2017年産「どろーん米」の収穫が何とか終了しました。台風18号(TALIM)が来る前に刈り取れたので、一安心です。

こうべを垂れる「どろーん米」

 

しかし、今年は使用しているコンバインの調子がすこぶる悪く、JAさんに何回も修理を依頼したりと予定通りにできませんでした。修理をお願いしたら、すぐに対応してくれるJAさんには感謝です。ありがとうございます。

刈取りは、「コンバイン → 乾燥機 → 籾摺り → 袋詰め」 が一連の流れとなっているので、この工程でどれかひとつの農機具が故障してしまうと、作業全体がストップしてしまいます。故障が長引いてしまうと、稲刈りの適期を逃してしまう可能性があります。現代の農業は如何に機械に依存しているか身をもって実感しました。

 

さて、2017年の収量ですが、事前予測では8月の日照不足のため、3反の試験サイト圃場の収量は玄米収量1180kg(推定値の約20%減収)としていましが、意外な結果となりました。

 

試験サイト全体の精玄米収量 : 1440.0 kg (465kg / 10a)

※未熟米 :110.2 kg

 

日照不足の影響はそんなに大きくなかったのか、2016年の精玄米収量 : 1437.5kg とほぼ同量の結果となりました。事前予測で求めた日照不足の影響を考慮に入れていない推定値 1474 kg(粗玄米)の方が良い結果を示しています。

(2017年度の精玄米収量+未熟米) / 2016年度の収量予測式(粗玄米) で求めると誤差が5.2%となりました。

日照時間が多く、気温が高い状態が続いた2016年のパラメータが冷夏の場合にも使えるとは思っていなかったので、ますます水稲モニタリングの難しさを感じます。

 

未熟米に分類された玄米

 

※2017年は日照不足の影響によって未熟米が例年より多くなりました。そこで、未熟米と分類された玄米を再度ふるいにかけたところ、110.2kgのうち14.1kgが精玄米として再分類されたので、その分は「2ndチャンス米」として、自宅で消費します。

 

サンプル採取

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稲刈りを行う前日に圃場内の複数箇所からイネをサンプリングします。採取したイネはモニタリングデータから収量・タンパク質含有率などを求めるために必要となります。過去の資料はこちら

採取する箇所は毎年ほぼ同じ場所を設定しています。運用している試験サイトでは5mメッシュで管理しており、そのメッシュ内の10株程度を刈り取りします。
毎年同じ場所から採取するのは、はっきりわかる目印がないと困難です。私のところでは、事前にメッシュ位置を測り、支柱を目印として設置しています。

下図はサンプル採取した翌日(刈取り当日)に空撮を実施した画像になります。所々に穴状に写っているのが採取箇所になります。また、圃場四隅はコンバインの回転部分になるので、事前に刈り取りを行っています。コンバインの操縦が上手くなれば、四隅刈りをしなくても綺麗に刈り取れるのですが、年一回動かす程度ではなかなか技術は身につきません。

サンプル採取箇所の確認(2017年9月9日撮影)

 

サンプル採取箇所の拡大画像

 

その後、採取したイネは天日干しを行い、玄米水分を15%程度まで落としていきます。

子供の鉄棒を利用した稲架

 

 

LIVE配信システムの紹介

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今週末の9日~10日に試験サイトの稲刈りを実施する予定です(6日時点の天気予報では雨は降りません)。

6月からLIVE配信を始めましたが、ようやく刈取りの様子を配信できます。コンバインで刈取りをしている様子をご覧いただけるかも知れません。

 

LIVE配信のきっかけは、寝ているだけではもったいないノートPC(2010年モデル)を活用したいと思い始めました。数年前まででは、個人でLIVE配信は敷居が高く、機材を準備するだけでも大変でした。現在は、配信の要となるソフトがオープンソースソフトウェアとして公開されています。今回利用したのは「OBS Studio」になります。また、配信するにあたって利用したサービスはYouTubeです。こちらも無料でアカウントを作成することができるので、ソフト面に関しては無料で準備することができます。

ハード面のカメラは、5年前に自宅に設置した防犯カメラを圃場監視用に再配置したので、カメラの購入費用はかかっていません。機種が古いため、高解像度配信はダメでしたが、カメラ次第では鮮明な画質のLIVE配信も可能です。

LIVE配信を始めた6月当初は順調に配信できていましたが、気温が高くなるにつれ、ノートPCへの負荷も増していき、最終的には熱暴走(内蔵ファンの故障?)による突然のシャットダウンが続きました。その結果、一番よく閲覧する「自分」が外出先から圃場を確認できなくなってしまいました。LIVE配信は天気などの確認もできるので、使ってみると意外と役に立っていました。

ノートPCの熱暴走を直すことは難しかったので、配信専用のPCを購入しました。PCは格安・小型・冷却系がしっかりしていることを条件に探した結果、ECS社の LIVA X²(リバスクエア) を購入しました。大きさはお弁当箱サイズぐらいで、Windows 10 Home 64bit OSを標準搭載して19,800円(Amazon)です。

購入したLIVA X²でもLIVE配信にかかる負荷は大きく、1時間ぐらい経過するとヒートシンクがある本体底面はかなりの熱を持っていました。一方、本体の上面はほんのり暖かい程度でした。いずれは熱暴走も起きてしまうかもしれないと思い、簡易な空冷装置を作成しました。材料は100円均一で購入した小型ブックスタンド2個とUSBで動作するファン1個になります。熱を発生させるヒートシンクが底面にあるので、この部分を小型ブックスタンドで持ち上げ、その空間にUSBファンを設置して冷やしていきます。この簡易な空冷装置の効果は抜群で、底面を触っても全く熱くなく、熱暴走の心配もなくなりました。

配信用PC

 

【LIVE配信システム】

LIVE配信システム

 

1.防犯カメラ無線送受信機セット:AT-2730WCS(キャロットシステムズ社)

屋上にカメラを設置。映像サイズ:640 × 480 pixel (約30万画素のVGA)

2.RCA→USB変換ユニット:GV-USB2(アイ・オー・データ機器)

RCA端子の受信機からPCで表示出来るようにUSB端子に変換

 

現在、LIVE配信を行っているシステムは3万円程度(新たにPCや部品などを購入した金額)のコストがかかりました。使わないPCなどを用いれば、さらに安くシステムを構築することは可能です。それにしても、こんなにも簡単にLIVE配信ができるとは思いませんでした。

 

空撮時の注意(登熟期)

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2014年からモニタリングを実施して、様々な失敗や試行錯誤を経て、現在の運用体制にいたっています。今回はその中でもついやってしまいがちな失敗例を紹介します。

【失敗例】

・近接撮影によるイネの倒伏(2015年8月31日撮影)

出穂日前はイネの葉を空撮することがメインになりますが、出穂期以降(特に登熟期後半)はイネの穂には実がつき、空撮の被写体としても絵になります。そうなると、ついつい低空撮からイネの穂を撮影してみたくなってしまいます(その誘惑が失敗の原因です)。冷静に考えれば理解できるはずですが、その場で操縦しているときは撮影のことばかりが・・・。

登熟期後半のコシヒカリは、ちょっとした外部からの力(雨や風など)で倒伏しやすい状態です。その中で、対地高度約5m以下の低空撮を行えば、ドローンからのダウンウォッシュ(下降気流)でイネが倒伏してしまいます。

下図は、私が誘惑に負けて、イネを倒伏させてしまった部分になります。一度、倒伏させてしまうと、元の状態には戻りません。この経験から登熟期の低空撮には慎重な操縦を心掛けないといけないと学びました。空撮を行っている方も注意してください。

ダウンウォッシュによる倒伏(2015年8月31日撮影)

 

倒伏させてしまった時の近接画像(対地高度約3m)

 

 

収量予測・・・減収の見込み

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8月に入ってから、オホーツク海高気圧からの「やませ」が関東地方まで流れ込んでいるため、埼玉県も日照不足となっています。東北の太平洋側(岩手県、宮城県、福島県)では、平年を大きく下回っていることから、いもち病の心配があるそうです。

試験サイト周辺の日照不足を定量的に見るために、最寄りのアメダス地点:鳩山の日照時間を8月1日~20日までまとめてみました。今年の8月1日~20日間の日照時間は36.1時間と平年の34.5%と大きく下回っています。出穂期からの日照時間は収量・食味に大きく影響します。気象庁によると8月下旬からは平年並みに戻る見込みだそうなので、晴れることを祈ります。

     8月1日~20日までの積算日照時間(2014~2017)

 

今年も収量予測をしてみました。使用するのは7月30日の出穂期のデータになります。ただし、生育が順調に進んだ出穂期のデータなので、それ以降の日照不足を反映していません。そのため、ここで推定する値は日照不足がなかった場合の値になります。ちなみに、平年並みの日照時間があった2016年の収量結果はこちらから閲覧できます。

【使用するデータ】

・ドローン計測によるNDVI(2017年7月30日撮影)

・単位面積あたりの収量とNDVIの相関式(2016年データの解析結果)

収量(kg) = 2016年度のパラメータ × メッシュごとのNDVI

試験サイト全体の玄米収量予測 (ドローン): 1474 kg

 

8月の日照不足を考慮にいれると、この求めた推定値(玄米収量1474kg)の約20%の減収(玄米収量1180kg)になると考えています。

今年の収量から解析して得られる「単位面積あたりの収量とNDVIの相関式」は冷夏用のパラメータとして、今後の栽培に活かせるはずです。農業技術が進んでも、天候次第で収量・品質が大きく左右されるのは昔から変わりません。

 

倒伏リスク診断(2017年)

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今年は7月30日に出穂期を迎えましたので、出穂14日前の7月16日のモニタリングデータを利用して、倒伏しやすいコシヒカリの倒伏リスク診断を行ってみました。

倒伏リスク診断の計算方法はこちらに掲載しています。

 

倒伏リスク診断マップ(2017年)

「7月16日(出穂14日前)のDSM-5月18日(代掻き直後)のDSM」から計算した倒伏リスク診断マップです。橙~赤色は倒伏リスクの高い株で、青色はリスクが低い株になります。今年は圃場の西側(特に南西側)で倒伏リスクが高い結果となっています。昨年は圃場の北側で倒伏リスクが高い結果となり、実際に倒伏してしまいました。草丈のむらが出ないように、圃場の均平化など努力しているのですが、均一に栽培する難しさを実感します。

 

2017年7月16日空撮のオルソ画像

2017年:本田防除(殺虫)

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7月29日の散布に続いて、今回はカメムシ類などの病害虫防除を目的とした散布になります。

出穂してからは雨天が続いたため散布するタイミングが遅くなり、出穂10日後に散布を行いました。

今までは妻に貴重な助っ人として手伝ってもらっていましたが、日程の調整が難しく、結果として一人だけで初めての散布を実施しました。一連の流れは頭に入っていますが、100m先までホースを引っ張る・散布後のホースの清掃など全部一人で行うには今まで以上に時間がかかってしまいました。あと、体力的にも疲れます…。

 

【使用農薬】

・スミチオン(1成分):殺虫剤

 対策:カメムシ類、ウンカ類などの水田害虫の殺虫

 10aあたりに水100l + スミチオン100ml(1000倍希釈)

スミチオン乳剤

 

 

NDVI & 温度観測

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昨年(8月6~7日)は試験サイトの圃場内の温度環境を把握するために、熱赤外カメラによる温度観測を行いました。今年も昨年同様の観測を千葉大学近藤研究室の濱さんと共同で、8月5日~6日(生育ステージは乳熟期)にかけてNDVI & 温度観測を実施しました。天気予報では曇一時雨となっており、観測は難しいかなぁと思っていましたが、2日間とも雨は降らず、無事に観測することができました。

昨年の観測結果からNDVIが高い箇所では群落表面温度の低温域となり、反対にNDVIが低い箇所では高温域となることがわかりました。また、群落表面温度のばらつきは玄米重量にも影響を及ぼすことが昨年の結果から示されています。

今年は出穂期から曇天が続き、日平均気温が27℃を超えた日はわずか3日(最大で28.2℃)です(8月6日時点)。そのため、2017年度産「どろーん米」は高温登熟障害の影響が小さいかもしれません。

【観測項目】
1)同一圃場内の生育状況が異なる2箇所で温湿度・CO2観測
・出穂期のNDVI分布を基に、NDVIが高い(草丈が高い)・NDVIが低い(草丈が低い)場所の2箇所に、観測機器を設置。


観測機器(温湿度・CO2

昨年の観測機器より耐久性等を増した装置を濱さんが作成しました。装置は塩ビ管(100mm)をアルミ箔で覆い、太陽光パネル+モバイルバッテリを電源にした通風機能を備えています。

 

2)熱赤外カメラによる群落表面温度観測
・昨年と同様に熱赤外カメラをドローンに搭載し、上空100mから2時間ごと(日の出~日の入りまで)に垂直撮影(地上分解能約30cm)。

上空100mからの温度観測画像(2017年8月5日12時撮影)

 

3)NDVI観測
・Yubaflexをドローンに搭載し、上空50mから2時間ごと(日の出~日の入りまで)に垂直撮影(地上分解能約2cm)。

SOLO(3DR社)

近未来的なデザインに仕上がっているSOLO(濱さん持参)にNDVI計測を担当してもらいました。SOLOは機底に付属のカメラが付いていないので、好きなカメラを搭載することができます。なお、ドローン業界の大きなシェアを占めているPhantomシリーズの場合は空撮用カメラが標準装備されているため、水稲モニタリングに適したカメラを後付けすることが難しくなっています。

SOLOについては濱さんのHPに情報が掲載されています。HPはこちら

今年も多くの観測データを取得することができたので、これから解析を行います。

 

出穂期(2017年)

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昨年は8月4日に出穂期となりましたが、今年は天候の影響もあって7月30日に出穂期を迎えました。昨年より5日ほど早くなっています。

穂の上部から次々に開花している様子(2017年7月30日撮影)

 

出穂期のバラツキが気になったので、移植~出穂の期間(2014~2017年)の気象データをまとめてみました。気象データは最寄りのアメダス地点:鳩山(直線距離:4.8km)の日照時間と気温を使用しています。

移植日~出穂期までの積算日照時間・積算温度

 

その結果、この地域でコシヒカリが移植してから出穂するまでに、日照時間:約400(h)・積算温度:約1700(℃)※必要であると考えられます。もちろん、この数値は地域差があるので、どこでも適応できる数値ではないと思いますが・・・これまでの既往研究について調べないといけません。

※積算温度は日平均気温を積算して計算しています。

 

移植日~出穂日の積算日照時間・積算温度

移植日出穂期日数積算日照時間(h)積算温度(℃)
20175月21日7月30日71399.81697.6
2016 5月21日8月4日76381.31774.5
2015 5月23日8月3日73427.81742.1
20145月24日8月3日72400.41714.0
Average5月22日8月3日73396.11711.3

 

冒頭にも書きましたが、今年は7月30日に出穂期を迎えましたが、移植してから出穂までの日数は71日で、4年間の観測結果からみても特段早いわけでもありませんでした。昨年は天候不順で出穂が遅くなり、ちょうど例年の出穂期に当てはまっただけでした。自分の頭の中では、例年の出穂日の印象が強いため、今年の生育が早まっていると思い込んでいました。数字で見ると、ほぼ例年通りに生育していることがわかります。

 

今年は株間を21cmで移植しました(昨年は株間18cm、一昨年以前は株間16㎝)。

週一のドローンによるモニタリングと同時に、地上では草丈・茎数の調査を8地点(40株)で実施しています。*2014年は10株の調査

出穂期における1株あたりの茎数は、2014年15.5本、2015年17.5本、2016年20.7本と株間を広げたことによって茎数も増加しています。今年は茎数は24.2本となっています。

試験サイトにおける1株当たりの茎数の時系列変化

 

出穂期以降もこのまま順調に生育すれば、従来から言われているように疎植しても収量は減少しないと思われます。ただ、2年連続台風による冠水が発生しているので、今年も心配です。