Month: 6月 2017

欠株率

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田植えから1ヶ月が経過すると、苗も順調に生長し上空からのモニタリングでもはっきりと確認できます(この頃の草丈は約35cm)。

昨年からはじめた「水稲株位置の抽出」を今年も行いました。抽出方法については、昨年の記事をご参照下さい。

水稲株位置の抽出に使用した画像は、移植してから28日後の近赤外オルソ画像になります。

 

水稲株位置抽出(2017年6月18日撮影)

オルソ画像と抽出した水稲株位置(オレンジ点)を重畳した画像になります。両者の画像を比較してもわかるように、おおよその水稲株の位置抽出ができているのではないかと思います。

 

圃場全体の水稲株位置(2017年) 背景:近赤外画像(Canon S110近赤外改造)

今年は株間21cmに設定して移植を行った結果、圃場内の株数は約4.7万株となりました。ちなみに、昨年は株間18cm設定で約5.1万株となっております。

 

次に、水稲株をメッシュごとにまとめて可視化した結果です。

 

単位面積あたりの株数(株/㎡) 背景:可視画像(Richo GR)

圃場の西側は田植機の移植方向が異なる部分にあたるため、若干株数が少なくなっています。圃場内全体では単位面積あたり14.2(株/㎡)【坪あたり46.9株】となりました(昨年の結果はこちらから)。

また、株間21cmの標準的な単位面積あたりの株数は15.9(株/㎡)となります。そこで、この値を基準としてメッシュごとの欠株率を算出してみました。

 

欠株率(2017年) 背景:近赤外画像(Canon S110近赤外改造)

その結果、メッシュ全体の欠株率は7.9%となりました。欠株率が最も高い値を示したメッシュは、トラクタの出入り部分にあたります。それ以外のメッシュでは、だいたい数%の欠株率で収まっています。

 

熱赤外カメラによる空撮

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少し前の話題になりますが、今年の農閑期(4月中旬)に熱赤外カメラによる空撮を実施しました。

熱赤外カメラはイネ群落の表面温度の連続観測(穂揃期)で使用しましたが、今回は圃場の地表面温度から土壌水分量および均平を把握できるのか観測してみました。

 

【圃場環境】

・田起しを行ってから、約1カ月経過 (試験サイトの隣(北側)の圃場も同時期に田起しを実施)

・熱赤外カメラによる空撮実施の前日に、数時間の降雨

 

オルソ画像(4月中旬)

 

熱赤外カメラ画像(4月中旬)

 

上記画像の拡大図

 

地表面温度は西側で相対的に高く、東側が低い結果となりました。特に中央部では温度が低くなっています。この部分を拡大してみると、田起し後に石拾いのために歩いた足跡周辺で地表面温度が低下していました。圃場を歩くと5cm程度は凹むので、熱赤外カメラはその影響までも観測できているのではないかと考えられます。また、西~東側に筋状に地表面温度が高くなっている場所は、昨年の収穫後に籾殻を撒いたところになります。ちなみに、隣(北側)の圃場は足跡もなく、地表面温度が一様な分布をしていることがわかりました。

わずかな環境の違いを捉えられる熱赤外カメラは有益なセンサであると実感しました。

 

上記の実験後に、トラクタによる均平化を行い、1週間後に再度空撮(可視光・熱赤外カメラ)を実施しました。

 

オルソ画像(5月上旬)

 

熱赤外カメラ画像(5月上旬)

 

トラクタによる均平化を行った後の均平精度は標準偏差1.5cmとなり、地表面温度のばらつきは前回の分布と異なる結果となりました。

西側にある給水口ではわずかな量の水が漏れ出していたため、地表面温度が低くなっています。オルソ画像では地表面の見た目の変化はありませんが、熱赤外ではちゃんと変化を捉えることができています。また、圃場の3辺(西側除く)にかけて温度が低い場所は、くろつけを行った際のトラクターの車輪跡になります。

今回の実験から熱赤外カメラを用いた観測は様々な現象を取得できるセンサとして有望なので、今後も継続して観測していく予定です。

 

アイガモ迷路?

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モニタリング中にアイガモの来客がありました。田植え頃からどこともなく現われ、いつの間にか立ち去ってしまいます。

アイガモはイネ科の植物を食べないという習性があるので、イネ以外の雑草を食べてくれます。また、移動する際には、くちばしや足で泥水を撹拌し、雑草の繁殖も抑えてくれます。

ありがたい存在です。

 

アイガモの来客

 

対地高度50mからのドローンの風切音には驚かず、モニタリング中はずっと圃場内で食事をしていました。

 

オルソ画像(2017年6月18日撮影 Richo GR)

 

圃場内の線はアイガモが通った後になります。まるで迷路のような感じです。下はアイガモを撮影できた部分を拡大した画像になります。

 

上空50mからのアイガモの様子

 

アイガモの特性を利用して、減農薬もしくは無農薬で水稲栽培を行うアイガモ農法があります。しかし、アイガモ農法は飼育の手間、圃場を隈無く回ってくれない、カラス・タヌキといった動物に襲われるなど、決して容易な農法ではありません。近年では、こういった課題からアイガモロボットの開発がされています。市販されるようになったら、ぜひ試してみたいですね。

 

LIVE配信はじめました

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お知らせ

LIVE配信はじめました。

水稲ドローンモニタリングを実施している試験サイトの様子を確認することができます。現在のところ、稲刈りの期間までLIVE配信を予定しています。

メニューバーの「LIVE配信」から確認することができます。

 

モニタリングカメラから眺める試験サイト

除草剤散布(2017年)

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今年も移植してから2週間後に除草剤「コメットジャンボ」を試験サイトに散布しました。コメットジャンボは水で溶ける包みで覆われており、溶解すると直径7~8mに除草剤が広がります。

 

コメットジャンボが溶解し、除草剤が周囲に散布される様子

 

昨年は試験サイトとは別の圃場でも同様に散布しましたが、雑草に悩まされました。原因は風が強い日に散布したことによって、除草剤が風下側に流されてしまったことです。ちなみに、昨年の試験サイトは無風時に散布したので、雑草の影響はほぼありませんでした。

今年は昨年の反省も活かして、風が弱くなる日まで待ってから除草剤を散布しました。散布後は、除草の効果を高めるために、1週間は落水しないように水管理を行っていきます。

下の写真は移植後15日目の様子です。株間・条間にはヒエ・イヌビエなどの雑草が発芽しています。

 

株間・条間に発芽した雑草

 

【使用農薬】
・コメットジャンボ(1反あたり300g:1袋)
除草剤

散布予定マップと除草剤